涙を流した怪物
人は人に
鳥は鳥に
化け物は化け物でしかなれないのです
最初の化け物が例え人であったとしても
ここでは無いどこかの世界
あるところに怪物がいました
その怪物は太っていて顔には大きな牙があり太い指には鋭い爪がありました。
近くに住んでいる村の人々はその怪物を退治しようと武器を持ちやってきます。
毎日毎日怪物は人々を追い払っていました。
ある日道に迷った1人の旅人が怪物の住処にやってきます。
怪物はいつものように追い払おうと腕を振り上げますが旅人は逃げません。
大きな声を出して追い払おうとしますがそれでも旅人は逃げません
怪物はどうやっても逃げない旅人に聞きます
「なぜお前は俺から逃げない、俺は大きな爪を持っている、大きな牙を持っているお前を食べてしまうぞ!」
旅人はそれに答えます
「貴方には爪も牙もあります。私にそれはありません。でも私にも刀があります。それに貴方は大きな声をあげ腕を振りましたが、私に当たりませんでした。」
その答えに怪物は大笑いします。
「偶然当たらなかっただけさそれに俺の体と顔を見ろ醜いだろう?近くの奴らはこれだけで震えて逃げ出すぞ」
旅人はまたもそれに答えます。
「私はあなたより醜いモノを知っています。なのであなたに驚くようなことはけしてありません。」
怪物はもっと大きく笑います。
「オレ様よりも醜いものなんてこの世にあるものかならなぜ近くの奴らはオレ様を退治しようとする」
旅人は言います
「近くの人たちは貴方より醜いそれを見たことがないのです。だから貴方を退治しようとするのです。」
怪物の笑い声が止まります。
「それなら俺にもその醜いものを見せてみろ。」
旅人が初めて言葉を濁します。
「今すぐに見せることはできません。しかし、私の言うことを聞けば見れるかもしれません。」
怪物は旅人と約束をしました。
次の日旅人は怪物と一緒に近くの村に向かいます。近くの藪の中に怪物を隠すと彼は村人と話します。
「こんにちはこの近くに怪物がいると聞いたのだけれど本当ですか?」
彼が聞くと村人は答えます。
「旅の人かその話は本当だ怪物は近くの沼地に住んでいる」
旅人は聞きました。
「その怪物は何か悪さをするんですか?」
村人は答えます
「いいや、だけれど恐ろしく醜くてでっかい牙にでっかい爪があるだから退治しないと」
旅人はそれだけ聞くと怪物の隠れている藪の中に戻ります。
怪物は聞きます。
「どこに俺より醜い奴がいるんだ?」
旅人は答えます
「まだですまだ出てきません。ついて来てください」
旅人は沼地の反対にある村に行くとまた藪の中に怪物を隠し村人に聞きました
「こんにちはこの近くに怪物がいるときいたのだけど」
するとその村人は答えます
「旅の人かあの怪物はそのままにしておいてくれ」
旅人がその訳を聞くと村人は話します。
「私たちの村は沼地の向こうの村と仲が悪い、怪物が真ん中にいるから私たちは生活できている。」
旅人は村人にお礼を言うとまた藪にいる怪物の元へ戻ると怪物は聞きます。
「おい、俺よりも醜い奴はやっぱりいないじゃないか」
旅人は静かに言います
「それでは3日間沼地を離れてくださいそうすればその醜いものは現れます。」
怪物は言われた通りに3日間沼地を離れました。
3日たち怪物が見たものは沼地に山が出来ていました。
その近くにあの旅人がいました怪物は旅人に近づき聞きました。
「あの山はなんだいったい何が起こったんだ?」
旅人は答えます。
「貴方がいなくなった事を2つの村に伝えました。そうしたら人狩りが始まったその結果です。」
怪物は自分の住処を見渡します沼地には埋め尽くすように村人の死体が浮かんでいます。
怪物はそれの1つを持ち上げます
それは顔の半分が焼けただれもう半分は虫に食われていました
怪物はそれを元に戻すと旅人に言います。
「それで俺より醜いものとはこれのことか?」
旅人は言います
「いいえそれではありません。それでは見に行きましょうか。」
旅人はそう言うと怪物と一緒に近くの村へ向かいます。
そこでは酒を飲み歌い騒ぐ村人の姿がありました。
旅人は近くにいた村人に話しかけます。
「狩りは成功みたいですねそれでは約束通り戦利品を見せてください」
旅人がそう言うと村人は大急ぎでどこかへ行きました。
旅人は怪物の方を向くと言います。
「今から見せるものがあなたよりも醜いものです。」
怪物はジッとその様子を見守っているとさっきの村人が戻ってきます。
「これが今回の戦利品だ」
そう言うと手に持っている鎖を引きます。
