30 遅れて来た『チュートリアル』
『それじゃあ、神さまからの来訪者特典を説明するぞ。
基本、来訪者は標準アルディアの人間より体力、魔力の基礎値、能力値、成長値が高い。これは、異世界の誤差みたいなもんだ。あ、あとレベル上限も高く解放されてるな。
そして、来訪者が貰える特典についてだけど、支援には来訪者共通のもの三つと個人個人違うものがある。
まずね、来訪者共通のやつ。やってみるほうが早いから、
『ステータス・オープン』か『ステータス』って言ってみて』
「っ!す……『ステーテス・オープン』!」
鑑定スキルを使った時のように画面が出てくる。
『うん、この画面を見ながら説明するね。ちなみに、おいら以外に見えないから安心して』
相手のステータスは、神獣とか従魔の契約者にしかわからないんだよ、とマドカが自慢げに言う。
画面は、かなり大きくて18インチのPC画面くらいある。丁度、ゲームのステータスウィンドウそっくりだ。アーシアはの名前やレベル、HPとMPバー、所持金などの項目があった。
(アーシア・デイス Lv.48……48?この間、鑑定で見たときよりかなり上がってる!成長が上がりやすいって言ってたな……HPとMPは、175/175と432/478、魔力のほうが多いんだね……性別女、年齢21に生年月日とスキルの一覧がなんか一杯だな。あとは、職業1と2?)
『ん?アーシア、おまえ、空間創造?魔術師なのか?初めてみたぞ! スキルは……
すごいな、こんなに沢山スキル持ってるやつ初めて見たぞ。鑑定も高いな。
え、瞑想も多いなぁ、魔術師みたいだ。やっぱり、錬金術師じゃなくて、魔術師なんじゃないのか?!
ええ?!採取スキルもありすぎだよ。』
「うん、そうみたい第3が熟練採取家だって……」
採取の熟練度が上がると採れる品質や量だけでなく種類も増えた。卵やら○○の剣やら宝石などだ。卵には戸惑ったがちゃんと食用だった。
『それにしても、普通はこんな表みたいになってないぞ』
スキルは、フローチャートみたいに繋がってる。1行目は空間創造魔法→亜空間収納・ストレージ→空間扉・ドアーズ→亜空間作業場・ストレージワークショップと続いている。初めてのスキル名にびっくりする。
(空間創造って、もしかして亜空間を作ることができるの?!次の作業場って亜空間に入るってこと?)
(ああ、肝心の錬金術!)そう思って読むのをとばし、錬金術の項目を見る。
錬金術の項目はさらに二つに分かれていて、攻撃錬金術、とか見慣れぬほうが先にきていた。
錬金術・攻撃→爆発・エクスプロージョン→破壊・ディストラクション→※分解(アーシア固有)……なんだこれは、と思いながら攻撃の箇所から枝分かれした矢印を追うと、解体・ディセクション(アーシア固有)となっている。矢印が右側に大体伸びているが上下に行くのもある。
「これって、項目の内容を詳しく見たいときは……タップしたらいいの?」
『んむ?タップ、とやらはわかんないけど、指で触ったらいいよ。詳しいページがでてくるんだ。
試しに……そうだな、分かりやすいところで、瞑想とか見てみなよ』
(やっぱりタップだね)タップもスクロールもできた。
言われた通りに、瞑想をタップしてみると、
[瞑想:多いほど、最大(MP)マナ量とマナ回復を速くする]と、載っていた。
(なるほど、だから魔術師が多いって言ってたんだ)
錬金術・攻撃の下が、錬金術・生産の項目だ。調合から始まり、調剤→回復薬→強化剤→解毒剤と毒薬?で終わっている。(毒と解毒剤はセットなのね)
次が錬金術で錬金生成と爆発物に分かれていた。爆弾、またもや物騒だ。思いもよらないワードに、アーシアは身震いする。
気を取り直して、調合の文字をタップする。知っている調合の名前がずらずら並んでいる。(おお、【お腹の友】が一番初歩だ。どれどれ)
アーシアは、ショックを受けた。調合レシピが載っていたのだ。
(教本が……電子ブックになってる。ああ、ビィドメイヤー先生………)
なんだかしんみりとした気持ちになってしばらく腑抜けたようにぼんやりする。
ビィドメイヤー先生の教本には載ってないレシピの名前もあった。
(これが、異世界チートっていうものか?いや、いいのよ、知らないことが知れてうれしいのよ…でもね……)複雑な気持ちだ。ただ先生の本には電子ブックにはない、コツとか豆知識、ありがたい先生のお言葉があった。
「ねえ、画面がレシピの本みたいになっているんだけど……みんなこんな感じ?」
『ううん~錬金術師になった来訪者は見たことないからなぁ。わかんないや。
でも、多分、ステータスを開くスキル自体が来訪者特典だから、そうなんじゃないの?もともと来訪者のなりたいものをサポートするものだから』
「そうなのね」
錬金レシピは後でじっくり見るとして、ほかの項目を見ようと、表の左下の欄を見た。
「イ、インベントリ?!」
『うん、固有特典の二つ目だよ。そこ、触ってみて』
『魔力展開して、『インベントリ』って言っても出てくるよ』
左下の大きめの桝には、数字も載っている。〔 5675/9,999,999〕とある。
(インベントリって言わなきゃいけなかったんだ。これは……便利。わぁ、アイテムが……5千くらい?あるってことかな。気になっていたけど、多いなぁ。上限が……凄い。だからパンパンになって入らなくなったりしなかったのかな?あ、サバイバルバッグ!)
