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異世界放浪~クラフトワークス~  作者: 紫野玲音
第二章 聖なる森と出発
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45 死の原戦場跡①

 

 鹿之丞たちと別れるとすぐ、アーシアは教えられた方向を目指し歩いた。


 死の原戦場跡(せんじょうあと)は殺伐とした荒野が広がり、モンスターも近辺のものは、先ほど粗方片付けていたのか、安全に進むことができた。

 アーシアはまた、この辺りにはどんなものがあるのだろうと、気になって採取を始めた。

 マドカは呆れ気味だったが、早々に、


『おいらの移動用寝袋だして!疲れちゃったよ』


 と、スリングにそそくさと入っていった。


 死の原戦場跡では、珍しいアイテムが沢山採取できた。『聖なる森』とはまた違った方向性で、

毛皮や糸、骨類、石炭が多く、鉄鉱石、硝子石、硫黄鉱物、各種粘土、時には宝石や、見慣れぬ血脈石、血脈石の欠片(かけら)というのもあった。


しばらく行くと、前方の岩陰に煙がもうもうと上がっている場所がある。近づいてみると、強烈な臭いのするお湯が泡立つように低く噴き出していた。


「わあ!!温泉だ」


『ここ、くっさいよぅ』


 鑑定すると、やはり温泉水とでる。臭いがキツいのは硫黄の成分のせいだ。


「ちょっと、休憩しよう」

(うん、急がなきゃいけないけど、ほんのちょっとね。ほんのちょっと……)


『えー?!こんなところでぇ?』


 アーシアは、近くの岩の上にマドカを置いた。一度温泉に採取スキルを使うと大きなタライを出し、そこに入れた。熱すぎるので、水も程度に混ぜる。

 空間収納(ストレージ)から取り出した卵をざるに入れ、さらに木の桶に入れて、温泉が吹き出ている近くに浸けた。

 一度亜空間に戻ると、薄い着物に着替えて戻り、大きなタライの温度を確かめた。


「よし、いい感じ!」


『いいかんじ、じゃないよ。何する気?』


 ふふふ、と笑いながら、アーシアはゆっくり、湯着のままタライに浸かる。丁度良い温度だ。


(異世界で温泉とはな~しかも、外で!神経太くなったな~……どうせ、誰もいないし、いいよね)


 それにしても気持ちがいい、周囲は一応警戒しているが、モンスター一匹いない。


「マドカも入る?」


 マドカは一瞬にして、毛を大きく膨らませ逆立てて


『お断わりだよ!そんな地獄から出て来たみたいな水に!

 そもそも、おいら、お風呂なんかなくても、神力(じんりょく)できれいにできるぞっ』


「あははは、にゃんこはお風呂嫌いだもんね」


『おいら、水なんて、こ、こわくないぞ』


 ゆっくりお湯に浸かっていると、マドカは少し心配そうにアーシアを見ていた。


「どうしたの?」


『そんな毒水みたいなのに浸かって大丈夫なのか?』


 アーシアはタライの(ふち)に腕をかけて、顔をおいた。


「このお湯はね、温泉っていうの。入るとね、身体の痛みや疲れがとれるんだよ。この臭いは硫黄っていう成分でね……」


 マドカはぱたぱた尻尾を振っていたが、岩の上でくるんと身体を丸めて休んだ。



しばらくして、アーシアは湯からあがり、片づけをして温泉から卵を引き上げ、亜空間(ストレージ)作業場(ワークショップ)に戻った。

 もちろん、温泉卵はあとで美味しくおやつにいただいた。マドカは臭いと嫌がって食べなかったが。

 当然、湯の花にすべく、『抽出』もおこなってきた。いつ使えるか分からないが、楽しみである。

 硫黄などは、以前採れなかったアイテムなので、喜んで採取していった。


 一度着替えに、亜空間作業場の家に戻った時、死の原戦場跡を抜けるのに恐らく役立つもの、モンスター分布が分かる機械を、できるだけ短時間で作ろうと錬金釜の前に立った。

 ついでなので、発明錬金釜を使ってみよう。

 着想を得たのは、鹿之丞の言葉からで、モンスターは独特のエネルギーシグナルを発しているというのだ、そのシグナルはモンスターの心臓ともいえる魔石ではないかと、アーシアは考えた。


