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ヴァニタスの鳥籠  作者: 鮭のアロワナ、しゃろわな
二章
31/74

コスプレ!?

「連理、今日と言う今日は許さないから!!」


「やれるもんならやってみやがれ!!」


俺達は今何をしているのか…と言うと。


今から数時間前に遡る。



「今日の生徒会活動は…」


ゴクリ…。息を吞む音が隣から聞こえる。


「今日の活動は…」


「コスプレ会です~」


ずこー!!活動と言うか趣味だろそれ。


「こ、コスプレですか...?生徒会とどんな関係が…」


「かくかくしかじか」


「な、なるほど…衣装はどうするんです?」


なんで今の説明で納得できたんだよ。かくかくしかじかじゃねぇよ。説明しろや!


「衣装は既に用意してあります。私と烏丸さんの衣装だけですけど」


「じゃあ俺帰るわ」


そう言って部屋を後にしようとする。


「ダメ。逃がさないんだから」


ひえぇ。





「うぅ...見ないで!」


「んなこと言われてもお前が引き留めたんだろ?」


「うぅ...これ下着見えてませんか…?」


美羽が言う通り、かなり際どい衣装である。チャイナドレスって言われる奴だな。


その仕草も相まって非常にそそられるが、生憎フィリアが居る。


「ええ、似合ってますよ。それに下着が見えたって大丈夫です!」


「何が大丈夫なんですか!?」


「ガキ臭いパンツが観られるのは困るよな」


ゲシっ!


「ほんの冗談だ」


ゲシっ!バキっ!


「今折れた音しなかったか!?」


げし…!ちょっと威力が弱くなった。


「ふふっ、仲良しですね。お二人は」


「「どこがだよ(ですか!)」


「ほら仲良し」


そんな感じでじゃれ合っていた訳だ。



「つ、次はこれですか!?殆ど布面積が無いじゃないですか!」


「ふふっ、烏丸さんなら着こなせるわ」


そういう問題なのだろうか。因みに今美羽が手に持っている衣装はマイクロビキニと呼ばれる奴だろう。


この前プールや川で着ていた水着に比べ露出度がとても高い。


「む、無理です!これは見えちゃいます!」


確かに、うっかりしていると見えそうなくらい布が少ない。


その胸だったら大丈夫だろうけどな。


げしっ!


「いたっ!なんでだよ!?」


「なんか嫌な感じがしたから」


心を読まれてやがる!?


華奢な体のどこからその力が出てくるんだ。


「この変態女が」


「ふふっ…強制はしていないのでセーフです」


その言い方だと絆されて良い様に着せ替え人形になっている美羽が変態みたいではないか!


「連理、そこの牛乳取って」


涙ぐましい努力に、俺の目じりに一筋の涙が流れそうになる。


げしっ!


「うおっ!今蹴られるとバランスが…」


体勢を崩しながら牛乳に手を伸ばしていた為、余計に不安定になる。


「あっ…」


案の定、牛乳は俺のとっさの受け身により手から離れて行ってしまう。


それも運悪く美羽の方に放物線を描いているではありませんか!このままだとマイクロビキニを着ている白濁液をぶちまけられた少女になってしまう。


「避けろ!美羽!」


心からの雄たけびを発する。


「え...?きゃっ!」


ばしゃっ…。


が、時すでにお寿司。美羽は牛乳を頭から被ってしまった。


「…これ俺が悪いんか?」


「連理さん…謝った方が…」


フィリアに言われる。


俺が悪いらしい。美羽は呆然としており、立ち尽くしている。


「えっと…まあ、なんだその涙ぐましい努力は…違う違うえーっとだな」


おっと別の話題に逸れるところだった。


「…………なんかそっちの方がエロくて良いんじゃね?」


多分ミスったな…。


「…は?それだけ?」


苦虫を潰したような、ゴキブリを見るような目で見られる。


「はい、俺はハンバーグの方が好きです」


もうどうなっても良いか…。適当に話を合わせておこう?


「今日と言う今日は許さないんだから!!」


「やれるもんならやってみやがれ!」


「なんで連理がキレるんですか!?私のセリフなんだけどっ!!」


牛乳を頭から垂らしながら言い返される。


てか臭い。牛乳って乾くと臭いんだよな。


「か、烏丸さん、シャワーを浴びた方が…」


フィリアも今の美羽を見かねて提案をする。


「………………さい…………」


「え?」


「連理が私の事を綺麗にしてください」


えぇ...なんで?


