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短編集  作者: 黒澤 由亜
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Don't look at me

泣くのを我慢するのは、とても苦労した。

嗚咽を我慢するのは、簡単だった。

掠れた声を隠すのは、私の十八番だった。


何度も何度も泣いた。その度、何度も隠した。

私をよく知らない人間を騙すのは、容易だった。

赤い目元は、隠しきれない。しかし、彼らはそれに気付くことはない。

〝隠している〟から。


大丈夫だと言えば、誰もが離れていく。

声を漏らさずにいれば、誰も近寄ってこない。

それでいい。私は一人でいい。

ずっとそうだったから。何もかも、〝隠して〟きたから。

何も言わない。何も聞かない。何もしない。何も見ない。視ない。

紗に覆われた、自分自身。


雨の音がする。空が哭いている。

雲が覆う。神鳴が轟く。

顔に雫が滴れ落ちる。


ほら、もう何も見えない。



【Don't look at me】

(私を見ないで)


我慢して我慢して、壊れた少女。

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