七年という月日がもたらしたもの
パレットをメイロー樹海の洞窟に閉じこめた集団が戻った後、ベリオレットはカオス教の集団にある事指示していてカオス教の集団は指示を受けてある場所へと向かっていった。ベリオレットがカオス教の集団に指示を出した内容は密かにエリザレス山脈より北にある場所にカオス教の神殿を作るというものだった。そして集団にその場所にふさわしい場所へと集団を向かわせた。集団は歩き続けて目的の場所に辿り着くと集団はベリオレットに貰っていた図面通りに神殿を作り始めた。
一方その頃、カオス教の拠点ではベリオレットは考えながらカオス教の神殿が出来上がっていくのを楽しみにしていたがふとある考えが浮かび上がってその考えの事を伝える為に神殿を作っている人間の元に指示として送った。神殿は何者かの侵入に備えて複雑に作られていて奥に行くと祭壇を置いた広い場所を作りあげた所でベリオレットから再び指示が届いた。広い場所の下に隠し部屋を作ってくれというものだった。カオス教の集団は祭壇のすぐ下の場所に隠し部屋を作る為に階段を作りその後に隠し部屋を広く作った。隠し部屋を作って神殿が完成すると守る為の人間を神殿に置いて周りからわからないようにすると共にベリオレットに報告を送った。
メイロー樹海の結界が張られて出る事が出来ない洞窟の中でパレットは何とかこの結界が張られた洞窟から出る方法を考えていた。「ゼルスに会いたい」その一つの思いだけでこの何もないくらい静けさが支配する洞窟で心を保ち続けた。だがパレットの体は少しずつ少しずつ弱くしていった。その状態で虚しくも七年という月日が流れて行った。七年の月日はパレットの知らない所で様々な事が起こっていた。何も知らなかったパレットの元にも変化が起こるきっかけが音を立てて近づいて来ていた。
パレットが連れ去られてから七年の時が過ぎていた。七年の間パレットの情報は全く集まらなかった。そんな日々が続いていたある日、世界のある場所で異変が起きていた。そのある場所は突然発光し始めて発光し始める前にその場所には人の姿は見えなかったが発光した後その場所に二人の姿が現れていた。発光は一瞬だったがその発光に気づいた人間がその発光した場所まで近づいていた。その場に突然現れた人間は自分達に起こった出来事を訳がわからない顔をしていた。そして近づいてきた人間に話を聞いていた。突然現れた人間は話を聞くとある場所に向かって歩きだした。現れた人間が向かったのは発光があった場所から北の方角だった。
パレットをメイロー樹海の洞窟に閉じこめてから七年経ったある日、ベリオレット達は拠点でゆっくりとしていた。すると空が急に明るくなっている場所が見えた。急に明るくなった場所にベリオレットは不安になったのか部下に指示を出して明るくなった場所で何があったのかを調べに行かせた。指示を受けたカオス教の集団はベリオレットが指示をした場所へと向かっていった。指示を出してから数日後、調べに行った人間が調査から戻ってきた。戻って来た人間から話を聞いたベリオレットは一つ疑問に思った事があった。それは光が現れた後そこにいなかったはずの人間が現れたという報告でベリオレットは『もしやあの術が』と不安に感じてしまった。
光が発光して現れた人間はある人間から聞いていた事があるアルカット神殿という場所へと向かっていた。ある目的の為に・・・・・・アルカット神殿に辿り着いたその人間達は神殿にいた見張りの厳しい目をすり抜けて神殿の内部へと入っていき探索を開始した。その人間達が探索していると神殿の内部にいた人間の声が聞こえてきた。「あの場所から連れて来た人間はまだあの洞窟にいるのか?」と聞こえてきて神殿を探索していた人間達は「まだこの場所に来ていないのか・・・・・・」と呟いて神殿の探索を終えて神殿の外に出て心当たりのある洞窟へと向かう事にした。