儚き乙女の章4
違うんです!・・・私、エーフィル様が
好きなんです。
(・・・・・来てくれない)
次の日もその次の日もエーフィル様は来てくれなかった。
結局口付けは誰だったのだろうか
私の事を気にしてくれるなんて
エーフィル様以外考えられない
やっぱりエーフィル様だったのだろうか?
そう思うとルージュは何故か顔が火照って来るのだった。
でも来られたら来られたでどんな顔をすれば良いのか
分からない、
エーフィル様は女の人なのに
私はあの方をただ、敬愛しているはずなのに
何だか変だわ
ルージュは心の中でエーフィルの
艶やかで綺麗な夕焼けの髪と瞳を思い出した。
優しげな顔、視線、優雅な立ち居振る舞い
何より思いやりが深い所が素敵だと思った。
(貴方に、お会いしたいですエーフィル様)
「・・・・・ルージュ・・・・・。」
エーフィル様の声がして
慌てて振り向いた。
(エーフィル様!)
嬉しくて微笑んだ
けれど、何故かエーフィルは驚いた顔をして
はにかみ笑いをした。
「・・・・・・ルージュ、私、・・・・」
言いかけてエーフィルがルージュに近づいてくる
すると急に、激しく鼓動が高鳴って
心臓が口から出るかと思う。
会いたかったのに、余りの苦しさに、
ルージュは、エーフィルに
背を向けて走り出した。
「・・・ルージュ!?」
焦るエーフィルの声をバックにルージュは
気付いてしまった。
エーフィルに恋をしているんだと
どんな顔をして会えば良いのか分からない
女の人なのに
ドキドキして
エーフィル様は女の人なのに
そう心に言い聞かせても
ルージュの心はかき乱されたまま
落ち着いてくれない。
走って走って
足がもつれて転んでもさらに走って
走り抜けた先の
何処かの壁と壁の間に入り込んで
ルージュは息を整えた
誰にもこんな馬鹿な私を見せたくない。
あんなに美しくて優しくて高貴で
素敵なエーフィル様にこんな浅はかな気持ちを
抱いているなんて申し訳なくて
ルージュは涙が出た。
もうきっとエーフィル様に会えない。
こんな気持ちでお会いしたら
エーフィル様を汚してしまう。
何処かに私を消してしまいたい。
なのに・・・・・
「ルージュ・・」
エーフィル様が追いかけてきた。
絶対見つからないと思ったのに
どうして
「・・・・ルージュ・・・ごめん・・・
本当は・・・・・・追いかけ・・・・ない・・・ほうが・・・
良かったのかも・・知れないけれど・・・・・私はこういう場合も
どうしたら良いのか分からなくて。」
エーフィル様が何故か悲しそうな顔をしている
エーフィル様が息を切らして
エーフィル様が走って、そして汗を流して
「泣いているの?・・・どうして?
私が悪いのか?
私が嫌いなのか?ルージュ」
おろおろとエーフィルが近づいてきた。
(違うんです!・・・私、エーフィル様が
好きなんです。)
首を振って
思わず口が聞けたら言ってしまうところだった
よかった口が聞けなくて
エーフィル様を汚さなくてよかった。
貴方は私の神聖な神様なんだから
ルージュは切なく見つめた。