鎖の先には女性や子供が繋がれていました、彼らは涙を流し体を震わせています。
中には足や腕が無いものもいました、村人はそれを笑いながら旅人に見せます。
「あの村は今までで一番多く戦利品を取れたあの怪物がいた時はできなかったけれどあんたが教えてくれたからなよかったら好きなのを持って行け。」
旅人は聞きました。
「それでは向こうの村に人はもういないのですか?」
聞かれた村人はまた笑いながら言います。
「いいや、少しだけ残っているよ」
そう言うと鎖を引いてまたどこかへ戻っていった。
旅人と怪物は沼地へ戻っていくと
怪物は言った
「あの鎖に繋がれた奴らはなんだ?なぜ同じ生き物があんな事をしている」
旅人は答えた
「あれは奴隷というんだあれを物として売ったりする」
怪物は聞いた
「なぜそんなことをする?奴らは同じじゃ無いのか?」
旅人は言った
「同じ人間だけれどもう違うアレはモノだこれと同じ」
死体を指差しながら言う旅人に怪物は聞く
「でもあれは生きている小さい奴もいた」
旅人は頷き答える
「奴隷になったものは全部ああして繋がれる怪物として生まれた君には分からないですか?」
怪物は首を横に振る
「分からないそれに醜いものがアレとお前は言ったが俺にはちっとも分からない全部一緒だ。」
旅人は怪物に言った
「それではもう1つの村へ行ってきてください」
沼地の反対に着くと怪物は足を止めた
そこは今まで見たことも無い世界だった。
住処は焼かれ残った人々は死体のそばで泣いていた村人が怪物を見つけると悲鳴が上がる
「怪物だ!」
村人たちの目が怪物に集まると痩せた子供が棒を片手に怪物に近づき弱々しく叩く
「お前が!お前がいなくなったから」
泣きながら棒で叩く子供を怪物は見下ろす焦げた布切れを体に巻き自分を叩く小さなそれは
「お前がいれば父さんは死ななかった人狩りは無かった!」
と声を上げる
何処からか石が飛んでくるそれが体に当たるそれに合わせて怒号が飛び交う
「お前さえいれば!」「今さら帰ってくるな!」「お前のせいだ!」
傷ついた村人が無数の石を自分に投げてくるその狂気に怪物は急いで沼地へ引き返す
旅人はさっきと同じように死体のそばにいた怪物の姿を見ると
「何が見えましたか?」
と聞くと怪物は首を横に振る
「分からない、でも俺は初めて必要とされてた」
旅人は死体の山を見ながら言った
「貴方は人間はすべて同じと言いましたね。どうですか?本当に同じですか?」
怪物はやっと分かりました自分を襲っていたものがなんだったのか
怪物の目から涙が溢れます。
「奴らは俺が醜いから退治しようとしてたんじゃ無い俺が邪魔だったから退治しようとしてたのか俺はこの場所にいなきゃいけなかったのか。」
旅人は怪物を見ながら
「過ぎてしまったことです今さら元には戻りません。さぁ約束は果たしました。あなたよりも醜いモノそれを見せました。それでは私は旅に出ます。」
旅人はそう言って何処かへ去っていった。
怪物は死体の山に囲まれた沼地で泣き続けた。
………さて結果はどうでした?
あの怪物を置くことで生産性は上がりましたか?
なるほど、安心感を与えることによって出生率を13%も上げられましたか。
それではビオトープ3と5でも同様に続けましょう。
結果次第では全てのビオトープに彼を放ちましょう
あーそれと取り残しは全て処分してください。
彼はどうなりました?そうですか"狩人"達を襲ったとき何か言っていた?
記録映像を見せて下さい。それと私の服を
「この化物共め!お前達を全員食い殺してやる!呪われてしまえこの#%^~${!くそ!避けるな!なぜ捕まえられない!離せ!奴は何処だ!奴も殺してやる!」
もぅいいです止めてください。彼はしっかりと出来上がっていますね。彼は貴重な被験体ですから、しっかりと保護してください。
さて、少し休みますので皆出て行ってください。次の狩りは3日後ですねそれではまた私が行きましょう。いえ、いいんですよこの工場で書類と映像の確認以外の私の大切な仕事ですから。では3日後に…
あの怪物は最後に気づいていましたね…ほんとうに醜いものに。あの時の彼の流した涙アレはどうやって流したのでしょうか、怪物は何も食べられない、誰も襲えないだから体に代謝の機関は無いはずなのですが。まぁ面白い物が見れました。
良い仕事だほんとうに良い仕事…
参考資料
ソイレントグリーン
シュレック(醜い怪物の物語)
(game)
elder scrolls Ⅳ オブリビオン
fall out
テイルズオブシンフォニア