女神は幼女でポン!
「楽しいポン!」
「今度は女神ちゃんがお母様の役でしゅ」
「はいポン!」
我が娘が庭でおままごとをしていたら知らない子が参加したと報告を受けた。
6歳くらいか?いつのまにか娘と遊んでいるそうだ。
今、女神と言ったか?
「あなた、パンだポン!」
ボンと空中からパンが出てきた・・・
「美味しそうなパンでしゅ」
魔法か?魔法なのか?
メイドと共に見守るが・・・
「パンにはワインだポン!」
「わーい、女神ちゃん。すごいのでしゅ」
空中から赤い色の液体がおままごとのコップに注がれている。
ワシは慌ててメイドとともに止めた。
「お嬢様、飲んではなりません」
「メアリー、そのお友達は?」
「女神様でしゅ」
「初めまして、女神だポン」
女神と名乗りやがった・・・
女神と名乗った幼女は白いドレスを着ていて、頭に茨の冠を被っていた。チクチクするだろう。
「どこの家門の子かな?」
「愚問だポン。神界に家門の定義はないポン!強いて言えば流れだポン!」
「では、どこから来たのかな?」
「女神ランドだポン!」
「何歳かな?」
「20万年と2,000年少しだポン!」
胸を張って威張って答える。
幼女なのにワシを馬鹿にするのか?
しかし、相当な魔法だ。有名な魔道士の家の子かもしれない。
「お父様、女神ちゃんと一緒にいたいでしゅ」
「女神は汝と共にありだポン」
「だから、女神様の名を騙るな・・・・背教者になるぞ」
「プゥ~、本当だポン!」
ほっぺを膨らませて怒る。仕方ない。しばらく屋敷に置くか・・・
ワシは仕事がある。妻に外に出さないように言い含めて王宮に参内する。
ワシの職責は勇者のお目付役だ。頭痛がいたではなく頭が痛い。
今度来られた勇者殿は・・・
「キャア!サカキ様、しまって下さい!」
「いいじゃん。ちょっと遊ぼうよ」
王宮のメイドにちょっかいをかけている。自分のイチモツを晒している。外道だ。
「ゴホン、勇者殿、訓練のお時間では?」
「よお、伯爵?良い娘いない?」
「サカキ殿、昨晩娼館行ったばかりではないですか?」
ちっとも訓練をしない。遊び呆けている。
「サカキ殿、訓練をしないと魔王を倒せませんぞ」
「余裕しょ。大丈夫、大丈夫、なんたって、俺の剣は山を切り裂くぜ」
一つ山を切り裂いたのは事実だ。でも、大勢の勇者が不覚をとっているのも事実だ。
「剣技を磨いて下さい」
陛下に報告をする。
「サカキ殿、少しも訓練をしません」
「何故、女神様はこのような勇者殿を寄越されたのだろうか・・・」
「女神様の御心は分かりかねます」
他にも頭空っぽのような聖女を寄越したりする。
イカン、女神様の御心を疑ってはいけない。
屋敷に戻ると妻が慌てて報告してくれた。
「あなた、女神ちゃんが池を真っ二つに割りましたわ」
「割った・・・」
「はい、池が割れて底が現われ。メアリーと手をつないで中を通りました」
「何の意味がある」
「お魚さんが可哀想だと言って止めさせましたわ」
「そうか・・・」
本物の女神様はどのような方なのだろうか・・・?
