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ヴァニタスの鳥籠  作者: 鮭のアロワナ、しゃろわな
二章
36/58

35話

「さて、ある程度解ってもらえましたか?」


「まあな。しかし、これからどうするんだ?何か手でもあるのか」


「フィリアさん、私たち資本階級は基本的に相互不干渉という決まりが…」


この学園は基本誰に対しても無関心。それは相互不干渉の決まりがある為だろう。


それを破ればどうなるか…想像に難くない。


「私は叢雲の当主です。権力を振りかざすのは嫌いですが…仕方ありません」


綺麗ごとだけで片付く話でもないな。俺はこの戦いにおいて無力だろう。地位も何も持たない


。土俵に立ってすらいないからな。


「で、どうやるんだよ。武力行使って訳では無いだろ?」


「ええ、策は既に張り巡らしています。あとは…彼らが動けばすべて私の思い通りになります」


俺達には静観して居ろ…か。ま、こいつは中々に頭がキレる様だ。勝手に解決するだろう。


「ただ...気に食わねぇな。俺たちに見てろってか」


ここまで踏み込んで見ているだけは癪である。


「しかし...あなたが動けばすべてが無意味に…」


「勘違いすんなよ女狐。俺は好きなように動く、ただそれだけだ。お前の邪魔をするつもりは無いぜ」


だが、こいつの策って言うのを見なきゃ始まんねぇな。



「証拠を押さえるねぇ…どうやって?」


「簡単ですよ。そう仕向ければ良いんです」


要するに、近藤が虐められるように差し向けると言うことか。


「キルに任せます。証拠もある程度監視カメラを仕掛けておきましょう」


キル…いつもどことなく俺たちを監視している叢雲の従者。あいつは何者なんだ?


「確かに上手く行きそうだな。ただその後はどうする?」


報復の可能性は十分考えられる。どうせ死ぬのなら道連れにしたいもんだろ。


「大丈夫なんじゃ無いですか。彼は相手の家柄を恐れていただけで、彼らに恐れている訳では無いですし、彼が負けるとも思えません」


そうだな、近藤はそこそこ動ける体つきをしていた。金持ちの坊ちゃんが束になっても勝てんじゃねぇか?


相手の家自体を脅せば後はどうにでもなると言う事か。合理的だな。


「見てるだけってのも味気ねぇ…もしもの時の事後処理は俺に任せろ」


金持ちの坊ちゃんの事だ、逆恨みからあの女教師に手を出すとも限らねぇ。その時が来れば面白そうだ。


「勝手に動かれるよりはマシですね…解りました事後処理は連理さんに任せます」


金持ちのボンボンなんか遊びにもならんだろうけどな。


「じゃ、じゃあ私は連理と共に行動って事で…」


「烏丸さんを巻き込む訳にはいきませんから、今回は待機と言う形でお願いします」


ま、そうなるか。金持ち同士の争いに無駄に関わる必要は無い。烏丸も大きい家だろうが…相手は束になっている。少々厄介だろう。


「はい…連理も無理はしないでね」


心配してくれているのだろうが、今回は俺の役割も危険な訳では無い。そこまで心配する必要も無いだろう。


それより、定期的に”下”に探索に行く方が危険だって事をこいつは解っていなそうだ。


「では一旦私たちは戻ります」


そう言ってフィリアが部屋から出て行く。


「俺達も今日は帰ろうぜ」


「そうだね…」


少し疲弊した顔で美羽が頷く。いつもと少し毛色の違う活動な分、疲れも出るだろう。

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