崩壊 ‐それはものがたりのはじまり‐
天国の父さん、母さん、お元気ですか?
僕は相変わらず元気でやっています。
2人が亡くなってから日本―――いや、世界は大きく変化しました。
日本は相変わらず平和で、世界は隣国とのいざこざや戦争で色んな意味で賑わっていました。
ある日、空にぽっかりと大きな穴が開きました。
それは山なんて簡単に飲み込んでしまいそうな大きな穴。そして、その穴からこの世のものではない存在が次々と世界中にやってきたのです。
彼らの代表が世界中の要人を集め、こう要求しました。
『我々の世界は今、大きな危機に直面している。それが終わるまでの間、君達の世界に移住させてほしい』と。
しかし、そんな要求も受け入れられることもなく、軍隊をフル稼働させた国々は彼らを追い出そうとします。
それからのことは僕にも解りません。強いて言うならば商談の帰りに立ち寄っていた空港が彼らに襲撃され、あっという間に瓦礫の山になったことと吹き飛ばされた衝撃で地下のゴミ処理場で気絶していたことぐらいです。
それから1年、僕は彼ら―――『ファンタスマゴリア』の住人の世話になっています。
奴隷とかそういうのではなく、仲間として……
聞いた話によると僕以外の人間は皆死んだか僅かに生き残った人達がいる、と。
全てが無くなったこの世界で体験した出来事を本にまとめることにしました。
誰も読んでくれなくてもいい、だけど、この『世界』が存在したことを証明したくて……
マイペースで更新していきます。