アルカット神殿を探索していた人間は歩いてアルカット神殿からメイロー樹海へとやって来ていてその人間達はメイロー樹海の中を歩いていた。謎の二人は霧が出てきた樹海をもろともせずにメイロー樹海のある洞窟へと向かっていた。その洞窟にはフードを被った人間が洞窟の中に誰も入らないように見張りをしていた。謎の二人はそのフードを被った人間に向かっていった。見張りの人間は「誰だ!!」そう言葉を言った後に倒れ込んだ。謎の二人は見張りをしていた人間を倒して結界が張られている洞窟の中へと入って行った。洞窟の中に入って行った謎の二人は洞窟の奥へとさらに進んで行った。奥に進むとそこには一人の人間がいた。謎の二人はその人間に話しかけるとその人間は突然現れた謎の二人にパレットと自分の名前を名乗った。すると謎の二人は「やっと見つけた」と言ってパレットに逃げようと促すがパレットは洞窟にかけられた術の効果なのか洞窟を出る事が出来なかった。パレットはこの洞窟の中に入ってくる事が出来た謎の二人に頼み事をした。パレットが謎の二人にした頼み事は【近くにいた子供のゼルを連れて行って私の親戚に預けて欲しい】という頼み事と【ゼルスという人間にここの事を伝えてほしい】と頼まれた。謎の二人はゼルスという言葉を聞くと驚いていた。そして謎の二人は「あの時の・・・・・・」とパレットに聞こえないぐらい小さな声で呟いた。謎の二人はパレットの願いを聞いてゼルを連れて何かの術で出られないはずの洞窟を出た。洞窟に残る事になってしまったパレットは少しだけ期待しながらも洞窟で待ち続けた。洞窟を出た謎の二人とゼルは頼み事の場所へと向かっていった。その様子をカオス教の人間が見張っていてその四酢を伝えにカオス教の拠点へと向かった。
ベリオレットの不安は的中してしまった。メイロー樹海でパレットを監視していた人間が樹海から戻ってきて報告をしにきていた。その報告は誰も近づかれないようにしていたはずの洞窟に二人の人間が近づき閉じこめていたパレットに接触した形跡があるというものだった。ベリオレットはその報告を受けてすぐさま樹海で監視している人間にパレットを北に作ったアルカット神殿に移すように指示を送った。指示を受けた人間は急いでメイロー樹海に戻りベリオレットからの指示を樹海にいた人間に伝えるとカオス教の集団は洞窟の中からパレットを連れ出した。
パレットを探していた集落の人間はパレットを見つける事が出来ずに集落へと戻って来ていた。集落に戻った集団は長老にパレットの行方がわからなかったと報告をした。長老は「そうか」と一言だけ言葉を発した。その長老の言葉は少し悲しさを含んでいた。集団はしばらく集落で過ごしていたがパレットを探す為に集落を離れてパレットの情報をひたすら探し続けた、だがそれでも情報は入らず七年の時が過ぎて行き七年後動かなかった出来事が動き始めた。
ゼルを連れて目的の場所へと向かっていた謎の二人はアルカット神殿を通り過ぎてさらに北にある場所にいるパレットの親戚にゼルを預ける為に・・・・・・謎の二人とゼルは歩き続けその場所にやって来たが聞いてきた場所にある集落が全く見つからなかった。それでも謎の二人は諦めずに集落を探し続けた。探し続けてもう集落は無いのかと諦めかけて違う場所に行こうと考え始めていたその時には謎の二人に近づいている集団がいた。その場にいなかったはずの人間達が現れていた。謎の二人はその人間達がいつ現れたのか分からなかったが「現れた人間達に話を聞いてみる事にした。すると現れた人間は集落の人間だという事を明かしてきてゼルを引き取ると言いだした。謎の二人は集落の人間だというその集団にゼルを預ける事にした。ゼルは集落の人間達によって集落へと連れて行かれた。その様子を見た謎の二人はパレットから頼まれたもう一つの場所へと向かって歩きだした。
