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ヴァニタスの鳥籠  作者: 鮭のアロワナ、しゃろわな
三章
55/74

変化

「お、おはよぅ……あ…」


「何してんだお前」


物陰に隠れながらぶつぶつ呟いている。

どうせ昨日の事をずっと思い出してるんだろう。初な奴だな。


「だ、だって…ききき、キスしたんだよ...?」


「あぁ…だから何だ?何が言いたい」


まるで分らん。皆目見当も付かない。


「この朴念仁っ!!」


顔を真っ赤にして走り去ってしまった。


何なんだ一体??


「れ、連理さん…お嬢様と一体何が…?」


「何って昨日愛を伝えてキスしただけだ」


「えっ!?!?なのに今の会話!?れ、連理さんこっちに来て下さい!!」


そう言ってメイドに腕を引かれながら拉致された。



「お嬢様の気持ちはそれはそれは分かりやすかったですよ。可愛い娘だと思っていますから」


「そうですよ。お嬢様を誑し込んだまでは良いんです。連理さんなら護ってくれる。私たちもそう感じておりましたから」


「で・も!なんで告白した次の日にいつも通り接しているんですか!恋するお姫様の気持ちも少しは考えて上げてください!!」


「は、はぁ...って言ってもな…俺だって分かんねぇよ」


恋愛なんて記憶無いしな。女と接する事もなかったわけだし。


「はぁ...このチェリーボーイは全く…」


チェリーボーイ!?この俺が!?


「ふざけんな!こう見えても経験の一つや二つ………ねぇわ」


うおぉぉん…。俺ってこんなカッコつけておきながら経験の一つもなかったのか?


「お嬢様は今浮かれているんです!もしかしたら連理さんとちょめちょめするかも知れないと!!」


はぁ...。さいですか。


「はぁお嬢様も羨ましい。私にも素敵な殿方居ないかなぁ」


「あ、あなたそれは皆も思っているのだから言葉にしないで頂戴!」


なんかメイド間で争いが起きそうだ。


「お黙りなさい!このサクランボハンター咲綾に任せなさい!」


なんか不名誉な二つ名だと思うが…。そんな事もないのか?


「あなた処女じゃない。なに偉そうに言ってんの」


ホンモノのサクランボハンターかい...。


「と、とにかく!お嬢様は今発情マックスの雌猫状態なんです!!」


なんちゅうこと言ってんねん…。女の口から到底出るとは思えない単語の数々。

こいつら本当に美羽のメイドかよ…。少しはどこの馬の骨かもわからん俺を吟味しろよ…。


「今晩にでもパクっと頂いちゃって下さい」


「今日の夕食には精の付く料理をメインにしましょうか」


「お前らそれでも良いのかよ…」


「お嬢様の幸せが私たちの幸せですから!」




「おい美羽!出かけようぜ」


歓楽街に予定がある。美羽も連れて行こう。

昨日聞けなかった事を聞かなきゃなんねぇ。


「いやっ!朴念仁!!」


何だコイツ。


「デートに誘ってんだよ」


「………いく」


恐る恐ると言った感じで部屋から出て来た。


「にしては張り切ってんじゃねぇか」


「うるさい...このすかぽんたん」


スカポンタン.........良いな響きが。すかぽんたん...。


美羽の手を握る。こんな感じで手を握るのは初めてだ。緊張からか少し汗ばんだ気がする。気のせいかも知れないが。


「っ!.…..ばーか」


口ではそう言うものの美羽は手を離そうとはしなかった。


「でも......もう絶対に離さないでね?」


「…ああ。もう離さねぇよ」



「あなた達…意外と初々しいのね」


「うるせえ。早くギャングの事について話しやがれ」


「ふふっ...そうね」


「そうそう、研究所の奴らが良くこのバーを利用していたわ」


やっぱりな。酒に呑まれて要らんことをべらべらと喋ってくれてたら楽なんだがな。


「ギャングとよく商談もしていたようだしね。トワイライトだったかしら...?そんな薬品の開発をしているみたい」


トワイライトね…。それの原材料が脳…という事か。


「トワイライト…どんな薬なんだ?」


「それは分からないわ。でも碌なもんじゃないと思うの。勘だけどね」


「それと…研究所はダミーって言ってたわ。多分研究自体は別の場所でしているのだと思う」


なるほど。かなり重要な情報だな。こういった酒場は情報を得るのに適している。


「あぁ、それと……これ、あなたの耳。病院でつけてもらいなさい」


「そういえば俺って今耳が無いんだったな」


音は問題なく聞こえる為失念していた。


「あなた...異常ね。その強さ、精神。どこで生まれてどこで育ったの?私気になるわぁ」


女が擦り寄ってくる。


「れ・ん・り?分かってるよね?」


言われなくても解ってる。


「あら...意外と独占欲が強いねの」


「あの女は無事か?」


コイツの他にもう一人捉えられていた筈だ。


「ええ...でもトラウマになっちゃたみたい」


それも仕方のない事か。目の前で無残に人が死んでいったんだ。普通の人間には耐えられない事だろう。


「まあそれはお前に任せるさ。俺の護るべきものは一つだからな」


「あら、羨ましい。私にも貴方みたいな人が欲しかったわ」


「今からでも遅く無いんじゃねぇか?俺以外だがな」


「それはつまらなそうね。お嬢ちゃん…良い拾い物をしたね」


なんで俺が拾われたって知ってんだよ…。


「じゃあ、続き話しましょうか」


そこからギャングの事、研究員の事を事詳しく聞いたのだった。

どこまで書いて良いんだ(下衆顔)


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