インベントリを開くと画面が変わり、アイテムの名前が項目に分かれて並んでいて横に個数/上限が載っている。名前をタップすると同じアイテムが詳細つきで個々に並んでいた。
入手順のようだが、横を見ると量順・価格順・品質順などと書いてあり、表示の順番も変えられた。
『最後の三つ目の共通特典は、おいらだよ!ナビゲーターさ。
おいらは、空を雲に擬態しながら飛べるんだ。風の神獣さ!風魔法の攻撃して共闘できるぜ!必殺技も特訓してるんだ!手足から別々に、【爆風のストーム・トルネード】を繰り出し、違う位置にいる相手を4体同時攻撃するんだ!
その名も、《オー〇・ランジ攻撃》、だ!!』
「オールレ〇ジ攻撃じゃないの?」話を流し聞きしていたアーシアがポツリと言う。
『そう、それだよ!! よく知ってるな』
満足げにマドカが頷いた。
『それでだな……の敵を……ダダンとなぎ倒し――して、……』
と話に興じている中、アーシアは、在庫確認に忙しくて、思わず見入ってしまっていた。
(肉と魔石が貯まってるなぁ)
じっとしていたマドカは次第に、尻尾をパタンパタンさせだす。
(すごいな……ああ、あれもこれも――え、これはなんだ?)
少し不機嫌そうになったマドカが説明の続きを始める。
『それで!各人の特典は固有スキル!アーシアの場合は、
――空間創造魔法だ。
ふ~ん、お前がここに来て一番欲しかったスキルが空間魔法はなんだな。
あとは、スキルのところに固有っていう表示があるやつ。
異世界人は、オリジナル魔法を生み出せるんだよ』
なるほど、スキル画面に戻って見ると、こちらの呪文がわからなくて、編み出した呪文には(アーシア固有)のマークがあった。
(すごいな、『分解』もか……ええと、分解・デコンポーズ :生産スキル、※攻撃魔法にも流用可能 最大強力………え、か、[解体』は?)
[解体・ディセクション :❝ポッケナイナイ攻撃❞ 瞬時に相手を解体、腑分けし、空間収納にしまう、アーシアオリジナルの空間魔法との複合スキル (アーシア固有)]
(なんじゃこりゃー説明が酷すぎる!!❝ポッケナイナイ攻撃❞、 ❝ポッケナイナイ攻撃❞って、考えてもなかったよ)
まさか、スキルウインドウにオリジナルネーミングを勝手につけられているとは思わなかった。
(一体、誰がつけるんだ?!?!)極めて遺憾に思った。
ここまで聞いて、アーシアは、ふと心配になる。何しろアルディアに来てから1年も経っているのだ。
「と、ところで、取り返しがつかない要素って………ある?」
『ううん?取り返し?どういう意味かわかんないけど、ないと思うよ』
「そ、そっか……」
アーシアは、遠い目になりながらも、マドカの長い説明を聞いているのだった。
(こんな機能が、あったなんて。1年前に、知りたかった……)
(おまけ)
「ところで、マドカ。必殺技だけどね。マドカならオ〇ル〇〇ジ攻撃じゃなくて、鎌鼬とかがいいんじゃないかな……(猫だけど――)」
『カマイタチ?……かっこいい名前だな!気に入ったよ!どんな技だ?』
錬金術の(爆発)エクスプロージョンと、火魔法の(上級魔法)エクスプロージョンは呼び名は同じですが違う魔法で威力にも差があります
魔力展開:魔力を練って呪文を詠唱する準備段階のこと 同じ単語でも呪文にならない理由です
ポッケナイナイ:元の世界において、幼児に対して行う言葉
手に持っているものをポケットにしまわせる 地域性があるかもしれない
読んでいただいて、ありがとうございました また、よろしくお願いいたします




