制服
こけこっこー!!
朝…か。結局あまり寝れなかった。精神的にって訳じゃ無い。ただ人の気配が多いと寝れないって初めて知った。慣れるのに時間が掛かりそうだな…。
「連理起きてる?ご飯が用意できたって」
美羽だ。昨日少し話してお互い敬語無しって事になった。
まあ元より俺は敬語で喋ってなかったんだが、美羽がそうしたいらしい。
「ああ、少し待ってくれ。顔だけ洗わせてくれ」
「じゃあ入るよ?」
別に外で待ってくれても良いんだが、別に拒む理由もない。
「おじゃましまーす…ってなんで裸なんですか…」
そりゃ寝る時は裸が普通だろ?
”下”で暮らしていた時は夜は服は洗って干していた為基本裸だった。
「まあ習慣みたいなもんだ。気にすんな」
「私が気にするの!」
顔を深紅に染めながら言う。
勝手に入ってきて我儘な奴だな。仕方が無い。
「取り敢えず着替えるか」
「全くもう…」
手を顔に覆いながら俺が着替え終わるのを待っている。
「隙間から覗いてるの分かってんぞ」
「ののの、覗いてないっ!」
次は後ろを向いてしまった。こりゃ図星だったか。
危ないな…。背中だけは見せる訳にはいかない。年頃の少女には少し刺激が強いだろう。
今度からは寝る時も服を着た方が良いな。いらん同情を受けかねない。
「もう良いぜ」
「じゃ、じゃあご飯食べましょう」
。
。
。
「味噌汁って奴を食べてみたい」
「食べたこと無いの?」
”下”には味噌って言うものが無かった。日本人は味噌汁から一日が始まると書いてあったため、気になる。
「咲弥、お味噌汁ってある?連理が食べてみたいそう」
「勿論ですお嬢様。シジミの味噌汁、豚汁、わかめと豆腐の入った味噌汁、なんでもございます」
ふむ。一般的な味噌汁は何だろうか。
「普通の奴で頼む」
「かしこまりました。席についてお待ちください」
促され席に着く。
「そういえば連理って基本暇だよね。だったら学園に行く気ない?」
「勝手に暇って決めつけんな。しかし学園か…悪くないな」
学園に通ったことが無いため、少し興味がある。美羽が”下”で教えてくれた通り、義務教育を受ける所らしい。
「大丈夫なのか?俺の年齢は俺だってわかんねぇぞ」
「ちょちょいのちょいだよ」
何やら笑みを浮かべながら言う。家のコネと言う奴か。
「じゃあ今日から生徒ね!私あこがれてたんだぁ…学園に護衛付けている人の事」
お姫様とナイト見たいじゃないと続ける。
「今日から?手続きとか無いのか」
「学園に着いてから考えるの」
あ、コイツ多分バカなんだろうな。
「お待たせしました。朝食になります」
メイドが来て朝食を並べていく。
…これが味噌汁か。泥水みたいな色合いだ。
わかめは下でも人気だった。腹が膨れるし、たくさん採れるからな。
「いただきます~!」
美羽の掛声で食事が始まる。
先ずは味噌汁だ。
「なるほど。悪くない味だ」
今まで食べたことのない味だが、意外と悪くない。むしろ美味しい。
美羽の方を見ると、卵焼きや目玉焼きと言った卵料理が並んでいた。やはり卵が好きらしい。
「やっぱ卵焼きは出汁が一番」
ぶつぶつ何かを唱えている。
白米は食べたことはあるが…贅沢品だ。俺の住んでいた所では先ず出回らない。
炭水化物はエネルギーになると聞く。効率よく動くならば必須だろう。
「なんだこのち〇こみたいな奴は」
「ぶふっ!!ななな、なんて言ったの!?」
「ち〇こ」
「二回も言わないで!」
お前が言えって言ったのに。それよりこのち〇こみたいな奴は何だ。
「それはソーセージと言って、動物の腸に肉を詰めたものです」
メイドの一人が答える。なるほどな。
食べてみるか。
ソーセージを食べるとパリっとした触感と溢れる肉汁が出てくる。
これは凄く美味しい。何も味付けはしていないだろうが…完成されている。
「美羽のち〇こもくれ」
「私には付いてないっ!変なこと言わないで!」
美羽が顔を真っ赤にしているのでその隙に盗んでおく。
うまい。
「朝から疲れる…」
「連理さん、制服のご用意が出来ましたので、朝食後に少しお時間を頂きます」
え?早くない。俺が学園に通う事になったのは今なんだが…。
「お、おうまかせろ?」
返事が少し変になってしまう。
「制服姿の連理…楽しみ」
俺のご尊顔ならどんな服でも着こなしてみせよう。
。
そんな訳で朝食を済ませ、今は制服を着せられている。
「やめてぇ!変態!」
「へ、変な声を出さないで下さい…」
裏声で叫んでいるとメイドに苦言を呈される。
「で、でも似合いますね…予想以上です」
美羽がこちらを見ながら言う。
「そんなお前は前のスペースが有り余ってる様だな」
げしっ!
「痛っ!何すんだ」
脛を蹴られた。げしっ!
「痛ぇって」
げしっげしっ!
「す、すまん」
やっと止まった…。まったく暴力的な奴だな。
「連理さん…デリカシーの勉強をした方が…」
メイドから言われる。
デリカシーなんて生憎持ち合わせていない。女と関わるのも殆ど無かった。
大体は俺を見たら怯え逃げていく。それが”下”の世界だ。別に取って食おうなんて思っちゃいねぇんだがな。
「ちょっとキツくねぇか?」
体格の違いか、制服が少しきつい。来ていた服がブカブカだったからなのか、違和感が凄い。
「そんな事ないですよ。すぐ慣れると思います」
メイドに言われる。まあ仕方ない。
「そろそろ時間なので行きますよ」
学園までは徒歩で行くらしい。意外だな。正直送迎させてると思っていた。
考えてみると”下”に居た時も思ったより体力が多いと感じた。思ったより活発な少女なのかも知れない。
日付間違えた