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異世界放浪~クラフトワークス~  作者: 紫野玲音
第一章 異界の村と錬金術
31/190

30 遅れて来た『チュートリアル』

 

『それじゃあ、神さまからの来訪者(らいほうしゃ)特典を説明するぞ。

 基本、来訪者は標準アルディアの人間より体力、魔力の基礎値、能力値、成長値が高い。これは、異世界の誤差みたいなもんだ。あ、あとレベル上限も高く解放されてるな。

 そして、来訪者が貰える特典についてだけど、支援には来訪者共通のもの三つと個人個人違うものがある。

 まずね、来訪者共通のやつ。やってみるほうが早いから、

『ステータス・オープン』か『ステータス』って言ってみて』



「っ!す……『ステーテス・オープン』!」



 鑑定スキルを使った時のように画面が出てくる。


『うん、この画面を見ながら説明するね。ちなみに、おいら以外に見えないから安心して』


 相手のステータスは、神獣とか従魔の契約者にしかわからないんだよ、とマドカが自慢げに言う。


 画面は、かなり大きくて18インチのPC画面くらいある。丁度、ゲームのステータスウィンドウそっくりだ。アーシアはの名前やレベル、HPとMPバー、所持金などの項目があった。


(アーシア・デイス Lv.48……48?この間、鑑定で見たときよりかなり上がってる!成長が上がりやすいって言ってたな……HPとMPは、175/175と432/478、魔力のほうが多いんだね……性別女、年齢21に生年月日とスキルの一覧がなんか一杯だな。あとは、職業1と2?)


『ん?アーシア、おまえ、空間創造?魔術師なのか?初めてみたぞ! スキルは……

 すごいな、こんなに沢山スキル持ってるやつ初めて見たぞ。鑑定も高いな。

え、瞑想も多いなぁ、魔術師みたいだ。やっぱり、錬金術師じゃなくて、魔術師なんじゃないのか?!

ええ?!採取スキルもありすぎだよ。』


「うん、そうみたい第3が熟練(じゅくれん)採取家だって……」

 採取の熟練度が上がると採れる品質や量だけでなく種類も増えた。卵やら○○の剣やら宝石などだ。卵には戸惑(とまど)ったがちゃんと食用だった。


『それにしても、普通はこんな表みたいになってないぞ』


 スキルは、フローチャートみたいに繋がってる。1行目は空間創造魔法→亜空間収納・ストレージ→空間扉・ドアーズ→亜空間作業場・ストレージワークショップと続いている。初めてのスキル名にびっくりする。


(空間創造って、もしかして亜空間を作ることができるの?!次の作業場って亜空間に入るってこと?)


(ああ、肝心(かんじん)の錬金術!)そう思って読むのをとばし、錬金術の項目を見る。


 錬金術の項目はさらに二つに分かれていて、攻撃錬金術、とか見慣れぬほうが先にきていた。


 錬金術・攻撃→爆発・エクスプロージョン→破壊・ディストラクション→※分解(アーシア固有)……なんだこれは、と思いながら攻撃の箇所から枝分かれした矢印を追うと、解体・ディセクション(アーシア固有)となっている。矢印が右側に大体伸びているが上下に行くのもある。


「これって、項目(こうもく)の内容を詳しく見たいときは……タップしたらいいの?」


『んむ?タップ、とやらはわかんないけど、指で触ったらいいよ。詳しいページがでてくるんだ。

試しに……そうだな、分かりやすいところで、瞑想とか見てみなよ』


(やっぱりタップだね)タップもスクロールもできた。


 言われた通りに、瞑想をタップしてみると、

[瞑想:多いほど、最大(MP)マナ量とマナ回復を速くする]と、載っていた。

(なるほど、だから魔術師が多いって言ってたんだ)



 錬金術・攻撃の下が、錬金術・生産の項目だ。調合から始まり、調剤→回復薬→強化剤→解毒剤と毒薬?で終わっている。(毒と解毒剤はセットなのね)

 次が錬金術で錬金生成と爆発物に分かれていた。爆弾、またもや物騒(ぶっそう)だ。思いもよらないワードに、アーシアは身震いする。


 気を取り直して、調合の文字をタップする。知っている調合の名前がずらずら並んでいる。(おお、【お腹の友】が一番初歩だ。どれどれ)


 アーシアは、ショックを受けた。調合レシピが載っていたのだ。

(教本が……電子ブックになってる。ああ、ビィドメイヤー先生………)

 なんだかしんみりとした気持ちになってしばらく腑抜(ふぬ)けたようにぼんやりする。 

ビィドメイヤー先生の教本には載ってないレシピの名前もあった。


(これが、異世界チートっていうものか?いや、いいのよ、知らないことが知れてうれしいのよ…でもね……)複雑な気持ちだ。ただ先生の本には電子ブックにはない、コツとか豆知識、ありがたい先生のお言葉があった。


