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ヴァニタスの鳥籠  作者: 鮭のアロワナ、しゃろわな
三章
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序章

「なんだと?侵入者か…面白い。ここに来たこと…後悔させてやろうじゃないか」


「そ、それが...既に二人が死亡、一人が重症です!…奴は相当な手練れだと…」


「一人なんだろう?何を怖がることがある。一人で出来る事なんか…限られているだろうに」


「そ、それが…テーザーガンが効いてないみたいです」


ほう…電流に強い耐性があると言う事か。そんな人間が居るのだな…長年生きてきたが…初めてだ。


「信二は何処だ?あのバカ息子にやらせたら良い。あんなでも俺が直々に施したからな」


「はっ…」


ふっ...このご時世に襲撃か。実に面白い。



「ねぇな。貴重品がまとめられている金庫とかがあれば…」


「連理!ここ...なんか怪しい」


書斎の奥。俺には何も感じられないが…美羽には何か思う所があったみたいだ。


「俺にはなんも分かんねぇな。適当に押せば本みたいに動き出すかもな」


劇画の世界でしか見た事ないが。


「うん…?風か?」


何だ…この部屋に窓なんて無い筈だ。だとするならば…どこかに風が導かれる所がある筈。


「あっ...この本どこかで見たことがある」


「ヘミングウェイの誰が為に鐘は鳴る…か」


確かに…傑作だが、俺は好きではない。もともとどこかの詩か何かだった気がする。


「どんな本なの?」


誰が為に鐘は鳴る…人間と言う存在の繋がり。


「爆弾魔の話だ」


決してそんなことは無いが…強ち間違いでも無い。物語の意味を読み取る必要はあるが…俺はこの物語が嫌いなんだ。


「えー面白そうな名前なのに爆弾魔の話なの」


「あぁ、そうだ」


美羽も何れ読む事があるかも知れない。その時にこの本の意味を知るだろう。この本に感化されるという事は、俺達には許されない。もう、そう言う運命を辿って行ってるのだからな。


「何、気になるなら持って帰れば良い。暇な時にでも読め」


そう思い、ヘミングウェイの傑作に手を伸ばす。その瞬間、何かの装置が起動する音が聞こえた。


「これって…」


そして…時間を掛けながら、書斎の配置が変わっていく。秘密への通路か、ただの拷問部屋か。それは分からない。だが…俺たちに選択肢はない。


「こんな仕掛けをしてるって事は…視られたく無いものか…それ程大事なモノか」


そして…完全に新たな通路が出来る。誘われている…か。悪くねぇな。せいぜい愉しませてくれよ。


「おいっ!こっちだ!って、何だこれは!?」


もう追手が来たか。ならば迎え撃つのみ。


「美羽、お前は先に行け。俺は…ここで遊んでから行く」


「う、うん」


そうして書斎の奥へと美羽が走って行ったのだった。



「長いわ…どこにそんなスペースがあったんだろ」


可笑しい。屋根裏から入ったならば…この書斎は少なくとも地下でも…一階でも無い。だと言うのに…何故こんなにも長く続いているの?


平衡感覚も可笑しい。暗い…熱い…怖い…。


「連理が居なければ…何も出来ない」


違う…。自分だって出来る。連理みたいに強くない、連理みたいに機転が利く訳でもない。でも…ワタシだって…連理の傍に居たんだから。


惑わされるな。私と言う存在…連理と言う存在。私は私、連理は連理。


「思い出して…連理はこんな時どうする?」


少なくとも焦ることは無い。寧ろこんな状況を楽しんでいるだろう。思い出すんだ、連理を…あの人を。


…………そして…脳内に知らない記憶が舞い込んできた。その膨大な情報量は、私の脳内のリソース全てを…奪い去ったのだった。

ひねくれてるので誰が為に鐘が鳴るが苦手。好きな人はごめんなさい。

後、始まりましたね...。次の話からは”幸せ”あるいは、”愛”が副題ですかね。これはその序章です。美羽に何が起きたのか、ある程度予想は付いていると思いますが、どうなっていくのか...。

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