表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ヴァニタスの鳥籠  作者: 鮭のアロワナ、しゃろわな
一章
23/71

23話

「お腹空いたね」


「お前に飯抜かれたからな」


昼の時間を大きく過ぎているため、お互いにお腹が鳴り始める。


「うーん…やっぱりご飯は食べた方が良いね」


お許しが出た。って言っても俺は金を持っていない為美羽が買う事しか出来ない訳だが。


「私が買ってくるから連理はここで待ってて。絶対に動かないでねっ!冗談じゃないから!」


まだあの時の事を根に持っているのか。こんな人混みで動かねぇよ。


取り敢えずこのベンチに座っとけば良いだろう。


そう言って美羽が言ってしまう。暫く暇になるな。



遅いな。この人混みなので迷子になってる可能性もある。


しかし…命令としてはここで待機だ。探しに行くと入れ違いになる可能性もある。


参ったな。性質の悪い奴に絡まれている可能性もある。どうしたものか…。


しょうがない。少し切り替えるか…。


ふぅ…音を聞き分けよう。美羽の声が俺の耳に届く範囲なら分かるだろう。


「……め……さい!」


聞えた。


争っているのか?声が少し荒い。


距離は大体二百くらい…急ぐか。



「やめてください!連れを待たせてます」


しくじった。美羽は歯噛みする。いつもは連理に護られてすっかり忘れていた。こういう施設では一人でいる女性には軟派な男たちが群がるんだ。


「連理…助けて…」


でも連理には待機と命じてしまっている。こんなときに間が悪い。ああ...本当に自分が嫌になる。


「連理って、彼氏の名前?いいね~乙女じゃん!」


「俺達はその連理クン?に比べて色んな事教えてあげられるよぉ!」


ありえない。こんな奴らに比べて連理は口は悪いけど優しくていつも護ってくれる。それに連理の方が百倍はかっこいいし…。絶対に口には出さないけど!


「やめないと警察を呼ぶわ」


「警察?ぎゃははっ!今携帯持ってんの?」


周りに人だかりができるが、男たちには御構い無しな様だ。


周りの群衆も見ているだけで特に何をするわけでもない。自分の意思を持たない末人達。空虚な人間。


こんな奴ら相手に何も出来ない自分に腹が立つ。やっぱ連理って凄いんだなぁ。


諦める訳にはいかない。自分でも何か出来る筈だ。考えろ考えろ!


「貴方達みたいな人って何も持たないですよね」


「どういうことだ?俺たちを馬鹿にしてるのか?」


「バカにする?事実でしょ、群れることでしかアイデンティティを保てない」


「このアマ…こっちが下手に出れば調子に乗りやがって」


「おい!お前ら力づくで捕まえろ!」


まただ。自分は相手を怒らせる才能でも有るのだろうか...。歓楽街でも逆上させてしまった。

助けて…連理!


「おうおう、女一人に男三人で寄ってたかって…プライドがねぇのか不細工共」


え?この声…まさか!


「れ、連理!?どうしてここに!?」


「どうしてって、食い物買いに行ったお嬢様が全然戻らねぇからだろ」


ああ...やっぱ私連理に…。



「何やってんだあいつ…」


美羽が三人の男に囲まれている。軟派だろう。今の時代にも居るんだな。


「貴方達みたいな人って何も持たないですよね」


うん?美羽がなんか言ったな。完全に煽りやん…。大丈夫なん?逆切れすんで?


「どういうことだ?俺たちを馬鹿にしているのか?」


ほら。何やってんだあいつ。全くお転婆も良い所だな。


仕方ねぇ。今は少し切り替えてるから穏便に行かないとな。


「おうおう、女一人に男三人で寄ってたかって…プライドがねぇのか不細工共」


あっと本音が漏れちまった。


「れ、連理!?どうしてここに!?」


「どうしてって、食い物買いに行ったお嬢様が全然戻らねぇからだろ」


全く。面倒事ばっか引っ掛けてくる奴だな。


「おい!俺らの事無視してんじゃねぇよ!!」


男たちの一人が言う。


「今どっか行くなら俺は追いかけねぇ、早く消えろ」


今のうちに切り替えるか。


……よし。これでうっかりヤリ過ぎる事も無いだろう。


「は?三体一で勝てると思ってんの?ぎゃははっ!!」


かぁっ!面倒くさい!俺腹減ってるのに!


美羽の手にはそれはそれは美味しそうなご飯があった。


おっ!でっかいち〇こあんじゃん。あれ旨いんだよな。


「美羽…面倒くさいしお前抱えて逃げていい?」


「だめ!連理の事馬鹿にされたままは私が嫌っ!」


「だそうだ。恨むならこのお嬢様を恨むんだな」


「おい!お前らあいつ押さえろ!」


2人が一気にこっちに向かってくる。今や少ししか居なかった野次馬も大勢群がっている状況だ。


こいつ等正気かよ。


「おっと手が滑った!」


一人の顔面にビンタを入れる。


「ぶべらっ!」


軽く吹っ飛んで気絶する。弱!切り替えたままだったら…考えるだけで寒気がするぜ。


「な、三田場!おい!大丈夫か!?」


吹っ飛んだ男に二人が駆け寄る。


「クソっ!なんだよお前は!!」


捨て台詞?を吐いて三田場?を背負って逃げて行った。


「飯だ飯。早く飯を食うぞ!」


「もう、待ってください」


美羽にジト目で見られるが、俺は腹が減ったんだ!他の事なんてどうでもいい!!

ちなみに読み方はさんだばです。多分

ああ、市民プールとか何年行ってないのやら...十年以上行ってないかもなぁ

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