ある場所で発光があった少し後、魔王城では七年間止まる事無く続いた出来事がまた起ころうとしていた。魔王城のある場所で「やめろ!!返せ・・・・・・返せ!!」と叫ぶ声がその場所で響き渡りその場所の空気を大きく振動させていた。叫んでいる人物は七年間続く夢でうなされて夢から目覚めた。目覚めたゼルスはパレットを失ってから偉大な魔王になる為に日々修行中だった。今日もいつもの夢から目覚めたその直後に修行をする為に足取り重く修行所へと向かった。修行所に着いて中に入るとある人物がどっしりと仁王立ちをしていた。その人間はサタスンと言って少し前からゼルスの教育係として魔王から指名された人間だった。サタスンはゼルスが修行所に来た事がわかるとこちらに話しかけてきた。「ようやく来たな」とサタスンは一言言うとゼルスに修行の準備をするように指示をしてきた。ゼルスはいつも通り重苦しい気持ちを切り替えてサタスンの指示通りに修行の準備を始めた。準備が終わるとサタスンはゼルスに攻撃を仕掛けてきた。ゼルスはサタスンの動きに合わせて攻撃を受け止めていた。実践的な修行は厳しいもので修行が始まって数時間後には疲労が溜まっていき体力の限界になると修行が終わった。五年間続けていた修行である程度強くなったがそれでもサタスンの修行ではまだ疲労が溜まる事があった。厳しい修行が終わり修行所を後にしたゼルスは修行終わりにいつも行っている景色のいい場所へと向かう事にした。
修行所からいつもの景色のいい場所に向かっていたゼルスに魔王城にいた魔物達が挨拶してきた。ゼルスはその魔物達に挨拶をしながら景色のいい場所に辿り着いた。辿り着いた景色のいい場所には先客 がいた。景色のいい場所にあった木の陰に幼馴染のタリスタが座っていた。タリスタはゼルスが来ると笑顔になってこっちに向かって歩いてきた。タリスタはゼルスが魔王になった時に片腕になれるように五年前から教育を受けていて先ほどまでその教育を受けた後にこの場所にやってきていた。ゼルスとタリスタは厳しい修行が終わった後の時間をこの景色のいい場所でいつも過ごしていたが今日の修行を終えて時間があった二人は少し魔王城から出て近くにある人間の町に行く事にした。二人は一度自分達の部屋に戻って人間に姿を変えて用意をしっかりとした後に魔王城の入口に向かって歩きだした。魔王城の入口にやって来た二人はそこから近くの町へと向かった。町に向かう途中に他の人間に出会ったがゼルス達が魔族だと気づく人間はいなかった。魔王城からしばらく歩くとアースリーという町へとやって来た。アースリーの町は少し大きく町の中に入ると活気のある声で賑わっていた。ゼルス達は賑わっている町の中を歩きながら見回っているとある一角でどこかに雇われている女性が雇用主から責められている光景に出くわした。ゼルスはその光景を見た時に何故か七年前から夢に出てくるあの出来事を思い出してしまった。ゼルスはあの出来事のトラウマから体がガクガクと震えだして胸が締め付けられるように苦しくなって呼吸は荒くなっていき気分が悪くなっていった。やがて立つ事が出来なくなって地面に倒れ込んだ。その様子を気にしながら静かに見ていたタリスタが苦しむゼルスを支えながら町を楽しむ事を止めて魔王城へと戻る事にした。
洞窟に閉じこめていたパレットをカオス教の集団は連れ出して北にあるカオス教の拠点の一つになっているアルカット神殿へと連れて行く事になった。七年の月日がパレットの体を弱くしていた。その為なのかパレットを連れてアルカット神殿に行くのにかなりの時間がかかってしまっていた。それでもようやくアルカット神殿に着いたカオス教の集団はパレットを神殿の奥にある広い部屋まで連れて行った。そこでさらにあまり使われていない部屋への道を使って誰にも気づかれない部屋に閉じこめた。パレットを閉じ込めたカオス教の人間達はその後アルカットの警備を強化する事を急いだ。