自分で洗った方が早いし、何より裸を見られるんだぜ?急に何を言い出すんだこのお嬢様は。


「嫌だが。痴女なのか?」


「あ、あなたが汚したからあなたが洗うのは当然でしょっ!」


当然かなぁ…?そんな当然聞いたことねぇぜ。


「どうせまた俺が怒られることが目に見えるんだが?」


「そ、それは連理が悪いでしょ!失礼な事ばっか考えてっ!」


勝手に心を読まれていい迷惑である。口に基本的に出していないだけ感謝してほしいわ。


「洗っても良いけどよ、覚悟しろよ?俺のテクニックはすげぇぜ」


「ててて、テクニックって!?この変態!」


「今さら怖気づくのか?もう逃げても遅いけどな」


美羽が顔を真っ赤にしながら俯く。自分から言い始めたのに初な奴だ。





「絶対にこっち見ないでね?絶対だから」


学園付属の浴室に二人の男女が居た。女はほぼ全裸で、腰にタオルを巻いているだけ。男は服は着ているが、限りなく薄いシャツとパンツだけだった。


「お前こそこっち見んな」


何故こんな事になったんだ…。


ボディソープを泡立てながら考える。結局俺が悪い雰囲気になったが、元を辿れば美羽がちょっかいを掛けてきたせいである。


「あっ……」


艶やかな声を出すな。変な気分になるだろうが。


「ちょ、ちょっとそこはダメ…」


「んなこと言ってるとどこも触れねぇだろ」


背中に泡を当てるだけでこの反応ならば、もう俺が出来ることは無い。


「うぅ…なんでこんな事に…」


それはこっちのセリフだ。よく分からん奴だな…。


「次は前だ」


美羽の背後から手を伸ばす。まるで後ろから抱き着いているみたいだが…決してそんなことは無い。やましい気持ちなどこれっぽっちも無い…と言ったら噓になるが。


「ふあっ…あ、あまり見ないで…」


やめろ。なんかイケないことをしているみたいだろ。


「胸揉むぞ馬鹿野郎」


「も、も!?それはまだ早いよっ!!」


早いも遅いも無いと思うが。


「ほら、下向いとけ、目に泡が入るぜ」


「う、うん…」


意外としおらしいな。


「あんっ」


前を洗っていると美羽から嬌声が放たれる。


「そ、そこはダメっ」


うっかり美羽の胸の先端を洗ってしまっていたようだ。胸が小さすぎて気付かなかったぜ。


「じゃあこっち側向いてくれ。洗いにくいったらありゃしねぇ」


「それはダメ!だって見えちゃうじゃない…」


「見ねぇよ!全く…むっつりスケベめ」


「そそっそんなことない!連理の方がスケベじゃないっ!」


何を言っているんだコイツ。


俺の一体どこにスケベ要素があるんだ。乳首をこねくり回してやろうか。


「じゃあシャワーで流すぞ」


あらかた洗い終わったのでシャワーで泡を流す。


「ふぁ...温かい」


「良いよな、毎日お湯で体を洗えて、飯が食えて」


”下”と”上”の違いを感じられる。ここでは食うにも困らんし殺されることも無い。それは普通なのかも知れないが、俺の中の常識とは違った。


「…連理って人を殺めたことがあるの...?」


恐る恐ると言った感じで聞いてくる。


適当に誤魔化すか正直に言うかどっちの方が正しいのかは俺には分からない。


「あるって言ったら軽蔑するか?」


「ううん、だってそれって必要だったことでしょ?」


快楽で俺が人を殺さない…そう信じているんだろう。ま、快楽で人を殺したことなど無いので正解っちゃ正解だな。


「あの場所に住んだらいずれその機会が訪れる…殺したくなくてもな」


生きる為、人を殺す。それも罪なのだろう。ただ、罪も人間の作り出した概念でしかない。それに、裁かれる事が無い。


「でも、もし私の為に手を汚すことになるならば…それは嫌…」


「自分が危険な目に合ってもか?それは虫が良すぎねぇか?」


「分かってる。ただ嫌なだけ。もし連理が必要だと思ったら…迷わないで」


この言葉が戒めとならないように…か?ま、こいつを悲しませるのは俺の本望ではない。少しだけ胸に刻んでおこう。





「あらあら、少し仲良くなりました?」


「なんでだよ」


学園の入浴すスペースから上がるなり声を掛けられる。


「いえいえ、決して壁が薄くて聞こえてたとかそんなことはありませんよ~」


聞えていたらしい。どこまで聞かれていたのか知らないが…最後の会話を聞かれているならば少し気分が悪いな。俺の出自が知られるのは美羽からすればあまり良い事では無いだろう。


「盗み聞きか?趣味が悪いぜ」


「ふふっ…すみません。でも楽しそうでしたよ?」


はぁん…別に楽しんでないけどな。


「お前も顔赤らめてねぇで何か言い返せ」


ずっとこっちを伺いながら何も言わない美羽に言う。


「別に赤くなってないもん!!」


「へいへい…で今日はもう終わりか?」


そういえば牛乳のせいで今日の目的はコスプレだったことを忘れていた。


そもそも、コスプレを何故していたのかが疑問である。


「そうですねぇ...今日はお開きにしましょうか」


結局コスプレしただけか。


「そういえば、今日の衣装差し上げましょうか?」


あんな痴女御用達の衣服は誰も貰わんだろ…。


「わ、私が貰っておきます…」


えっ!?なんでやねん...。


「美羽…お前案外痴女…気質なのか」


「ち、違います!!私の牛乳で汚れたので引き取るだけです」


嘘つけや!


「じゃあこれは烏丸さんに渡しておきますね」


衣装が入っているであろう紙袋を渡される。


「うわ!乳臭ぇ!」


紙袋の中を嗅いでみると途轍もない悪臭が襲い掛かった。洗ってないのかよ…。

うーんこれは痴女

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