「ねえ、画面がレシピの本みたいになっているんだけど……みんなこんな感じ?」


『ううん~錬金術師になった来訪者は見たことないからなぁ。わかんないや。

でも、多分、ステータスを開くスキル自体が来訪者特典だから、そうなんじゃないの?もともと来訪者のなりたいものをサポートするものだから』


「そうなのね」


 錬金レシピは後でじっくり見るとして、ほかの項目を見ようと、表の左下の欄を見た。


「イ、インベントリ?!」


『うん、固有特典の二つ目だよ。そこ、触ってみて』


『魔力展開して、『インベントリ』って言っても出てくるよ』


 左下の大きめの(マス)には、数字も載っている。〔  5675/9,999,999〕とある。

(インベントリって言わなきゃいけなかったんだ。これは……便利。わぁ、アイテムが……5千くらい?あるってことかな。気になっていたけど、多いなぁ。上限が……凄い。だからパンパンになって入らなくなったりしなかったのかな?あ、サバイバルバッグ!)


 インベントリを開くと画面が変わり、アイテムの名前が項目に分かれて並んでいて横に個数/上限が載っている。名前をタップすると同じアイテムが詳細つきで個々に並んでいた。

 入手順のようだが、横を見ると量順・価格順・品質順などと書いてあり、表示の順番も変えられた。



『最後の三つ目の共通特典は、おいらだよ!ナビゲーターさ。

 おいらは、空を雲に擬態(ぎたい)しながら飛べるんだ。風の神獣さ!風魔法の攻撃して共闘できるぜ!必殺技も特訓してるんだ!手足から別々に、【爆風のストーム・トルネード】を繰り出し、違う位置にいる相手を4体同時攻撃するんだ!

 その名も、《オー〇・ランジ攻撃》、だ!!』


「オールレ〇ジ攻撃じゃないの?」話を流し聞きしていたアーシアがポツリと言う。


『そう、それだよ!! よく知ってるな』


 満足げにマドカが頷いた。


『それでだな……の敵を……ダダンとなぎ倒し――して、……』


 と話に興じている中、アーシアは、在庫確認に忙しくて、思わず見入ってしまっていた。

(肉と魔石が貯まってるなぁ)


 じっとしていたマドカは次第に、尻尾をパタンパタンさせだす。


(すごいな……ああ、あれもこれも――え、これはなんだ?)



 少し不機嫌そうになったマドカが説明の続きを始める。



『それで!各人の特典は固有スキル!アーシアの場合は、


 ――空間()()魔法だ。


 ふ~ん、お前がここに来て一番欲しかったスキルが空間魔法はなんだな。


 あとは、スキルのところに固有っていう表示があるやつ。

 異世界人は、オリジナル魔法(スキル)を生み出せるんだよ』


 なるほど、スキル画面に戻って見ると、こちらの呪文がわからなくて、編み出した呪文には(アーシア固有)のマークがあった。



(すごいな、『分解』もか……ええと、分解・デコンポーズ :生産スキル、※攻撃魔法にも流用可能 最大強力………え、か、[解体』は?)



  [解体・ディセクション :❝ポッケナイナイ攻撃❞ 瞬時に相手を解体、()分けし、空間収納にしまう、アーシアオリジナルの空間魔法との複合スキル (アーシア固有)]



(なんじゃこりゃー説明が酷すぎる!!❝ポッケナイナイ攻撃❞、 ❝ポッケナイナイ攻撃❞って、考えてもなかったよ)

 まさか、スキルウインドウにオリジナルネーミングを勝手につけられているとは思わなかった。

(一体、誰がつけるんだ?!?!)極めて遺憾に思った。



 ここまで聞いて、アーシアは、ふと心配になる。何しろアルディアに来てから1年も経っているのだ。


「と、ところで、取り返しがつかない要素って………ある?」


『ううん?取り返し?どういう意味かわかんないけど、ないと思うよ』



「そ、そっか……」


 アーシアは、遠い目になりながらも、マドカの長い説明を聞いているのだった。



(こんな機能が、あったなんて。1年前に、知りたかった……)






(おまけ)


「ところで、マドカ。必殺技だけどね。マドカならオ〇ル〇〇ジ攻撃じゃなくて、鎌鼬(かまいたち)とかがいいんじゃないかな……(猫だけど――)」


『カマイタチ?……かっこいい名前だな!気に入ったよ!どんな(わざ)だ?』









錬金術の(爆発)エクスプロージョンと、火魔法の(上級魔法)エクスプロージョンは呼び名は同じですが違う魔法で威力にも差があります

魔力展開:魔力を練って呪文を詠唱する準備段階のこと 同じ単語でも呪文にならない理由です


ポッケナイナイ:元の世界において、幼児に対して行う言葉

手に持っているものをポケットにしまわせる 地域性があるかもしれない


読んでいただいて、ありがとうございました また、よろしくお願いいたします

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