38話
「はぁ...まさかこんな事になるなんて」
思っても見なかった。あの三人が退学なるのは悲しいが…彼を護れたのなら十分では無いだろうか。
やはり叢雲の力は特別なんだと思い知らされた。それに烏丸も味方に付くなんて…。
あの夜叢雲と烏丸に尋問されて吐いたのが結果的にいい方向に行くとは思わなかった。
生徒会と言うより、個人の力が大きいと感じる。
「結局私は何もできなかったな…」
しかし結果良ければ全てよしだ!これからは頼れるものを頼ろう。今回の件でそれが骨身に染みわたった。
あの三人も元気に過ごせれば良いな…元は私の生徒だ。誰も不幸になる事なんて望まない。
毒物を椅子に塗った私が言えた話では無いが…。
今日は珍しく贅沢でもしちゃおうかな!
スーパーによって結構お高めのお肉を買おう。今日くらいは許してくれるだろう。
魔の手が忍び寄っている事など知らず、晩御飯の献立を考えていたのだった。
。
やはりな。東の跡を付けているが、あいつ等の気配が近くにある。
気付かれないようについて行くか。
しかし…この気配、やはり傭兵でも雇ったか?
俺達をつける気配が一つある。姿が見えない為そいつが傭兵かどうかわからないが…。
東がスーパーマーケットに入る。
「面倒くさくなるな…」
気配を区別するのは正直この人数は難しいぞ。中に入らずここで待っておくか。
。
何分くらいが経っただろう。15分…いやもっとか…。流石に遅いか?
中に入るか…。流石に出てくるのが遅い。もしかしたら中で何かあったのかもしれない。
「クソが…こっちにも出入口があるのか…」
自分としたことがうっかりしていた。多分ここから出て行ったのだろう。
直ぐに追いかければ追いつくか?多分だが、そう遠くには行っていない筈だ。
クソ…ここで切り替えるのは負担がデカいが…仕方ない。
ここまで人が多いと切り替えるとそれなりの負荷が脳に掛かる。
「ふぅ...ぐっ」
切り替えた瞬間、膨大な情報が脳を襲う。ガキの声、機械音、それら全てが情報として脳に入ってくる。
「…………………見つけた」
正確には東を見つけた訳じゃ無い。三人組の話し声が聞こえただけだ。
ここからそう遠くない。直ぐに追いつくだろう。
クソ…いったん落ち着こう。このままでは脳の負荷がデカすぎてままならん。
。
しばらく歩いただろうか。
東がマンションに入って行く。マンションの入り口は自動でロックがかかる仕組みか。
何やらパスワードか何かを入力している様だ。
「角度的に見えんな…どうしたもんか」
そうこうしている内に東は中に入って行った。
だが、あいつ等も入れない筈だ。
「なんでだ?普通に入って行きやがる…」
そんな俺の思惑とは裏腹に三人組はすんなりとマンションのセキュリティを突破していた。
不味いな…。こんな所で足止めを食らう訳にはいかないんだが…。
「おい、ここ通りたいんだが?」
マンションの入り口から少し離れたところに居た警備員に告げる。
「それは無理だ。不審者を入れる訳にはいかない」
三人組は不審者じゃ無いのかよ。
しかし困ったな…あいつ等が何階に行ったかも分かんねぇぞ…。
そうこうしている内にマンションに一人の男が入って行くのが見えた。
「あいつは…」
ずっと感じていた気配だ。こいつも難なくセキュリティを突破してやがる。
どうする...?この警備員は使い物にならない。むしろまっとうに任務を遂行していると言える。
。
何分経っただろうか。あの後も解決策を考えていたが特に思い浮かばなかった。
一旦切り替えるか…ここも人が多い。得られる情報も莫大な量だろう。しかし…仕方ない。
良し…。
クソっ…脳が焼ける。あいつ等の情報だけ探ろう。
……………………まったく俺をこんな犯罪まがいな事に使いやがって。
聞えた。この声聞いたことが無いが…多分後から入った男の声だろう。
