頭脳ゼロ、威厳ゼロでも、武器の無自覚な【可愛い!】があれば国を平和にできますよね?
久しぶりに書いた読切です。評判が良かったら続きを書くかもしれません。
か、可愛い!!
これはとある国のお話。
その国では、悪法が法律を満たしており、国王は独裁政治を持って人々を支配しておりました。
重課税に兵役、更には奴隷にも手を染め、国の内情は地獄の方がまだマシじゃない? と思えるような地獄絵図でした。
しかし、その国で歴史が動きます。独裁政治をしていた王が倒れたのです。そのまま息を引き取りました。
国民は喜び、そして期待します。
(後継者はちょっとぐらいマシな王になってくれ!)
ですが、その国民の願いは、泡となって消えます。
次の後継者は、王女で齢まだ十二の子供です。
当然頭脳はありません。威厳もそこまでありません。ですが一つ武器と言えるものが、それは――
「私が次の王になりました。キュートです、い、以後よろしくお願いしまちゅ! (あー、噛んじゃった!)」
国民全員(か、可愛い!!)
――可愛さが売りの王女なのでした。
題名 頭脳ゼロ、威厳ゼロでも、武器の無自覚な【可愛い!】があれば国を平和にできますよね?
~オルレアン王国~
キュートは生まれて初めて、執務室に座る。
ピンクの髪でショートヘアで、顔は神様が利き手で何十時間も書いたかのような整った顔。
まさに天部の可愛さを持つ、王女だった。
「うーん、分からないです」
キュートはまだ十二歳で、これといった方針も無い。
そして彼女に与えられた仕事は、【法律の改定】。彼女の一言が法律に加わる。それを子供にやらせているのだ。正気じゃない。
(そうですわ! お父様が言っておりました! 『発想は大胆に』と。国民は虫だと思えと。虫⋯つまり、国民は我々に重要不可欠な宝ということですね!)※多分違う。
国民は諦めていた。たしかに可愛い。だがそれだけ、彼女が行う正義に奇跡なんて起こるはずも――
重課税【撤廃!】
兵役【撤廃!】
奴隷制度【撤廃!】
――奇跡が起きた!!!
少しの日々がたち、キュートに向かって太った三人の貴族達が走ってくる。当然だ。この法律は、貴族達が腹を肥やすために必要な物。それをいきなり取り上げられれば文句も出るという物。
「王女様! お考え直ください! この法律を消す事の意味を」
「貴族なくして国は成り立ちませぬ! なぜこのようなことを!」
「国民等、どうせまた増えるのです! 貴族とは命の格が――」
最後の一人が言葉を終えようとすると、すすり泣く声が聞こえる。
恐れながら上を見あえげると、今にも泣きそうなキュートがいた。
「⋯私の政治は間違っていますか? グスン」
貴族達(か! 可愛い!!)
貴族達に電流が走る。そしてその後の行動など誰でもわかるだろう。
「いえいえ! キュート様の政治に間違いなどありませぬ。だから泣かないでください」
「済まなかったね。おじちゃん達怖かったね。ごめんごめん」
「そ、そうだ! ポッケにお菓子がある。た、食べるかい?」
全力の甘やかし! キュートは、国民の味方の政治を可愛さだけで通したのだ!!
「えへへ、ありがとうございます」
貴族達(や、やっぱり可愛い!!)
キュートの笑顔でもう一度、電流が走る貴族達だった。
「⋯ワシら、これからどうしよ。節約せねばならんなー」
「まぁ、あの笑顔が見れるなら頑張れるな」
「あー、可愛かったなー」
この後、廊下をとぼとぼ歩く貴族が見られ、使用人達は影で笑うのだった。
◆◆◇◆
「お勉強もう嫌です」
「キュート様、文句を言われなきよう」
二ヶ月後になり、国民の生活は安定してきていた。貴族達も腹を肥やすために色々と国民に物資を与え、良いバランスが生まれようとしていた。
そしてそんなキュートの一番の敵はやはり勉強だ。教えるのは、オルレアン王国の頭脳と言われる「イケメンス」だった。
「イケメンス、私お茶が飲みたいですわ」
「(可愛い⋯じゃ無くて!)お茶なら二十分前にお飲みになられましたでしょう? 今日はこの部分まで終わるのが目標ですから」
キュートは渋々勉強を続ける。イケメンスは、彼女の勉強を見守りながら、街の外を見た。
そこには、笑顔の民があちらこちらにいて、先代の政治の時には考えられない光景だった。
「キュート様。貴方の政治で、この国は良い方向に言っております。ですが、安心はできません。この国にはクーデターを企むもの達がいると――」
「あぁそれなら解決しましたよ?」
「――は?」
~二日前~
「クーデターを辞めてくださる? (キュン)」
住人「(か、可愛い!)⋯そ、そうですね。そこまでお願いされたらなー」
住人「(可愛い)私達も、やる気なかったって言うかー、まぁ、やれたらやる的なノリだったしー」
住人「(可愛い)ねー」
民のクーデターなど、今では存在すらしてなかったかのようになっている。
イケメンスの、メガネが上にカチャカチャ動く。平静を保とうと、中指でめちゃくちゃ動かしている。
「カチャカチャ⋯では、下の川の人食い魚に関しては」
「解決しましてよ」
~一日前~
「住処を⋯変えてくださる?(キュン)」
魚達「(か、可愛い!)皆! 行くぞー」
それ以来確かに、人食い魚の被害はなかった。
更にイケメンスのメガネが動く。あれで飯を食べて行けそうなほど。
「では、この城にスパイがいるという報告は」
「帰ってもらいました。可愛いから、国を裏切ってまた来るね。と手を振っていました。やはり挨拶はいいものですね」
カチャカチャとしていた、イケメンスのメガネが遂に限界を迎えて壊れる。
「王女様、今日の勉強はここまでで」
「え? でも、まだ半分も」
「大丈夫です。貴方は勉強よりも、政治をした方が良いのでは?」
「そうですか? ありがとうございます!!」
「(⋯やっぱりクーソカワイイー!)では、失礼します」
◆◆◇◆◆
オルレアン王国を、滅ぼそうと動いていた闇の組織が――
「(か、可愛い)滅ぼすのやめよか?」
「そうですね(可愛い)」
「ねー(可愛い)」
こうして、オルレアン王国は平和になった。まさかまさかの可愛いで、全てを乗り越えることが出来るとは。
皆さんの家の子も、可愛いだけで全てを乗り越えられるかもしれませんよ? それが、可愛いというものです。
「続く?」
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そうすると可愛さのやる気が上がります。可愛さのやる気って何?