2.異世界にいるようです
「あう、あうぅ~」
「はいはい、ミルクかい?食いしん坊さんだね」
どうしようもない空腹で目が覚めた私は、変わらない景色が夢でなかったことを悟ったのです。
「あう……」
パパさんと思わしき男性が、哺乳瓶を持ってきました。
しかし金髪碧眼の美男子に世話される日が来ようとは。美味しいような美味しくないような。
ママさんだろう女性は、長い金髪をさらりと流し、深海のような青い瞳を向けています。
2人ともローブやらドレスやら、ファンタジー要素満載の格好です。
赤ん坊に転生しただけでなく、ファンタジーな異世界転生だったら笑うしかない。
赤ん坊だから目もよく見えないけれど、美少女に生まれていることを祈ろう。
「本当にこの子はよく寝てよく食べるね。どちらに似たのかな?」
「ふふ、あなたにそっくりよ。寝顔なんて瓜二つよ。…そういえば、お隣にも赤ん坊が生まれたらしいわ。この子とお友達になってもらえるといいんだれど」
仲良いことは素晴らしきかな、仲良しカップルの会話ほど砂が吐けるものはないよ。ねえ、赤ん坊の前でいちゃいちゃしないで!
両親の会話は、ちゃぶ台返ししたくなる甘い雰囲気だが、ひとつ気になる話題があった。
べ、別に、お隣の赤ん坊=幼馴染フラグとか考えたわけじゃない。
心は大人だから、意識しないと友達が作れないだけなんだから!
「お隣というと、セベリア氏のことかい?それはいいね、彼らは勇猛なる一族だから。いい友人になれるとよいな。」
「ええ、聞いた話では男の子らしいの。この子を守ってくれるナイトになってくれるといいな…なんて思っちゃうわ」
おいおいママさん、私が男を手玉に取れるように見えるかい。って、今の自分の姿を知らないから何とも言えないけど。
絶世の美少女なら頑張れるかもよ!
「うちの子は毛繕いしなくていいけれど、あちらは大変だろうねえ。少し様子を見てから挨拶に行こうか」
「そうしましょう、獣人の女性は出産直後、特に気が立っているらしいの。子どもを守る母性本能とはいえ、刺激したら申し訳ないもの」
……ん?毛繕い?ジュウジン?
ここは、地球ジャないんでスカ………!!!
ありがとうございます*