……………………にしてもこのマンションオートロックじゃ無いんだな。このタイプの鍵を開けるのは久しぶりだ。
なるほどな。こいつは傭兵なんかじゃない。ただ鍵を開けるだけに雇われた奴だ。
そして、あの三人組は既に東と接触しているという事も判ったな。
こんな所で道草を食っている場合では無さそうだ。
声の位置的にも三階だな。急ぐか。
犯罪だろうが、このまま外壁をよじ登っていくしかない。
「よっと…っと…」
作業のように外壁を上っていく。”下”で慣れたものだ。掴まる場所がある分こっちの方が楽だ。
「おい、声を出したらこのまま落とす」
三階で歩いていた男の首根っこを掴み外にさらけ出す。
男は何が起こったのか理解して居ないが俺の脅しが本気だと感じ取り黙る。
「お前が鍵を開けた場所を言え」
「さ、三号室だ…」
今俺の居る所は16号室の前なので、この奥側という事だ。
「そうか」
俺が知りたいのはそれだけだった為男を解放する。
急ぐか。
。
「あ、貴方達は…!?何故ここへって言うか鍵は…!?」
鍵をかけ忘れた?いや、絶対にかけた筈だ。
「何故って?そんな事決まってるだろ。お前があの女に告げ口したからだよ」
「そ、それは…しょうが無かったの!それよりもこれは立派な犯罪です。今すぐ出て行って!」
私の中で嫌な予感がする。目の前の男たちの目…欲望で染まっている。
このままでは私は犯されるだろう…。
しかし…助けを呼ぶ?一体誰に。大声を出す?無理だ、完全防音なのがこんな所で仇となるとは…。
「おいおい、それだけかよ?俺達が退学になったのはお前のせいだろ?」
「そ、それは…謝ります。だから許して…」
そう、懇願するしかない。私にできることは無い。力でも、地位も何も勝てない。
仮に私が犯されても明るみにも出ないし、揉み消されるだけだ。
「許して?面白い事を言うんですね、俺たちを退学にして」
ダメかも知れない…目の前の男たちは多分新しいおもちゃでも探しているんじゃ無いだろうか。
「俺さ、最近雇ってたメイドが壊れちゃったんだよね」
「あ~それ俺もだわ」
ああ...最悪だ。嫌な予感は当たる物だ。はぁ...なんでこんな事に成っちゃったんだろ。
「おい、お前ら押さえとけ!」
男二人に両腕を押さえつけられる。
「やめて…お願いします…」
はぁ、こんな時どうすれば良いんだろ。どうしようも無いよね…女一人でどうにかできる範囲じゃないと思う。
「堪んねぇな!」
私の服を無理やり引きはがす。あぁ…嫌だなぁこんな事に成るなら教師になんかならなきゃ良かった…。
胸が布の支配から解放され露わになる。今まで彼氏何て居なかったけど…まさか初体験がこんな事に成るなんて…どこで人生を間違えてしまったのだろう。もう恐怖で声すら出せない。
「次はこっちだ」
そう言ってスカート引き裂こうとする。買って一か月も経ってないのにな。
もう抵抗する気も失せて来た。どうせ助けなんか来ないし、これが事件に成ることも無い。私の価値っていったい…。
「色気のねぇ下着だなぁおい!」
「ぎゃははは!!」
下衆な笑い方だ。あぁ、誰か助けてよ...。
ドンっ!ドンっ!
「なんだ!?鍵は閉めたよな!?」
三人も想定外の出来事だったのか困惑している。
「俺が見に行く!」
。
ちっ…カギ閉めやがったな。
無理にでもこじ開けるか。
壊れてもあいつ等に請求すればいい。
「おらっ!!開きやがれ!!」
力任せに蹴りつける。警察が来るのも時間の問題だな。これでは俺が犯罪者みたいじゃないか。
数発蹴りを入れると中の気配が近づいてくる。
どうせ開けるつもりなんて無いだろうが。
さて、こうなってしまっては中に入る手段が無いぞ。どうするか…。
「良い事思いついたぜ」
何も玄関から入る必要はねぇよな。
次回は二章の一節も終わりに近づいて参りました。良かったら評価、感想お願いします!今後の励みになります!