一方その頃、ベリオレットはメイロー樹海の異変の報告を受けてある行動に出る為に自分の部屋に戻っていた。ベリオレットは自分の部屋に戻って一つの鏡を取り出した、その鏡はあの時拾った鏡でベリオレットはその鏡を持ってカオス教の拠点を出て拠点の近くにいる魔物にその魔法の鏡を向けた。魔法の鏡を向けられる前まではベリオレットに敵意を剥き出しにしていた魔物が鏡を向けられるとおとなしくなっていった。おとなしくなった魔物の目は赤色に変化していてベリオレットの言った事を聞くようになっていた。ベリオレットは魔物達にアルカット神殿に向かうように指示を出すと魔物はアルカット神殿の方向に向かって行った。
謎の二人は集落の人間にゼルを預けた後にパレットに頼まれたもう一つの場所へと向かっていた。ゼルを預けた場所から向かっていたのはゼルスがいる魔王城だった。謎の二人が何故ゼルスという人間がいる場所がわかっていたのかはまだわかっていなかた。謎の二人は急ぎながら進んでようやく魔王城までやってきた。謎の二人が魔王城の近くまでくると見張りは近づいてくる二人に最大限の警戒をしながら見守っていた。謎の二人は見張りに近づくとパレットの名前を伝えた。見張りはいきなりパレット様の名前が出て驚いたのかしばらく固まってしまった。謎の二人は見張りの戸惑いを感じつつ洞窟の情報をゼルスに伝えるように見張りに紙を渡した。見張りは謎の二人から紙を受け取るとゼルスの元に報告しに行った。謎の二人は紙を渡し終えると魔王城を後にした。見張りはゼルスの元に向かっているとタリスタに会って謎の二人から受け取った紙をタリスタに渡した。その紙を見たタリスタはゼルスの部屋へと急いだ。
ゼルスはアースリーの町で気分が悪くなった後、タリスタに支えられながら魔王城に戻って来てしばらく自分の部屋でゆっくりと過ごしていた。それからしばらく穏やかな時間が流れていたがその穏やかな時間が終わりを告げる事が起こっていた。部屋に近づいて来る足音が少しずつ大きくなって聞こえてきた。その騒がしい足音は部屋の前で止まると扉が開きタリスタが慌てながら入ってきた。入ってきたタリスタの顔が只事ではない事を表していてタリスタの手には紙が握られていた。『タリスタの手に握られている紙は一体?』と思っているとタリスタは手に握っていた紙をゼルスに渡した。タリスタは握っていた紙を渡してさらに見張りから聞いた謎の二人の事も伝えてきた。ゼルスは手渡された紙に書いてある文書を見てみるとそこにはゼルスが七年間探していたパレットの情報が書かれていた。ゼルスはこの紙に書かれている場所に一刻も早く向かいたいと思って準備する時間も惜しんでその場所に向かう為に魔王城の入口へと向かった。魔王城の入口に着いたゼルス達はそのまま魔王城を出て書かれていたパレットがいる場所へと向かって進んだ。文書に書かれていた場所はメイロー樹海という場所だった。魔王城からメイロー樹海までかなり遠く何日もかかる場所だったがゼルスにはそんな事は全く関係なかった。『会いたい』その思いは強くその一つの思いで歩き続けてその場所の近くまでやって来た。ゼルス達はエリザレス山脈の山道を疲れながらも歩き続け山脈を越えてようやく目的の場所のメイロー樹海へと辿り着いた。ようやく辿り着いたゼルス達はこの樹海の何処かにパレットがいるはずの樹海へと入って行った。ゼルス達がメイロー樹海に入ると霧に包まれていて前が見えないほどだったが気にせずに霧の中をパレットがいるはずの洞窟を探し始めた。樹海の中に出ている霧が捜索を邪魔し続けていて時間がかかったがようやく洞窟を見つけ出した。ゼルス達は見つけ出した洞窟の奥へと進んで行った。やっと会えるとそう思っていたゼルス達は洞窟の奥でその思いを打ち砕かれた。洞窟の中にはパレットの姿は見当たらなかった。ゼルスは膝から崩れ落ちたが落ち込んでいる暇はなかった。すぐさま洞窟の中を調べ始めたゼルス達はつい最近までいたような痕跡を見つけた。ようやく会えると思っていたのに悔しかったと思うと同時にゼルス達は少し考えてあのフードを被った集団は自分達が来る事を察知して何処かに移動させたのではないかと考えて手掛かりを探す為にもう少し洞窟の中を探索した。探索したがパレットが何処かに連れて行かれたかの情報が見つからず魔王城に戻る事にした。
