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バッドエンズin会議室①

今日はバッドエンズの定例会議のためロアにはお茶くみの仕事があった。

事前に飲み物の好みも聞いておいた。

一応与えられた仕事は妥協しないので。

しかしメンバーから返ってきた答えは蜂須賀と長代以外はなんでもいいと言うものだった。


「まったく!なんでもいいが一番困るんすよね!」


と、軽くプンスコしているロア。

世の中のお母様方も同じようなことを言いそうだ。

ちなみに蜂須賀はハチミツ系の甘いもの、長代も甘いものがいいとのことだった。

ゆるふわな蜂須賀はわかるが、長代のリクエストは意外だった。


「……そうっすよ、これはチャンスっす!なんでもいいって言質を取ったも同然なんすもんね!」


あー、これあかんやつや。

嫌な予感がビシビシする。


「ふふーん♪」


そこからロアはご機嫌よく、準備にかかっていた。



ーーーーー



ところ変わって会議室


左右半円形に並んだ座席の真ん中にボスがいる。

その隣にNo.2の須藤という形で、あとは適当に座っていた。


「さて、メンバーも揃ったところで会議を始める!本日の議題だが……須藤!」


名指しされた須藤は立ち上がり、進行役を務める。

書記係などはいない。

そんなに真面目な組織ではないので。


「あー、今回の議題はだなぁ。まぁいつも通りセイバーズに関してだ。どうやってぶちのめすかなんだけどー、なんかいい案ある奴いるかぁ?」


そうして進めていると


コンコンッ


会議室の扉をノックする音が聞こえる。


「あぁ、ロアか。入れ。」


ボスのその声に促されるように会議室の扉が開く。

そこにはカラカラと台車を押したロア。

バッドエンズも人数そこそこいるからね。

お盆とかだと運びにくいため、台車が用意されているのだ。


「お疲れ様っすー。飲み物持ってきたっすよー。」


「わーい!のどかわいてたんだぁー。」


そう言って無邪気にはしゃぐ蜂須賀。

それを見たロアは


「んんっ、……とりあえず配るっすね!」


軽く悶えたあと、仕事にかかる。

コトリコトリとそれぞれの前にカップを置いていく。


「ほぉ、いい香りではないか。」


「ボスのは高級玉露っすからね!」


「俺のなんか黒くねぇ?」


「気のせいっすよ。ウッドフェアリーっす。」


「……?」


「なんでもねぇっす。」


須藤にジョークはわかってもらえなかったようだ。

もちろん飲み物の色に関する須藤の意見は正しい。

気のせいなんかではないぞ。


「んじゃあ次は寺ちゃんと、蛛井さん。で、これがフミ先輩とシン先輩の分っす。それとウイ姉さんにはこれっすね。」


そう言いながら最後に中谷にカップを渡してロアの仕事は終了だ。


「ありがとうロア。ところでなぜそれぞれに渡したの?同じじゃないのかしら?」


中谷の最もな疑問にロアは答えた。


「違うっすよー。事前に飲みたいもの聞いたっすからね。それぞれに合わせたっす。ちなウイ姉さんにはアミノ酸とコラーゲン入りの美容ドリンクっす!ますますキレイになっちゃうっすよー。」


「あら、嬉しいこと言ってくれるじゃない。」


そう言ってロアのほっぺたをふにふにする。

ロアもちょっと楽しそうだ。

キレイなお姉さんは好きですか?

もちろんです。

そんな微笑ましい光景を蛛井は少し羨ましげに見つめていた。


「んじゃあ、仕事終わったんで退室するっすねー。」


そう残してロアは部屋を出ていった。

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