第一話 SWORD
ほぼ説明回です。世界観と装備、登場キャラなど。
世界に機械獣が出現し、早20年。オーストラリアに突如として出現した機械獣達は、瞬く間に世界を蹂躙していった。各国の軍や自衛隊が対抗するが、全く歯が立たないまま蹂躙されていく。そして南半球が完全に支配され、北半球にも機械獣が突入しようとした時。その機械獣を圧倒的な連携と力で屠っていく者達が現れた。その部隊の名はSWORD。機械獣に対抗する一振りの剣。
その者達は機動装束と駆動装束と呼ばれる2つの鎧を身に着け、機械獣に立ち向かった。そして機械獣の攻撃を一度も受ける事なく迫りくる機械獣を殲滅した。だが、たかが1部隊で抑えるには限界がある。
その後、一年ほどはSWORDが迎撃するがじわじわと機械獣たちの範囲が広がっていく期間が続いた。
だがその間に2つの装束の量産に成功。そしていくつかの部隊が割り振られた。
始まりの部隊、駆動10人、機動5人という少数精鋭ながら小型大型問わず機械獣を屠り続ける部隊、SWORD。
遠距離から超火力の一撃を与え、体制を崩す、またはとどめを刺す事を目的とした部隊、SNIPER。
駆動のみの部隊で陽動を基本としながらも手榴弾で機械獣の武器破壊に特化した部隊、RANGER。
機動を基本とし、機械獣の装甲を真正面から破壊する部隊、BREAKER。
機動、駆動問わず、装甲を壊した場所に固定し、機械獣の内側に爆弾を仕掛けたり、剣でこじ開けた場所から攻撃することで中からの攻撃を中心とした部隊、BUSTER。
駆動を基本とし、機械獣の進行ルートに地雷を仕掛けるなどした妨害特化の部隊、TRAPPER。
機動が多め、奪還地帯を防衛する、耐久戦に特化した部隊、SHIELDER。
この部隊の活躍によって、一時はアフリカ大陸全土まで支配されていたところを、十年かけて再び前線を赤道付近まで押し戻すことができた。
そして、舞台は最前線、アフリカ大陸赤道上。
「なんで最前線にまで来たのにこんな事務作業しないといけないんですかあ!!」
「仕方ないだろ。弾薬も武器の整備も金がかかるんだから。」
そう言って駄々をこねる同期、SWORD駆動隊石上遥を軽く流しながら俺、SWORD機動隊神谷律可は事務作業を続ける。
「そうは言っても律可、君だって戦いたいんだろ〜?」
「まあ、そろそろ身体は動かしたいが…」
身体は動かしたい。あの機械獣共をバキバキにブチのめしたい。ただ、それには入念な準備がいるのもまた事実。というか俺は自分の分の事務は終わらせていたはずなのに石上のを手伝っているんだ。感謝の1つや2つあってもいいと思うんだがな…
SWORDの選出基準は明かされていない。性別も国籍もバラバラ。機械獣が出た直後に道端でスカウトを受けた俺たちは了承した直後、目隠しをしたままどこかの地下へ連れて行かれ、そのまま訓練が始まった。途中離脱も可能だったが、離脱する者は1人もいなかった。
ただ、その中にも共通点がある。
それが、何かの記録を持っているということ。
例えば石上なら陸上の日本記録、
駆動隊隊長一ノ瀬沙希は女子ボクシング世界チャンピオン、といった具合にほぼ全員が何らかの記録を持っている。
ここで大事になってくるのは、この中に犯罪者も含まれているということだ。
駆動隊、成田光輝。通り魔として通行人10人の首や腕を切り、三名を殺傷。三名重傷、四名軽傷という事件を起こした。ただ、その犯行及び逃走に使われた逃げ足や状況判断の才からSWORDにスカウトされた。
そして俺は…
「緊急事態。この場所より南に5キロ先、地中より機械獣発生。タイプは蛇。他にも被害報告多数。別タイプもいる物として対応。」
「フッフー!やっとこの事務作業が終わるぅ!」
「さてと、行くか。」
俺たちは腰に機動装束、ブレイクトリガーがあることを確認し、南に向かう。
用語解説
ブレイクトリガー
機動、駆動隊員の腰につけられた装束を入れておく筒。筒の片側に手で握りやすい大きさのグリップが付いており、それを引くことで中から装束が飛び出す。そして体をスキャンし、1秒にも満たない時間で体を覆う。
名前の由来は機械獣をブレイク、壊すことのトリガー、引き金になることを意味している。