ゼルスが魔王城を出てメイロー樹海に向かった後、アルカット神殿付近で魔物の情報が多くなっていた。その情報は魔王城まで聞こえてきていた。魔王城にいたサタスンはその情報が入ってくると部下に詳しい情報を調べさせた。サタスンは部下が調べて戻ってくるまで魔王城で待つ事にした。しばらくして情報を調べに行った部下が帰って来たが詳しくはわからなかった。サタスンは自分で調べに行く事にして準備をして魔王城から出ようとしていた。
パレットと会えなかったゼルス達は魔王城の近くまで帰って来ていた。もうすぐ魔王城だという所で魔王城から出て行く人影を見かけた。ゼルス達はその人影を見るとサタスンで魔王城から出て何処かに行こうとするサタスンに近づいた。するとサタスンはゼルス達の姿に気づき話しかけてきた。サタスンはゼルス達にある任務に行くので付いてくるように言った。サタスンが行くという任務は魔物が何者かによって操られているようなので調査をするというものだった。ゼルス達はサタスンと一緒に調査に行く事を決めて操られた魔物が向かう場所へと歩きだした。
集落の人間ゼルを預かって集落へと帰って来ていた。そして長老にゼルを合わせてパレットについて長老に報告をした。すると長老はゼルに一言「パレットの・・・・・・」と言った。集落の人間は少年の顔を見てパレットに似ている事に気づいた。長老はゼルという少年を集落に引き取っておこうと思っていたがやはりあのお告げの内容を恐れて集落の人間を呼んでその集落の人間に近くにあるアルカリアの町で生活させるように指示をした。指示を受けた人間はゼルを連れてアルカリアの町へと向かった。長老は二人組とゼルから得た情報を元にメイロー樹海の洞窟に集落の人間を向かわせた。長老からパレットの情報を聞いた集落の人間はメイロー樹海へと急いだ。集落からメイロー樹海に行くまでに七年前には無かった建物が建っていて何やら人が集まっていて不思議に思いながらもメイロー樹海へと向かった。エリザレス山脈を越えて行くとメイロー樹海に辿り着いた。集落の人間はメイロー樹海を歩き回って情報にあった洞窟を見つけ出した。集落の人間が洞窟の中に入るとそこには人がいた形跡があって集落の人間は周りをくまなく調べて手紙らしき物を見つけた。その見つけた手紙の内容を見た集落の人間はここにパレットがいた事は間違いなさそうだと考えた。だがそこにはパレットはおらずに何処かに連れて行かれたと思うがその場所がわからなかった。悩んでいた集落の人間はここに来るまでに見た人が集まっていて不思議な感覚になった建物の事を思い出した。集落の人間は手紙をその場に残してメイロー樹海の洞窟を出てあの建物があった場所まで戻る事にした。アルカット神殿での魔物出没の噂は集落にも伝わって来ていた。メイロー樹海に集落の人間を送った後、長老はアルカット神殿に突然魔物が現れた出来事の裏にあの時の人間が関わっていると感じて集落の人間をアルカット神殿へと向かわせた。集落の人間は急いで長老から言われた神殿へと歩きだした。
アルカット神殿に魔物が出没した噂が出る少し前、ベリオレットは魔法の鏡で魔物を操った後に自分もアルカット神殿へと向かっていた。ベリオレットがアルカット神殿に辿り着いたのはゼルス達が来る少し前の事だった。神殿の中に入るとパレットが閉じ込められていた隠し部屋に向かった。そしてパレットに対面して話をしていた。そんな時、その部屋の上が騒がしくなっていた。
