表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
悪役令嬢ってなんですの。  作者: 相良 美佐
10/13

少年の願い事

 「僕に用って何?」

 中央広場の噴水に腰掛け、テイに今し方貰ったばかりの菓子を頬ばる。

 

 「リツカお姉さんと君との関係をしりたくてね。」

 「関係?」

 「そ。花屋で働きだす前を聞くと、みんな君と歩いているのを見たって言うんだ。だけど、その話しか聞かないんだ。なんか不思議だよね?」


 テイは少年の横に座りながら優しく問いかける。


 「ん~・・・。何で知りたいの?お兄さん何者?悪い人?」

 「いい人だよー。さっきの街を守っている人達のお友達だよ。」

 「ふ~ん。だから強いんだね。さっきかっこよかった。」

 ありがとうと言いながらテイは少年の頭をポンポンする。



 「・・・リツカお姉さんは僕が呼んだんだよ。」

 「呼んだ?」

 「僕ね。昔シェリーに助けて貰ったことがあるんだ。ずーっと恩返しがしたくて悩んでいたの。まだ子どもだから出来ることも限られるし。シェリーはお礼なんてしなくていいって言うし。だからお願いをしたんだよ。」

 「お願い?」

 「お兄さんお願い事したことないの?みんなするよね?僕、シェリーにちゃんと笑って欲しかったんだ。ずーっと笑っているようで目は笑ってなくて。で、花屋には沢山の色があるでしょ?だから。」

 「・・・だから。って何が?」

 「え?だからあ、花屋さんだから色々な花のいろがあるでしょ?だけどシェリーの花屋には黒い花はないから、黒い花をプレゼントしたら喜ぶと思ったんだよ。分かる?」

 

 少年は心底呆れた顔をしながら、さも当然のように言い放った。

 「ち、ちょっと待ってね。プレゼントしようと思ったのは分かった。で、どこでリツカお姉さんと出会ったの?そもそも花じゃないよね。」

 「えー。お兄さん頭悪いー。さっき言ったじゃん。呼んだって。王国には黒い花は咲いてないでしょ?だから女神様に頼んだんだよ。黒い花を呼び寄せてって。」

 「・・・」

 「呼び寄せたら、黒髪の女の人が出てきてちょっとビックリしたけど、綺麗だし花みたいなもんでしょ?だからきっとシェリーも喜ぶと思ったんだ。実際とても喜んでくれたし、短い間だったけどシェリーは見違えるほど元気になったよ。」

 「そっかー。・・・ごめんね。リツカお姉さんはどこから出てきたの?お兄さんに分かるように教えてくれる?」

 「え?ここだよ。ここ、中央広場の噴水からだよ。女神様にお願いしたんだから当然でしょ。」

 

 (・・・噴水?) 

 テイは思わず噴水を見上げる。噴水の中央には女神像があり、いつもと変わらず微笑んでいる。

  

 


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