6.ピクニックに出かけましょう
会合を経て、パパさん達にもお友達ができたようです。
今日は何組かの家族と一緒にピクニックにお出かけです。
「さあ、フィリア、お出かけだよ」
パパさんは私を抱っこして、いつもと違う乗り物に乗り込みました。
もちろんママさんをエスコートして乗せてからです。
いつもは馬車に乗っていますが、この地域はラクダのような砂地を歩ける動物が主流です。
今日は初めて見る動物の背に、籠を乗せてそこに乗り込みます。
ってか、でかい、でかいよこの動物!
地球でいう象並の大きさですが、スリムな体
と脚はラクダを彷彿とさせます。
この世界では地球と全く同じ動物は見かけません。似たようなのはいるので、ラクダもどきの仲間なのかなと想像してみる。
ただ乗ってみると揺れは少なくて、絨毯やクッションのおかげもあって快適な移動です。
「ふふ、フィリア様はこの乗り物は初めてかい?興味をお持ちのようだ」
おっと、きょろきょろし過ぎましたね。
広い籠には他の家族もいたようです。どちら様でしょう、グラマラスな獣人の女性です。
「セベリア夫人!体調はもうよろしいのですか?」
パパさんもその人がいるとは思わなかったようだ。びっくりして声をかけている。
ん?セベリア夫人?ということは、まさか……
「ふぃーり!」
「あらん!」
アランは私を見つけると、ててて、と小走りに近寄ってきた。パパさんの膝をよじ登ってくる。
「ふぃーり!ごきげん!よう!」
「やあ!パー!」
私は咄嗟にパパさんにしがみつきました。
アランの目がきらきらと輝いている。今日はいつもと違い、白のシャツに紺の下衣とセパレートの服を着て、ふさふさのグレーの尻尾が見えています。
ビシバシと横に揺れる、グレーの尻尾が見えています。
「まあ、フィリア、アラン様よ?びっくりしなくても大丈夫なんだから」
ママさんが、パパさんの腕からそっと私を引き抜いて、絨毯に降ろしました。アランが耳をぴんと立てて、私に向き直ります。
最近のアランの勢いはすごい。私を見かけると真っ直ぐに突進して、ぎゅうぎゅうとひっついてきます。
まだ一歳と少しとはいえ、アランと私には体格差が出てきています。正直言って、受け止められる自信がなく、こわいのです。
しかし、これでもフィリア(1歳)、この時の為に鍛えてきました!
ママさんが私を絨毯に降ろすと、私はアランに背を向けて走りました。ぽててて、という擬音が似合うスピードですが、全力疾走に違いありません。
目指すは…!アランのご両親……!!
「だっこーーー!!!!」
私は大声で叫びながら、アランママにしがみつきます。むしろ抱っこのためによじ登ってひっつきます。
あ、アランママの柔らかなお胸が……ふさふさの毛並でも分かる、柔らかなお胸が……(自重)
アランママも、アランパパと同じく犬の獣人でした。グレーと白の淡い毛並みです。
出産後、体調を崩していたという噂で、こうした集まりで顔を見るのは初めてだったと思います。
「おや、フィリア様、愚息が懐いているというのは本当だったんだね。子どもは自重しない、怖がらせていたらすまないね」
アランママは、ぽんぽん、と背中を叩いて私を抱っこしてくれます。
アランから逃げた私を守ってくれるかのように。
え、この胸のときめき……アランパパといい、セベリア家は罪深いんだから!(アラン除く)
「おかーさま!ふぃーり!ぼくの!」
「アラン、フィリア様はモノじゃない」
アランはアランママの膝をぽかぽかと叩いて要求してきます。それをばっさりと切るアランママ。
な、なに格好良い……!!
安全地帯に逃げ込めた私は、わんわん鳴くアランを無視して、中を見渡します。
おや、アランパパは御者席のようなところで手綱を握っています。私の両親は、アランと私のやり取りをにこにこと見守っています。
両親は相変わらずヨーロッパ貴族のような格好だけれど、アランの両親はターバンやマスクや砂漠に向いた格好をしています。
他の家族とは、ピクニック先のオアシスで待ち合わせているそうです。
転生後、初の遠出じゃないかしら。
ピクニック楽しみです!
読んでくださり、ありがとうございます*




