表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ヴァニタスの鳥籠  作者: 鮭のアロワナ、しゃろわな
一章
11/70

制服

こけこっこー!!


朝…か。結局あまり寝れなかった。精神的にって訳じゃ無い。ただ人の気配が多いと寝れないって初めて知った。慣れるのに時間が掛かりそうだな…。


「連理起きてる?ご飯が用意できたって」


美羽だ。昨日少し話してお互い敬語無しって事になった。


まあ元より俺は敬語で喋ってなかったんだが、美羽がそうしたいらしい。


「ああ、少し待ってくれ。顔だけ洗わせてくれ」


「じゃあ入るよ?」


別に外で待ってくれても良いんだが、別に拒む理由もない。


「おじゃましまーす…ってなんで裸なんですか…」


そりゃ寝る時は裸が普通だろ?


”下”で暮らしていた時は夜は服は洗って干していた為基本裸だった。


「まあ習慣みたいなもんだ。気にすんな」


「私が気にするの!」


顔を深紅に染めながら言う。


勝手に入ってきて我儘な奴だな。仕方が無い。


「取り敢えず着替えるか」


「全くもう…」


手を顔に覆いながら俺が着替え終わるのを待っている。


「隙間から覗いてるの分かってんぞ」


「ののの、覗いてないっ!」


次は後ろを向いてしまった。こりゃ図星だったか。


危ないな…。背中だけは見せる訳にはいかない。年頃の少女には少し刺激が強いだろう。


今度からは寝る時も服を着た方が良いな。いらん同情を受けかねない。


「もう良いぜ」


「じゃ、じゃあご飯食べましょう」





「味噌汁って奴を食べてみたい」


「食べたこと無いの?」


”下”には味噌って言うものが無かった。日本人は味噌汁から一日が始まると書いてあったため、気になる。


「咲弥、お味噌汁ってある?連理が食べてみたいそう」


「勿論ですお嬢様。シジミの味噌汁、豚汁、わかめと豆腐の入った味噌汁、なんでもございます」


ふむ。一般的な味噌汁は何だろうか。


「普通の奴で頼む」


「かしこまりました。席についてお待ちください」


促され席に着く。


「そういえば連理って基本暇だよね。だったら学園に行く気ない?」


「勝手に暇って決めつけんな。しかし学園か…悪くないな」


学園に通ったことが無いため、少し興味がある。美羽が”下”で教えてくれた通り、義務教育を受ける所らしい。


「大丈夫なのか?俺の年齢は俺だってわかんねぇぞ」


「ちょちょいのちょいだよ」


何やら笑みを浮かべながら言う。家のコネと言う奴か。


「じゃあ今日から生徒ね!私あこがれてたんだぁ…学園に護衛付けている人の事」


お姫様とナイト見たいじゃないと続ける。


「今日から?手続きとか無いのか」


「学園に着いてから考えるの」


あ、コイツ多分バカなんだろうな。


「お待たせしました。朝食になります」


メイドが来て朝食を並べていく。


…これが味噌汁か。泥水みたいな色合いだ。


わかめは下でも人気だった。腹が膨れるし、たくさん採れるからな。


「いただきます~!」


美羽の掛声で食事が始まる。


先ずは味噌汁だ。


「なるほど。悪くない味だ」


今まで食べたことのない味だが、意外と悪くない。むしろ美味しい。


美羽の方を見ると、卵焼きや目玉焼きと言った卵料理が並んでいた。やはり卵が好きらしい。


「やっぱ卵焼きは出汁が一番」


ぶつぶつ何かを唱えている。


白米は食べたことはあるが…贅沢品だ。俺の住んでいた所では先ず出回らない。


炭水化物はエネルギーになると聞く。効率よく動くならば必須だろう。


「なんだこのち〇こみたいな奴は」


「ぶふっ!!ななな、なんて言ったの!?」


「ち〇こ」


「二回も言わないで!」


お前が言えって言ったのに。それよりこのち〇こみたいな奴は何だ。


「それはソーセージと言って、動物の腸に肉を詰めたものです」


メイドの一人が答える。なるほどな。


食べてみるか。


ソーセージを食べるとパリっとした触感と溢れる肉汁が出てくる。


これは凄く美味しい。何も味付けはしていないだろうが…完成されている。


「美羽のち〇こもくれ」


「私には付いてないっ!変なこと言わないで!」


美羽が顔を真っ赤にしているのでその隙に盗んでおく。


うまい。


「朝から疲れる…」


「連理さん、制服のご用意が出来ましたので、朝食後に少しお時間を頂きます」


え?早くない。俺が学園に通う事になったのは今なんだが…。


「お、おうまかせろ?」


返事が少し変になってしまう。


「制服姿の連理…楽しみ」


俺のご尊顔ならどんな服でも着こなしてみせよう。



そんな訳で朝食を済ませ、今は制服を着せられている。


「やめてぇ!変態!」


「へ、変な声を出さないで下さい…」


裏声で叫んでいるとメイドに苦言を呈される。


「で、でも似合いますね…予想以上です」


美羽がこちらを見ながら言う。


「そんなお前は前のスペースが有り余ってる様だな」


げしっ!


「痛っ!何すんだ」


脛を蹴られた。げしっ!


「痛ぇって」


げしっげしっ!


「す、すまん」


やっと止まった…。まったく暴力的な奴だな。


「連理さん…デリカシーの勉強をした方が…」


メイドから言われる。


デリカシーなんて生憎持ち合わせていない。女と関わるのも殆ど無かった。


大体は俺を見たら怯え逃げていく。それが”下”の世界だ。別に取って食おうなんて思っちゃいねぇんだがな。


「ちょっとキツくねぇか?」


体格の違いか、制服が少しきつい。来ていた服がブカブカだったからなのか、違和感が凄い。


「そんな事ないですよ。すぐ慣れると思います」


メイドに言われる。まあ仕方ない。


「そろそろ時間なので行きますよ」


学園までは徒歩で行くらしい。意外だな。正直送迎させてると思っていた。


考えてみると”下”に居た時も思ったより体力が多いと感じた。思ったより活発な少女なのかも知れない。

日付間違えた

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