在りし日
これは…記憶の断片。
在りし日の私…いいえ、美羽の記憶。
「連理さん…待って下さい」
「んだよ美羽。何時まで敬語使ってんだ、もうお前は俺と結ばれたんだぜ?」
「でも…敬語で生きてきましたので…それに…私はこの喋り方が一番心地いいですから」
「もう良いけどよ。それと、俺達の住む家は決めたぜ…山奥の空き家だけどな」
でも…それでもこの人と暮らせるのなら…それでいい。全てを捨て去ってでも…この人と結ばれたのだから。
どんな所だって連理とならば暮らせて行ける。
「なら直ぐにでも行きましょう。ふふっ…連理さんと二人…」
「あぁ、行こうか。俺達が誰にも邪魔されずに…暮らせる所に」
。
そこからは幸せな生活が続いた。山奥でひっそりと暮らす。…食べ物も、飲み水も、全ては調達する必要もあった。でも、連理さんが魚も、肉も、取ってきてくれて、飽きない日々を過ごせた。
「この滝にはこのリモニウムの花を流すことで…願いが叶う見たいです」
「へぇ…確かに神々しさを感じるな。美羽と離れ離れになりませんようにっと」
「れ、連理さん…」
直接的な愛に頬が熱くなる。
私も何か願おう…。でもなぜか…直ぐに頭に浮かんでこない。
暫く悩んでいると、彼が私に向かい言う。
「何を願ったんだ?無かったら俺が美羽の分も願ってやるぜ」
「う、ううん。今決めました。連理さんを…絶対に一人にはさせない…」
「それって願いなのか?決意みたいなものだと思うが」
「こ、細かい事は良いんです!」
確かに、もっと他の願いの方が良かったかな?幸せに暮らせます様にとか…。
「帰ろうか。俺たちの家に」
「はいっ」
こんな幸せな日々…ずっと続けば…良いなぁ。
。
だが、そんな日々も…終わりはやってくる。鍵の奪い合いが始まった。両親から告げられた鍵の存在。そして、その役割。鍵は…あの人たちには渡ってはならない。それが、世界を終わらせる鐘だから。
「美羽…お前だけでも…逃げろ」
それが彼の最後の言葉。
目の前で力なく言う。彼の力は強大だった…でも相手の力も…また強大。そして…敗北した。だが、鍵が相手に渡ることは無かった。いつの間にか鍵は無くなり、そして…鍵を持たない私は、価値が無いとばかりに…無慈悲にも始末された。
「私は記憶…そして過去でもあり...未来」
そして…記憶として…この世界を彷徨う…亡霊となり果てた。幾億と…私、そして彼の行く末を見た。いいえ、過去でも未来でもない…虚構の記憶と言っても…過言では無いのかも知れない。
だってこの世界が虚構なのだから。その虚構で産まれた記憶何て…虚構に過ぎない。たとえ…そこに真実の愛があったとしても…それは虚偽の愛。虚構で産まれた愛は虚構でしかなく、ただの虚無である。
だが…それが分かっていても…私は彼を愛している。幾星霜の時が経っても、それが虚構と知っても…。偽りの愛しかなくとも…それが私を私で価値づける…たった一つの”本当”。
lol ばっかやってました。プラチナに上がったので一旦lol離れます




