↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ヴァニタスの鳥籠  作者: 鮭のアロワナ、しゃろわな
一章
26/74

26話

「あ、あなた達は昨日の…」


今私の目の前には昨日の苦い記憶である男三人が居た。何故ここに居るかは知らないが、非常に不愉快である。


「この女昨日の奴ですぜ!」


しまった…油断して少し遠いところまで来てしまった。なんでこんなことに…。


「やめとけ。あの男もどうせ一緒だろ。相手するだけ時間の無駄だ」


何とかなりそうだ…。昨日の連理を見て勝てないと悟ったのだろうか。


取り敢えず争いにならずにこの場所を離れられそうだ。


「ちょっと待ってよ!昨日の事忘れてねぇぞ!」


子分だろう男に腕を掴まれる。


…ゾワッ


連理以外の男に触られることも無かったため拒絶反応が出る。


だが、今は逆上させない為に我慢するしかない。


「やめろ!そいつにはもう関わるなっ!」


リーダー格の男が叫ぶ。


「でもよ!兄貴だって昨日の屈辱忘れてないだろ!?」


「じゃあなんだ?俺らならあの男に勝てるのか?あ?」


「で、でもよぉ今居ねぇじゃん!」


男が私の腕を強く引く。その力に抗うには私には力が足りなかった。


腕を強くひかれたことにより転んでしまう。


「っ!」


転んだ際に下に転がっている石が足に激突する。


不味いです…。暫く立てそうにありませんね。


この状況どうしよう...。自分一人では何も出来ない…悔しいけどそれは事実だ。


「またお前らかよ。飽きねぇのか?」


連理の声がする。


…やっぱ凄いなぁ。私の危機には絶対に来てくれる。王子様みたい。


。


遠くに美羽と男たちの姿が見える。どうやら美羽が腕を引っ張られて転んでしまったようだ。


魔性の女って奴か?どんだけナンパされれば気が済むんだ?


「またお前らかよ。飽きねぇのか?」


「お、お前は!?やっぱり近くに居たのか!」


転んだ美羽を起こす。


「あ?お前それ…」


美羽の足から血が出ている。それに…完全に捻挫している様だ。


「だ、大丈夫。少し転んだだけ…」


…なんだ?


怒りか?ふつふつと俺の中の感情が大きくなっていく。


美羽の目に一粒の流星が落ちるのが見えた。


ああ...これは怒りか。大事なものに手を出された事に対する怒り。


俺にまだこんな感情があったのか。思ったよりも冷静だ。今はこの男たちをどうするか、冷静に考えている。


「お、お前ら逃げろ!」


リーダー格の男が言う。


「逃がさねぇよ。お前らだけは」


「れ、連理?どうしたの…?」


美羽も異変を感じ取ったらしい。普段の俺とは違う声だったかもしれない。


「な、なんだよ!?やんのか!?」


男が殴りかかってくる。


「愉しくねぇ、お前らと幾らじゃれつこうが愉しくねぇんだよ!!!」


男の大ぶりな拳を避け、相手の足を持ち上げる。


足を掴んだまま振り回す。


「や、やめろ!もう俺たちは手を出さない!誓う!!」


リーダー格の男が叫ぶ。


「関係ねぇな」


「お前おかしいよ!普通じゃねぇ!」


取り巻きの男が叫ぶ。


俺がおかしい?普通じゃない?


「普通ってなんだよ?お前らの言う普通ってなんだよ?」


既に振り回されている男は意識が無いみたいだ。


「れ、連理落ち着いて!ダメ!その人死んじゃうっ!!」


美羽が俺に抱き着いてくる。その足で歩くのは辛いはずだ。


「…なぁ教えてくれよ。俺はどうすれば良いんだよ?」


記憶を持たない、空虚な人生。それって死んでるのと同じじゃないのか?俺って生きてるのか?


「連理は連理。私の”大事”な人…。だからお願い…もうやめて」


美羽が抱き着きながら言う。


「頼む…。もう俺達は関わらねぇ!!」


「はっ...なんだよその眼、化け物でも見るみてぇだな」


男たちから向けられる視線は人を見るそれでは無かった。


掴んでいた男を離す。


「はっ…俺が悪者みてぇだな」


美羽の視線は見えないが、未だに俺に抱き着いている。


「わ、悪かった俺たちはもう行く」


リーダー格の男ともう一人が意識を失った男を抱えながら離れていく。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。