ゼルス達は魔王城から北にあるという神殿に向かっていた。その神殿は普通魔物が寄り付かない場所だった。サタスンとゼルス達は一緒に進んで行って二日ほど歩いて神殿へと辿り着いた。神殿に辿り着いた三人は少し様子を見る事にした。辿り着いた神殿は遠目から見るとそこには神殿があるという事が分からないようになっていた。しばらくすると魔物の群れが神殿へと向かっていった。サタスンは遠目から神殿に向かう魔物の状況を見ていて魔物の目が赤く変色していて普通の状態ではない事がわかった。三人はその場で考えた。魔物を操っている人間はどんな方法で魔物を操っているのかを・・・・・・そのヒントが神殿にあると思って神殿の内部へと入って行った。ゼルス達が神殿の内部に入って行くと中はとても複雑な構造になっていた。その複雑な構造をしている神殿の内部を調べながらさらに奥へと進んで行った。奥へと進んで行ったゼルス達の前に下が開けた場所が見えてきた。上からその場所を覗いてみるとそこには操られた魔物とそれを操っていそうな集団がいた。ゼルスはその場所にいた集団を見た時にあの時の事を思い出した。その場所にいた集団はあの時パレットを連れて行ったフードを被った集団だった。ゼルスは手を強く握りしめた。あの時の憎しみを抑えるように・・・・・・その集団と魔物の集団が大勢いてその集団は何かを叫んでいてゼルス達はその叫びに耳を澄まして聞いてみると混沌と絶望を世界にもたらせと何回も叫んでいた。その叫びに魔物の集団も同調して叫んでいた。フードを被った集団が叫んでいたその叫び声はその場所を覆い包むように響いていた。三人はその叫び声が鳴り響く中で集団の中に突っ込んで行った。
フードを被った集団と魔物は神殿の開けた場所に集まっていた。その場所には祭壇があって神聖な場所のような雰囲気だった。その集団がいなければ・・・・・・その場所でフードを被った集団と魔物はカオス教の教えを叫び出した。その叫び声は部屋を覆い包んで行った。その叫び声が続いていた中何かの気配を感じその方向を見ると謎の三人組が集団と魔物の前に突然現れた。
集団の中に突っ込んで行ったゼルス達は集団が戸惑っていた中進んで行った。フードを被った集団は戸惑いながらも操っている魔物の集団にゼルス達を攻撃するように指示をしていた。指示をうけた操られた魔物の集団はゼルス達に攻撃を仕掛けていき普段以上の力を出していて強かった。『この魔物の強さは』と思いながらもたくさんの魔物相手に奮戦していたがやはり数の差には勝てなかったのか時間が経つにつれて押され始めて勝てる可能性がどんどん下がっていく。ゼルス達が周りを見ると戦いに気を取られていてフードを被った集団が姿を消している事さえその時まで気づかなかった。その場に魔物だけになっていて魔物の攻撃を躱しながらもさらに追い詰められたゼルス達は魔物の攻撃を躱しきれなくなって少しずつ受けていった。攻撃を受けていって状況は悪い方向に向かっていた。この状況がまずいと思ったサタスンはゼルスとタリスタを逃す事を考えてゼルスとタリスタに逃げるように指示をした。だがゼルスとタリスタはその指示には従う事が出来ずに拒否し続けた。それも当然だった。やっと見つけたあいつらがいるのだから・・・・・・憎しみで状況を正しく見られていないゼルスとタリスタはサタスンの再三の指示を拒否していたがそうしている間にも状況はさらに悪くなっていく。サタスンはその様子を見て「もうこうするしかない」と呟いた後何かの術の詠唱を始めた。一刻の猶予も無いとわかっていたサタスンは術の詠唱のスピードを速めていく。サタスンが術の詠唱をしている間も魔物の攻撃は止まる事はなかった。しばらくするとサタスンの術の詠唱が終わりそれと同時にサタスンはゼルス達に向けて「お前達だけでも逃げのびろ」と叫び術の効果を発動させた。ゼルスとタリスタはサタスンの術の効果で神殿の外までとばされた。神殿の外に飛ばされたゼルス達はサタスンが出てくるまでしばらくその場で待ち続けた。追手が来るかもしれないリスクを負ってまで・・・・・・『きっと戻って来る。きっと戻って来る』と思いながら待ち続けたがサタスンッは戻って来る気配はなかった。
