17 調合の訓練 ①
カタリナ師匠の調合の授業が始まった。【お腹の友】と【健康湿布】が作れるようになったため、つぎはアルディアで一般的な常備薬【エドナ軟膏】だった。また、今日は初歩の糸と紙も教えてくれるそうだ。
師匠は工房の中央にある大き目のテーブルに材料を広げた。
「【エドナ軟膏】エドナの花を使うのはもちろんだけど最初は上手くいかなかったり品質も低いから、沢山取れて品質も低い他の植物系の材料を多めに混ぜて練習してね。
レシピはエドナ花1~・(植物)2・蜜蠟0~1・(あぶら)3、
蜜蠟も最初は入れなくていいよ。調合鍋か錬金釜で『調合』、しっかり練って容器に入れてね。別のレシピでもできるけど、練習にはこれから、はい!」
カタリナ師匠はてきぱきと実物を見せながら説明し、一回分の材料をアーシアの目の前に置いた。
気になった素材を鑑定して確かめる。
『鑑定』
[エドナ花(花/植物):(品質D)皮膚や粘膜の修復、保護、消炎、抗菌、抗真菌、抗ウイルス作用 肌荒れ、傷、火傷、湿疹 (用途)軟膏、化粧品、うがい薬など /(備考)作用が穏やかで副反応も少なく、赤ちゃんにも使いやすい/(特性)回復1]
『鑑定』
[ミツロウ(蝋):(品質C)鎮痛・抗炎症作用、炎症やかゆみ を鎮める(用途)接着剤 化粧品の基剤 顔料に接着剤として混ぜ使うなど用途が多い/(特性)安定1]
調合鍋に材料をまとめて入れていく。『溶解』と、魔力を入れなかがしばらくかき混ぜると、短時間で滑らかにできるようだ。
『調合』
魔法陣がスムーズに出るようになっていた。魔法陣の模様にのっかるように、何やら別の記号のような線が映っている。線と線のつなぎに小さな〇があり、星座か…化学式の図ように見えた。この線がここまではっきり見えるのは初めてだった〇の一つに指を置くときらりと光ったが、その模様自体がすぐに消えてしまった。
魔法陣も消えて、薄紫色のクリームが出来上がっていた。
『鑑定』
[エドナ軟膏(分類 回復薬):(品質C)HP回復・弱HP**なし/軽い切り傷、あかぎれが治る/(特性)なし]
「うん、最初にしては随分、質のいい軟膏ができたね!!
その調子」
「はい!」
すぐに次の【エドナ軟膏】に取り掛かる。まずは一気に量を沢山作るのではなく、回数を多く行うほうがレベルアップになるそうなので、兎に角一回分ずつ何度も作っていく。
エドナ花×1に対してダミ草やヨモの葉も混ぜていく。
『調合』!『調合』!『調合』!
『鑑定』[エドナ軟膏(分類 回復薬):(品質E)HP回復・微弱 HP**なし 軽い切り傷、あかぎれが治る/(特性)なし]
『鑑定』[エドナ軟膏(分類 回復薬):(品質F)HP回復・微微弱 HP**なし 軽い切り傷、あかぎれが治るかもしれない)/(特性)なし]
『鑑定』[エドナ軟膏(分類 回復薬):(品質E)HP回復・微弱 HP**なし 軽い切り傷、あかぎれが治るかもしれない)/(特性)なし]
ビギナーズラックだったのか、師匠の素材選びがうまかったのか、自分で調合しても、しばらく品質はE~Fだった。
(それにしても、治るかもしれないってなに~?)
HP回復が微微弱で、回復できるかもしれない、どころか、回復には足らない、なんかもできてしまってちょっと凹んだ。
2時間ほど続けて手持ちの材料が少なくになって、やっと、品質D、Cができるようになった。
『鑑定』[エドナ軟膏(分類 回復薬):(品質D)(HP回復・弱 HP再*なし 軽い切り傷、火傷・あかぎれ等が治る/(特性)破壊1]
(おおっ、治るになったぞ。治る種類も…特性付いてる!増えてる!
でも、破壊1ってなに?!)
昼食の時間を挟んで、師匠に、糸と紙のレシピを教わった。はじめ錬金釜で調合し作業盤で成型する。
レシピ【糸】:蜘蛛の糸2・(糸素材)2
錬金釜に、材料を入れる。糸素材には蜘蛛の糸でもよかったので、蜘蛛の糸×4で対応した。
『調合』
糸になる素材は時間を置かず、すぐに完成した。
『鑑定』
[糸粘液(素材):(品質D・45)やわらかめ 依ると糸ができる/(特性)なし]
(ん、品質が数値化してる?)
糸粘液をへらで削いで作業盤の上に盛った。のりのような感触のものだった。
この量で3束分できるらしい。
「ええと、『成型』
シュルシュルと細い糸が浮かび上がると、くるくると等間隔で束ねられる。材料よりもずっとたくさんの糸ができたような気がする。そこが魔法所以だろうか。
(おお~ファンタジー)
『鑑定』
[糸(材料):(品質F・38)ただの粗末な糸、いびつ /(特性)なし]
(ちょ、鑑定内容がひどい。素材の時より品質落ちてるし)
糸の束をほどいて伸ばしてみると、確かに太さが不揃いだ。色も薄茶色で師匠の見本のように白くない。
(うーん、呪文を工夫してみようかな)
『成型/0.2(mm)』!
シュルシュルとまた糸が伸びて束になっていく。出来上がりを見ると今度は太さがきれいに揃っている。
しかも、ちょうど直径0.2mmくらいだ。
(お、やったぁ)
呪文に関してはこちらの言葉が聞き取れないので、ただ地球の言葉でオリジナル魔法風に言ってみているのだが、これがうまくいくのだ。こんな風にサイズも指定できるなんて、魔法ってすごい。
続けて、レシピ【紙】(木・おがくず)1・(ネバリアオイ)1・灰汁1
『調合』……糸と同じような工程で作ると、また泥っとした素材がができ、成型していくのだか、少し呪文にオリジナリティを入れようと考えた。
『成型/B5』
光の中に魔法陣がでると、また、軟膏の時に見た図形が現れた。急いで小さな〇に指を押し当てていく。それでも3つしか光を灯せなず、図形はあっという間に消えしばらくして魔法陣がなくなってB5サイズの紙が7枚出来上がっていた。
(あれ、出来上がりは5枚だったんだけど)
『鑑定』も行ってみる。
『鑑定』[アオイの紙(分類 紙):(品質F・53)黄白色 定着する * 粗い/(特性)なし]
出来上がりの色や手触りが悪いので、調合の段階で以前使った『溶解』と新しく不純物を取り除き、必要な成分だけを取り出す『抽出』を組み合わせて実験してみると、できる紙の色が白くなったり、キメが揃い滑らかになったり、かなり良い出来上がりになってきたと思う。錬金って楽しい!!
夕方までずっと作り続けて、カタリナ師匠に出来上がりをみせると、ひどくびっくりしていた。
糸の太さを表す単位「番手」と表すそうで 左綴りとか右綴りとかあるそうで、糸の直径って釣り用の糸なら「1号=標準直径0.165mm」という基準規格らしいんですが
呪文の唱え方、悩みます
『成型/左綴り/20番』とかが正解かもしれないですね…




