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異世界放浪~クラフトワークス~  作者: 紫野玲音
第一章 異界の村と錬金術
25/193

24 ビッコロ村の日々①

 

 初歩のレシピをしっかり安定して作れるようになったアーシアは、本格的な調合のレッスンを師匠から受けることになった。

 ポーション作りだ。また、同じ材料で中和剤も出来たりするので、一石二鳥だ。

ベースは一緒で、回復に特化したものを回復ポーションといい、調合の中和剤はそのままでも使えるが、触媒のように、特性移しに使ったりもできた。回復ポーションは、冒険者等によく使われる。


 師匠から、中和剤の後に、HPポーションを教わる。

中和剤に比べて、効果を明確に出さねばならないところが難しかった。


 そして、中和剤はループ生産(作ったものを素に新しいものを作ること)ができるので材料面で節約できてよいのだった。

 次に、 MPポーション、両方効果が付くポーションもだ。これには、魔法陣の維持とコントロールが大変だった。


 何度も何度も繰り返し練習すると、魔法陣にまた、例の図形のようなものが出てきた。

(よし!)と心の中でガッツポーズしながら、指を滑らせる。上手く光らせることができる回数も増えてきた。

 一番自信のあるポーションを鑑定してみると、


『鑑定』


 [HPポーション(回復薬):

   (品質C)HP回復・中 (味)カカンの味/(特性)回復2]


(うん、ぼちぼちだな。カカンの味って、たしか、柑橘系だったかな?不味くなくてよかった…)


 こういうアイテムはこの味の項目に不味(まず)いとかにがいとかすっぱいとか付きやすいので、これは上出来なのではないだろうか。


 それ以外にも、教本を見ながら、紫根膏(しこんこう)というムラサキネを使った火傷や湿疹によく効く軟膏を作った。ムラサキネはなかなか貴重で手に入らないので、あまり作れない。



 春はよいハーブが大量に採取できる時期だ。モンスターは恐ろしかったが材料になるアイテムの採取はしたかった。ニーちゃんとも行ける安全な採取地中心にしても、いっぱい採れた。


 若いハーブは質が良く特性もいろいろ持っていることが多い。キャリーローズ、元の世界のローズマリーに似ているのは、さわやかにすっきり香っている。

 コモミラはやわらかい少しりんごのような優しい香りで、以前、ニーちゃんと来たこの採取地も、今、控えめな小さな花々とハーブの良い香りに(あふ)れていた。少しとげとげして注意のいるネトルはフレッシュな香りで、若葉は『鑑定』すると特に質もよく、油を少し含んでいた。

 よかったことに、ムラサキやムラサキネも無事で、その茂みは以前より大きくなっていた。


『採取』

『鑑定』


 [キャリーローズ(植物):(品質A・100)記憶力・集中力向上、血行促進、リフレッシュ効果、老化抑制、抗炎症作用などの効能 消化促進や抗菌作用、抗酸化作用なども期待 育毛 アンチエイジング/「女王の化粧水」の材料として知られる/(特性)変わらぬ願い 回復2]


(女王!…特性の「変わらぬ願い」って何だろう…時々あるんだよね。キャリーローズにはみんなついてるっぽいから固有特性なのかも……)「変わらぬ願い」の箇所に試しに触れてみた。


 [変わらぬ願い:気分をはっきりさせ、回復などの効果を上げる]


(!なるほど。読めるんだね、説明…

 ……それにしても効果モリモリ、いろいろな調合に、使えそうだなぁ)



         ーーーーーーーーーーーー



 夏になると、学校のほうは、バベット先生からお墨付(すみつ)きがでて、アーシアは、無事卒業という運びとなった。

 みんなとすっかり仲良くなったので、アーシアの卒業が発表されると、クラスはひと騒ぎだった。

 ニムくんは目に涙をいっぱい貯めて、アーシアの手を握ってきた。他のみんなも寂しそうだったが、口々におめでとうと、お祝いの言葉を掛けてくれた。


 卒業遠足にと、次の学校の日に子供たちだけでで川遊びに行くことになった。


 村の川の上流に行って、みんなで川遊びや釣りをした。

釣り組のアーシアは、大きな岩々の一つの上で、釣り糸を垂れる。

 風は涼しく、木々はきれいな緑色で、実に美しかった。

 小さな子たちは、もう少し下流の水が浅く危なくないところで、水遊びをしていた。きゃっきゃと、にぎやかな声がする。


 年上勢もぼちぼち魚が釣れてきた。すぐ上流に大きな湖があって、こちらにきれいな水が流れてくる。今釣りをしているところは、意外に深いように見える。

 小さい子は、こっちに近づけてはいけない。


 今日主に釣れた魚は、銀色の柳のような形の美しい斑紋のある川魚で、夏メカワという。こちらの魚は大きくて、20㎝くらいは普通にある。


「今日は、随分釣れるほうだよ!」


 と小さく興奮気味に、いつもは物静かなディゴくんが言った。


 水面がキラキラと光に反射してきれいだった。

 が、しかし、その反射する光の奥で大きな黒っぽい影が写った。気のせいかと思って、顔を動かさないようにじっと目を凝らす。


「ねぇ、お魚一杯獲れたから、バケツを持って小さい子たちのところに戻ってくれない?そろそろお弁当にしようよ」


 ガルドくんとディゴくんに言う。


「もう少し下ったところにあった、ほら、白いの木の下なんて、よさそうじゃない?」


 アーシアは、気を付けて、何事もないように静かに言った。

2人は頷いて、子供たちのほうへ去っていった。ガルドくんは、少し(いぶか)し気な顔をしたが。



 そして、そっと静かに、注意深く、気づかれないように……


『鑑定』


[ブレマティカ(魚類系):Lv.53: (スキル)重量プレス トルネードアタック/水属性/水中モンスター]



 心臓がクっと締め付けられる。(落ち着いて、落ち着いて…)どのぐらい距離があるだろうか、きちんと魔法は当たるだろうか、子供たちに気づかれぬよう、アーシアは震えながら、手を構えた。



集中(フォーカス)解体(ディセクション)



 ぞわあと、魔力が一気に抜ける感じがして、次に魔石A、赤身肉、するどい骨、ヒレ、スモンオイル…と映像が流れてきた。

 攻撃が成功したようだ。魔石の大きさからして、大きなモンスターだったのだろう。


 額の汗に、涼しいさわやかな風があたった。


 その後、お弁当を食べてそれぞれの家に戻った。








日々が過ぎ、アーシアも逞しくなっていきます 

子供たちを描いている時はとてもたのしいです 

書いているうちに、どの子もとてもかわいく感じて、ついついエピソードが増えてしまいそうになりました


お読みいただきありがとうございました

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― 新着の感想 ―
子供たちが川遊びをするところに魔物がいたということは、しっかり伝えなくては、そのうち犠牲者が出てしまうよ。しっかり、伝えて欲しいね。
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