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19.やってきました夢の国

「皆、紹介しよう。5年前私が出会った精霊の申し子、フィーリだ」

「は、はじめまして…」



や、やってきました夢の国……

目の前にいらっしゃる、青いターバンの方々。シャンク族は皆青い衣を着るらしい。目にも鮮やかな青から、黒に近い青まで色々だけれど、青には変わりない。


谷底でヴィスに助けられた私は、そのままヴィスの住処へと連れていってもらった。

ヴィス達シャンク族はいくつか拠点を持っていて、若い衆はそれらを回りながら旅をしているそうです。


全身の打ち身だけでなく、なぜか体の力が抜けた私はあの場から動けず、結局ヴィスの誘いのまま、この集落へと連れてきてもらいました。

はい、子どもの体とはいえ、おんぶしてもらいました、ありがとうございます、ご馳走様です。


集落は谷底を進み、少し岩場を登った横穴のなか。

こんなところに誰か住んでるなんて思いもしませんでした。


そして私は今、横穴の洞窟の一番奥、少し高い岩の上で、ヴィスに抱えてもらいながら紹介されたのです。


「ほっほっほ、これは可愛らしい客人じゃ。我々は精霊を奉る一族、貴女のことを歓迎しよう」

一番手前の蜥蜴のおじいさんがそう声をあげ一礼すると、他の皆さんも同じく頭を下げた。

な、なにこれ!こんな歓迎のされ方初めてです!


「フィーリ、場所を作るから、しばらくここで待ってくれ」

ヴィスは岩の降りたところにクッションや絨毯を集め、寝床を作るとそこに私を寝かせてくれた。

いやいやここで十分なので!お気遣いなく!


「ヴィ、ヴィス!あの、大丈夫だから!ここで十分です!」

「お嬢さん、怪我に薬を塗りますからのう。天幕のなかがよろしいのでは?」

ああ!そう言われると乙女としては何も言えません!


長老と思わしきおじいさんは、私の側に座ると労わるように頭を撫でてくれた。

ああ…年を重ね、少しゴツゴツとした鱗ですね。渋さが良いそのお顔は、なんだかドラゴンのように鋭い顔つきです。


「ふむ……ヴィスから昔聞いたとおりじゃ。お嬢さんは、精霊に愛されておるのですな。儂も長年生きてきましたが、お嬢さんのような方は初めてじゃ」

「え?精霊の申し子は珍しくないって教えてもらいました。この辺りはあまりいないのですか?」

「確かに、精霊の申し子には何度も会っておる。お嬢さん、もしや、ご自分のことは何も聞いておらぬのか?」

「え……?」



思いもよらない質問に、私は動揺した。

だって、自分のことを知らないのか、と聞かれても、それはまるで知らない"自分"があるのかという……


「お嬢さん、精霊の申し子に、会ったことは?」

答えられない私に、おじいさんは別の質問をしてくれました。

「あります。お家に、お師匠様と、兄弟子がいます」

家庭教師というのに気が引けて、そう紹介してみました。

「ほっほっほ、それはそれは心強い。お師匠殿は、どのような力を見せてくださった?」

「じいやはね、練習には土を使うの。ここに来るときには、大きな岩も動かしてくれたわ」

「それは素晴らしい。兄弟子殿は?」

「ダンは、熊の獣人だから、上手くできないらしいの。喋ると風が吹くの」

おじいさんの優しい眼差しに、私はつい早口で答えてしまった。

「お嬢さんは、どのようなことができますかの?」

「大したことはできないわ。火種を作ったり、泥水を水と土に分けたり、風で空を飛ぶことは失敗したままだし」

「十分、大したことですぞ。……お嬢さん、精霊の種はご存知か?」

「ええ、火・水・風・土の四大精霊って教えてもらったわ」


おじいさんは、私に何を言いたいのだろう。

問いかけに答えながら、じれったくなる。

「お師匠殿は土の力を使いましたな、兄弟子殿は風の力ですか。お嬢さんは、火・水・風・土、全ての力を使えるのでは?」

「え………?」


頷きかけた私は、ちょっと引っかかりを感じた。その言い方だと、まるで

「他の人は、一種しか使えないの……?」


おじいさんは、にこりと笑った。正解です、と言うように。


それは、特別なことなの?

さらに珍しいというだけでなく?なにか、あるの?


そもそも、おじいさんに整理して教えてもらうまで、気づかなかった。

ダンはともかく、じいやは気づかないように使っていた……?




「あの、おじいさん、」


「敵襲!敵襲ーーー!!!!」


質問しようとした私の声は、入口近くに控えた人の大声で遮られた。

え!敵襲?!一体誰が襲ってくるの?!


「ボネロ族だ!武装している!構えろ!」

おじいさんは、その言葉にさっと私の前に出た。咄嗟に毛布を被せ、私の姿を隠す。

「え、おじいさん!一体誰が…」


まさか庇うつもりじゃ、と毛布を顔からはたき落とした私は、入口向こうに見える姿に言葉を失った。




翼を大きく広げ、長槍を鉤爪で構えたその姿。

皆一様に胸当てをつけ、襲いかかる態勢を整えている。



「シャンク族!我々の客人を攫ったな!返してもらおう!!」




え、え、えええええええ!!!!




鷹の獣人、武装格好良すぎるよーーーーー!!!!!!!







フィリア は どうよう の あまり ほんね だだもれ だ !

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