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ヴァニタスの鳥籠  作者: 鮭のアロワナ、しゃろわな
三章
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自身の哲学

「ある程度の情報は掴めたみたいですね」


生徒会室でフィリアが言う。この数日で情報はある程度掴めた。


「ああ、それにあいつはとっくに知ってたんだろ?」


キル…希望に対しての言葉。どうせすぐ近くに潜んでやがる。


「それはどうでしょう。彼にはすべきことが多いですか」


叢雲がしたい事、なんとなくだが、分かるようになってきた。


叢雲は一貫して正義の味方だ。残酷なまでにな。


「どうせ都合が悪くなったらすぐ潰すんだろ?」


それは俺達も例外ではない。必ずこいつらは敵になる。


「何故、何故連理さんは私に協力してくれるのですか?あなたの眼に私たちは味方と映っていない」


「別に美羽に手を出されたらそう言う訳にもいかねぇが…今は特に何も害は無いからな」


これから先脅威になるだろうが...俺が関わろうと関わらまいと結末に関係は無いだろうけどな。


そもそもこの女自体は只の胡散臭い女狐ってだけだ。


「聞いてんだろ?」


本来ならば何もない空間。


「凄いですね。もう私の気配が完全に筒抜けだ」


そう言ってキルが出て来た。どこからともなく現れる奴だ。幽霊かよ。


「いや、居るだろうって予測だけだ。まだお前の気配を完全に理解したわけじゃ無い」


「なるほどね…まあ同じような事だよ」


こんな幽霊みたいな奴今まで生きてきて会ったことが無いな…。幽霊は会ったことがあるんだが…。


「いつの間にフィリアさんの従者と仲良くなったんですか?」


美羽は俺たちが対峙するときには基本的に居ない為、疑問符を頭に浮かべていた。


「仲良くねぇよ」


「手厳しいね。似た者同士仲良くしようじゃないか」


気色の悪い奴め。心にも思ってないことがつらつらとよく出る奴だ。


「終わりだ終わり。トワイライトの事が今の優先事項だろ?」


本題はそれだ。今はこんな所でくっちゃべってる暇なんかない。


トワイライトをどうするのかだ。製造法に目を瞑れば画期的な薬だ。知る必要のない事を知ってしまった罰を俺達は受ける訳だ。


「勿論、こんな薬品を野放しにしておく訳にはいきません」


「そうだね、フィルの言う通りだよ。それに…少々都合も悪いしね」


それは叢雲にとって都合が悪いと言う事だろう。今の叢雲の当主はフィリア…らしいからな。こいつの一存で全てが決まるって訳だ。


「じゃあなんだ?製造元を潰すのか、供給を絶つべくギャング自体を消滅させるか?」


後者は無理だろうな。”下”があいつ等の本拠地だ。”下”にまで介入することは無いだろう。


「勿論、製造元を潰すさ。供給はギャングを潰した所で途絶えるとは限らないからね。新たなギャングが出て来たらまた潰すのかい?」


ごもっともだな。製造を知る奴を捕えれば製造は出来なくなる。あんな製造法を易々と口外するとも思えない。


「製造元は我妻病院…その研究施設だそうです」


「一つ確認してもいいかい?君は…烏丸くんが絶望症になったらどうする?」


なんだ急に。


「そんなの決まってんだろ……決まってん…だろ?」


どうするんだ?俺は美羽が絶望症になったらどうするんだ?……分からない。何故分からない?


「それが分からないならこの件は僕の方で終わらせる。君は休憩しておくと良い」


「…………」


何も言い返せない。自身の中の哲学が大きく音を立てて崩れる気がした。


俺は…俺は一体どうするのだろうか。

遅くなりました。ファンタジーライフを永遠にやっていて、ある程度やることがなくなったので再開します!今日は短めですが、明日か今日にまた投稿しようと思います

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