ゼルス達が神殿の外に飛ばされた後、神殿の中ではサタスンと魔物がまだ戦っていた。複数の魔物達とサタスンの戦いは明らかにサタスンが不利な状況である事はわかりきっていたがサタスンは体力が続く限り戦っていた。倒れるわけにはいかなかった。ゼルス達が逃げ切れる時間を一秒でも多く作る為に・・・・・・思いだけで圧倒的不利な状況であっても戦うサタスンもそろそろ人数的不利には勝てなかった。体力が尽きても魔物達の攻撃を受け続けて意識が薄れていった。動けなくなったサタスンを魔物達は神殿にある隠し部屋へと運んでいった。その後ろには姿を消していたはずのフードを被った集団がいた。
サタスンは戻って来なかった。ゼルス達はサタスンの死を感じ取って神殿の片隅に墓標を建てた。時間はすっかり陽が落ちようとしていた。陽か落ちてきたその色とゼルスの体から溢れてきた漆黒のオーラが混じり合っていたが徐々にゼルスのオーラが漆黒から暗黒へと変わっていく。一緒にいたタリスタはゼルスのオーラの変化に気づいていてその時に暗黒のオーラが見えたのは一瞬だったが額から汗が垂れてきた。ゼルス達は今の魔王にサタスンの事を報告しなければならないと思い魔王城へと帰る事にした。タリスタは暗黒のオーラが見えなくなった背中を見ているゼルスの体から出るオーラの強さから少し離れてついていく事しか出来なかった。その事がわかるとタリスタは理解した。あの一瞬見えた暗黒のオーラは消えたのではなくゼルスの体に馴染んだだけだったと。
ベリオレットは今自分がいる場所の上が騒がしい間にパレットに対して運命を変えた存在に復讐しなければいけないとずっと言い続けていた。ずっと言い続けていると騒がしかった上が静かになっていた。そしてばれないように塞がれていたこの隠し部屋に続いていた階段からカオス教の集団が降りてきていてさらに操った魔物はある人間を抱えていた。カオス教の人間は教祖であるベリオレットに挨拶をすると魔物が抱えてきた人間をパレットと一緒の部屋に放り込んだ。抱えてきた人間をパレットと一緒の部屋に放り込んだ後にその場所を離れてカオス教の拠点へと戻っていった。カオス教の集団が去った後ベリオレットは復讐が終わったと思って喜んだのかパレットに自分の事を話してカオス教の教祖である事や時を越える術が使える事を話し続けた。パレットはベリオレットの話を驚きながら聞き続けた。その話が終わるとベリオレットは隠し部屋を去って行った。それからしばらくして意識を失っていたサタスンが意識を取り戻した。
サタスンが意識を取り戻した時には見知らぬ場所に閉じこめられていた。周りを見渡すとそこには一人の人間が閉じ込められていてサタスンはその人間の顔を見てすぐさまパレットという名前を思い出した。パレットもサタスンの事を覚えていてサタスンにカオス教の教祖の特徴や時を越える術を使える事を話した。サタスンは持っていた紙にパレットから聞いた事を書き記した。サタスンとパレットの再会から数日後、パレットは長年の疲れのせいか意識が無くなり始めていた。サタスンがパレットに近づくとパレットのか細い声が聞こえてきた。「テール・・・・・・テール」と無意識に呟いていた。サタスンはその言葉を何故言っているのかわからなかった。パレットはその言葉を呟いたまま息を引き取った。それからしばらくしてサタスンも息を引き取った。