バッドエンズin会議室③
1足先に回復した寺沢が叫んだ。
すごく怒っている。
ガチャ
「なんすかー?なんかあったんすかー?」
悪びれるようすもなく、ごく普通に入室してくるロア。
「何かあったんですかじゃないわよ!このおバカ!!」
「え?」
寺沢の叫びにきょとんとするロア。
もちろんわかっててやってる。
「え?じゃないわよ、え?じゃあ!なんなのよこの飲み物!!」
「そうです!どういうつもりですか!!」
寺沢の言葉にやっと回復した蛛井が続ける。
「ん?お茶っすよ?健康に良さそうなんでちょっとお酢入れたっすけど……、ダメでしたか?」
そんな二人にうるうるした目で答えるロア。
こいつ、ふざけてやがる。
実際お酢というものはたしかに健康に良い。
しかし、そんなこと考えてやったわけがないのだ。
善意なんて関係ない、悪意しかない。
嫌がらせのため100%である。
「なっ、……ほんとに?」
ちょっと信じかけそうになってる寺沢。
ばかなのかな?
「や?今考えたっすけど。」
あ、寺沢の肩が震えてる。
「こんの……ロアのおバカ!!!!」
そう叫びながら、ロアの頬を掴みグリグリする。
というか、優しいね。
「ふへっ。」
ロアもなんだか楽しそうだ。
「何笑ってるんですか!私たちになんの恨みがあるんです!?」
そんな様子に珍しく蛛井が声を荒らげている。
「ごめんっすよー。でもお酢が身体に良いのは本当っすもん。お二人のこと考えてたのは事実っすよぅ。」
二人の驚いた顔のことを考えていた、ではあるが。
まぁ事実といえばそうだろう。
嘘はついていない。
言葉を減らすだけであら不思議、とっても好印象な言葉に聞こえるね!
「それにしたってやり方ってものがありますよ!なんでお茶なんかに入れたんですか!!」
「え、手っ取り早いかなって。」
「なら須藤みたいにちゃんとしたもの用意すればよかったでしょう。」
「えー、きれてたんすもん。」
「それにしたってもっとあったでしょうが!料理に入れるとか!」
その言葉を待ってましたとばかりににっこりするロア。
「なるほどなるほど!了解っすよ!待っててくださいっす!」
そう言い残しロアは駆けていった。
「あ、ちょっ!」
「ちょっと寺沢、あなたいらないこと言いましたよ。」
蛛井、大正解である。
少しでも面白いとか続きが気になるなど思っていただけたら、ブクマや、評価してくださると嬉しいです。