 なので、そのエネルギー()のようなシグナルを感知できるものを作ったらよい、ということだ。

 まず、方眼状の線があるガラスと銅線、合金板、魔石の欠片を用意し、媒介として中和剤や宝玉などを試す。

設計図を描き、発明釜で錬金を行う。

とりあえず、3種類の触媒の異なるものができた。


鑑定すると、


[デイス・モンスター発見機(機器):(品質C)/モンスター発見・中 隠蔽(ステルス)スキルは発見できない 大きい(数量)1/(特性)回復1] 


[デイス・嘘発見機(機器):(品質S)相手の嘘を数値で示す/(数量)1/(特性)よく見える] 


[デイス★モンスター&魔石発見マシーン・携帯用(機器):(品質S)モンスター及び魔石の位置を表示/発見機(数量)1/(特性)緻密性上昇2] 


(ああ、もはや、別のものができてるのがある。むしろちゃんとできてて、凄いと思わなきゃ。

それにしても、最後の名前だけ、なんだか気合が入っている?

 ……品質が中々良い)


 ピロン、通知音が鳴った。この音は、レベルアップかもしれない。頭打ちだったのが、急展開だ。

 すると案の定、止まっていたレベルが上がっていた。Lv.63、かなり上がっている。


 アーシアは、はっと気がつく。Lv.63なら、エリクサーが作れるではないか。


 今一度、今度はよく使う釜の前に立ち、スキルウィンドウからエリクサーのレシピを出す。

(うまくできなくてもいい、実績を作れれば……ね)



 レシピ【聖潔のエリクサー】聖潔の森のアウロリナ1、ラ・レーズの葉1、聖獣のレイヨウ1/2、(水)1、中和剤1(出来上がり数量1)



 材料の鑑定はそれぞれ、


 [聖潔の森のアウロリナ:聖なる森のザクロ 回復・極 状態異常回復・全回復 神聖力が豊富 (特性)聖潔なる森の恵み]


 [ラ・レーズの葉:鹿の好物  回復 全解毒 神聖力が豊富 (特性)ラ・レーズの慈悲]


 [聖獣のレイヨウ :鹿の角  回復、全体回復、回復再生、防御力5%アップ、状態異常耐性有 (特性)聖獣の力]



 アーシアは、エプロンと三角巾(さんかくきん)を被った。貴重な材料で、難しいレシピに挑むのだ、身なりはきちんとしよう。

 三角巾は、以前作ったスリングの余り布で、紺と白のストライプ柄なのだが、一見すると水色に見える。

 アーシアは、マドカとお(そろ)いになるので、このストライプ柄の三角巾を好んで着けていた。



『調合錬金』


 魔法陣が広がり魔法式も無事に出てくる、さっと式を完成したが消えるタイミングが早かったので急いで式を完成させて良かった。

 目前に豪奢(ごうか)なガラス瓶に入って、偏光色に光る液体が出来上がった。鑑定してみる。



 [聖潔のエリクサー(回復薬):(品質C)HPMP全回復/蘇生:HP5で復活/-/-/(数量1)/(特性)聖潔なる森の恵み]



(ああ、特性はやっぱり一つか。でも全体的に回復と状態異常回復のボーナスになる、聖潔なる森の恵みが付いてていいかな。

 ラ・レーズの慈悲は解毒、聖獣の力は使用後に、そうかバフがかかるんだね……)



 時間がないので、熟練度上げにクラフティングするのは控え、数個だけ作る。やはり、全ての効能の項目を埋めるのは難しかった。


 腹ごしらえのために、キッチンは全部まだ完成していないので、ある道具で軽食を作ってマドカと食べて、そして外に出た。


 南下すると冒険者がよく野営に使う小さな村があるという。

 その先に、大きめの地方都市であるゲアラドという街があるそうで、その先にアーシアたちが向かうセドゥーナ国があった。





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