「しかし、あなた、早く親御さんを見つけないと・・」
「ああ、そうだな。王宮で声をかけているよ」
それから数々の奇行を行った。
「メアリーちゃん大好きだポン!」
「私も女神ちゃん大好きでしゅ」
「子供を作るポン!」
はあ?親の閨を見てしまった子なのか?体位を披露するのか?これは気まずい。止めるか。
「ゴホン、子供は霊獣が運んでくるんだよ・・」
すると、二人は手をつないで屋敷の庭の池に壊れた幼児用の櫛を投げ込んだ。
「えいだポン!」
「えい!」
すると、池が渦を巻き・・・
「ワン!ワン!」
犬が出てきた。狼みたいな犬だ。
「ワン!ワン!ワン!」
霊獣じゃないどう見ても犬だ。
「ワーイ、メアリーちゃんとの子だから、とっても良い子が生まれたポン!久しぶりの宇気比だポン!」
だからこそ恐ろしい。生物を創成した・・・・
リッキーと名付け。おままごとの相手をさせたり
子守犬みたいに大人しいが・・・
「ワン!ワン!ワン!」
「旦那様、瘴気が発生しております」
「な、何、リッキーが見つけたのか?」
時々、空間を見て吠えている。
ワシは確信した。
この子は女神の眷属ではないかと・・・
そうだ。勇者殿だ。勇者殿に女神様の事を聞いてみよう。
王宮に行く。相変わらずメイドに抱きついている。
「ウハハ!待て!」
「キャア!お止め下さい!息が・・・臭いですわ」
昼間っから酒を飲んでいるのか・・・
「サカキ殿!お止めなさい!」
「あ、おっさん。丁度良かった。伯爵の娘、クラウディアちゃんが今夜の伽な」
「な・・・」
「一度見たけど、顔を赤らめて下を向いていた。俺に気があるって、絶対に処女でしょう?俺、処女以外は受け付けないね」
「ご勘弁を・・・」
「じゃあ、魔王討伐に行かない」
勇者殿はむくれてしまった・・・
仕方ない。屋敷に戻り妻に報告しクラウディアと婚約者のリヒター君を説得する。
「クラウディア、勇者殿がご所望だ・・・」
「ヒィ、お父さま・・・」
「伯爵殿!」
「あなた、どうにかならないのですか?」
皆は分かっている。魔王討伐は最優先事項だ。最終的には断れない。
「お父様・・・いつですの?」
「今夜だ」
「なら、せめて、その前にリヒター様と契りを結びたいですわ・・」
「ダメだ。勇者殿は処女との事だ・・・」
「グスン」
その時、執事が飛び込んで来た。
「旦那様、奥様、勇者殿が来られました」
「な、何?もうか・・・」
すぐに勇者は現われた。
「チース、やっぱ女の子の部屋でやりたいしょ!」
下卑め・・・クラウティアの部屋で事に及ぶつもりか・・
「あ、彼氏君?じゃあ、見ていてよ。『彼氏君見てるー』ってやりたいな」
「勇者殿、あんまりです!」
その時、幼女の甲高い声が響いた。メアリーと女神と名乗るイカレタ幼女が来たようだ・・・
「クライディアお姉様と婚約者のリヒター様でしゅ」
「メアリーちゃんのお姉様が泣いているポン。メアリーちゃんは悲しいかポン?」
「悲しいでしゅ。お姉様、痛いの痛いの飛んでいけーですの!」
「さあ、子供の聞く話ではない。部屋に戻りなさい」
気がついたら勇者が震えている。
ガタガタと音まで聞こえてきた。
「あ、女神様・・・俺・・・真面目にするから八つ裂きはか、勘弁・・・天界からでてこられたので・・・」
「坂城は欠陥品だポン!刑務所に返品だポン!」
消えた。音もなく・・・詠唱は?
女神と名乗るイカレタガキはほっぺを膨らませて言った。
「人族が悪いポン!強い勇者が欲しいと言ったから犯罪者を呼んだポン!人柄と強さは関係しないポン!」
そうなのか・・・
さすがに女神かもしれない。
「凶悪犯だから一度八つ裂きにして大人しくさせたポン!」
「では、女神様、人格優先でお願いします」
「分かったポン!」
また、音もなく黒髪の種族が現われた。男、10代か?
「あれ、ここは・・・」
「女神ランドを経由していないポン!田中頑張るポン!セカンドライフだポン!」
「て、転移?異世界転移したの?」
タナカ殿は真面目に訓練を励んでおられるが、強さはサカキ殿の10分の1だそうだ・・・
「城で最低限の教育が終わったら、上位冒険者をつけて旅に出させるポン!」
「分かった」
「それで五分五分だポン!」
これから勇者殿は旅に出るのが慣習になった。
思えば、人族が不完全なのは、女神様が幼女だからかもしれない。
いや、人族が未熟なので女神様が幼女なのかもしれないが、鶏が先か卵が先かの論であろう・・・
今までクズ勇者や淫乱聖女が来た理由なのか?
「女神様・・・語尾のポンとは何ですか?大きくなっても使われるおつもりですか?」
「ボンとは梵だポン!真理だボン!最高の原理の事だポン!ゴータマ・シャダールタ。ブッタに授けたボン!!」
意味が分からない。腹が腹痛するではなく、腹が痛い。
このことは王宮に報告した。女神教はすっとぼけているが隠れて調査団を派遣した。
おそらく女神様は幼女なのは秘匿なのだろう・・・
すると、メアリーは女神様の愛し子なのか?いや、考えるのは止めておこう。
それから、クラウディアは無事結婚し。メアリーも結婚。孫が出来たが・・・
「メアリーちゃんの子、可愛いだボン!」
「フフフフ、女神様も・・・変わらずに愛らしい幼女ですわ」
「ワン!」
「あら、リッキーも精悍よ。この子、マリーロッテというの。よろしくね」
「ワン!」
まだ、女神様は屋敷にいるのです。
最後までお読み頂き有難うございました。




