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草原の狼の章10

「・・・・カルー・・・・俺の『暁の女王』

愛するカルーと子に月と炎の加護が・・・・ありますように・・・」
















季節が一つ巡り再び二巡目に入ろうとしていた。














「違う・・・・違うはずだ・・・そんな」


最近、身体がおかしい


カルーは疲れやすくなっている身体と


吐き気がする身体を抱えて謁見の者が去って行った


執務室のソファにもたれかかっていた。




心当たりはない事も無い


無いどころか心当たりだらけだった。


願わくば今思っている心当たりの


他の有り余る心当たりであって欲しいと思うけれど




シルクの感知能力程では無いが


カルーだって勘は良い方だ


きっと当たって欲しくない方なのだろう




「・・・・どうしよう・・・ケーナズ・・シルク」




お腹を押さえて困惑する。




(黙っていようかケーナズにもシルクにも・・


でもいずれ知られてしまう・・


特にシルクの感知能力の前に隠し通す事なんて到底出来ないだろう)




「第一国王がどうやってこの身を隠し通せると言うのか」


仕方が無いと苦笑して


カルーは心の中でシルクを呼んだ。














シルクは、


「カルーのケーナズへの想いは分かってたよ


でも、国王と巫子王としてお互いに配偶者となっている身としては


私が身を引いてカルーとケーナズを婚姻させると言う事も出来なくて」


ほんの少し切なそうにカルーを見ているシルクを


申し訳なさそうに見返す。




「・・・カルー・・・・私の子として産むかい?


ケーナズに言いたくない


負担を掛けたくないと言うのなら」




「・・・・・・ケーナズが好きなんだ


お前と、シルクと同じくらい。


ケーナズは私を好きだと言ってくれた


でも、私はケーナズと共に歩めない。


私は、国王だ。・・・・・国の安定を一番に考えなくてはならない。」




シルクは、その言葉を聞いた後、


カルーの表情を見損ねないようにじっと見つめ




「そんな自分が、ケーナズの負担になるかと思ったんだね


私はね・・・・・でも、それで良いのかい?と、


君に聞きたい。・・・・・・カルーそれで良いの?」


静かなシルクの言葉を聞いてカルーはいつもの気丈さからは


感じられない程、あどけなく涙を零した。




「・・・・・・どんなことになっても・・・・何時だって


何時までだって、私は、カルーを愛しているよ


カルーも同じように私を愛していると分かっているよ・・・・・行っておいで」












カルーは一度だけの交わりで愛するケーナズの子を宿していた。








「ケーナズ!・・・・ケーナズ!


好きだ!・・・・大好きだ!


私、お前の子が!」








カルーは、お腹に子どもが居るというのに


愛するケーナズの元へと思わず駆けた。












ケーナズは・・・・・・・。






























いつものように


魔族討伐に出かけた

カルーとケーナズは、深紅の魔王の娘である

漆黒の魔女に出会ってしまいかなりの苦戦を強いられた。



「女王お逃げ下さい!!・・・ここは私が

食い止めます・・・どうか、お体をお厭い下さいませ

・・・そして・・・我が子を・・どうか・・・。」



ケーナズは自らを囮とし時間稼ぎをし、

引き裂かれ息絶えた。


「・・・・カルー・・・・俺の『暁の女王』

愛するカルーと子に月と炎の加護が・・・・ありますように・・・」


神の力を持つ女王に恋をした

勇者は、敵うはずのない恋に命を捧げ

女神の身元に去っていった。

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