違和感の正体
リメリアとオルドラがフェアリー族の里に向かっていたその頃、リメリア達と別れて行動する事にしたパルとツクレードは、フードを被ったカオス教の集団が拠点にしているというアルカット神殿へと向かっていた。アルカット神殿は、学術都市オシエーテから魔王城のあった場所を抜けて行った方が早かった。アルカット神殿へと向かう途中であの魔王が封印されているはずの魔王城が見えてきた。数年前のあの時の出来事を思いながらアルカット神殿へと向かった。数日かかってアルカット神殿に辿り着くと神殿の外にはフードを被った人間が見張りをしていた。パルとツクレードは、見張りに気づかれないようにひっそりとゆっくりと近づいて当て身をすると、見張りはゆっくりと地面に倒れ込んだ。パルとツクレードは、その様子を見ながら神殿の内部へと入って行った。城の内部は複雑な造りになっていて通路を奥へ奥へと進んでいくと何やら声が聞こえてくる。さらに通路を進んで行くと少し広くなった空間に出て来た。そこには、フードを被ったカオス教の集団が叫んでいた。通路にいた時も薄っすらと聞こえていたが、この場所でははっきりと聞こえている。「混沌と絶望を世界にもたらせ」と何回も部屋に響き渡っていた。パルとツクレードは、その光景と迫力に一瞬だけ驚いたが、二人はその叫んでいるカオス教の集団に向かっていった。カオス教の集団は、カオス教の教えを叫んでいたがパル達が向かってきているのを知ると、叫ぶのをやめてこちらの動きに合わせて対抗してきた。パル達は、カオス教の集団に向かって攻撃をすると集団も同じように攻撃をしてきた。剣がお互いの目の前で何回も十字に交わり合う音も何回も聞こえて互角の戦いをしていた。カオス教の集団の一部は互角の戦いをしている中何やら騒いでいた。しばらくするとカオス教の集団が騒いでいた理由が分かった。それは赤い目をした魔物が遠くから出現したからだった。パル達は、いきなりの魔物の登場に驚いた。魔王が封印されてから魔物はおとなしくなっていたのに・・・・・・赤い目をした魔物は、パル達に向かって攻撃してくると互角の戦いをしていた集団の攻撃は激しくなってきた。本来ならば戦いの拮抗は崩れるはずだった。だが拮抗が崩れたのはカオス教の集団の方からだった。パルとツクレードは、激しい集団と魔物の攻撃をギリギリの所で躱して魔物に一撃を喰らわした。すると魔物は悲鳴と共に崩れ落ちた。魔物が崩れ落ちたその時、カオス教の集団は、このアルカット神殿から退避し始めていた。パル達は、退避しようとしているカオス教の集団を追いかけようとしたが、相手の行動の方が早く間に合わなかった。パル達は、カオス教の集団がこのアルカット神殿を去った後にこの部屋に何か手がかりが無いかを少し調べ始めた。
一方その頃、フェアリー族の里の長老とリメリア達は、時を越える術を修行する場所へと辿り着いていた。その場所に入るとそこは今までの場所の雰囲気とは全く違い神聖な空気が溢れ出ていた。長老は、リメリアとオルドラに修行の準備に入るように促してきた。リメリアとオルドラは、長老の顔を見ると真剣な目をしてこちらを見ている事に気づき修行に備える準備を念入りに整えた。準備が終わると本格的な修行が始まった。長老の指導は的確でリメリアとオルドラは長老の指導を受けて時を越える術を覚える為にしっかりと長老の指導を聞き続けた。
パルとツクレードは、さっきまでカオス教の集団との戦闘があった部屋を探索し始めた。その部屋には祭壇があって禍々しい感じがする部屋だった。しばらく探索すると祭壇の下に普通ではわからない隙間が微かに見えた。パル達は、その微かな隙間に手を入れるとドアになっていて開けると下へと続く階段が現れた。パル達は、その先が真っ暗で下が見えない階段を降りて行く事にした。一歩一歩慎重に降りて行くとほぼ真っ暗な状態の中でうっすらと小さな部屋が見えてきた。うっすらと見えた小さな部屋の方向に進んで部屋の中に入るとその部屋だけ明るく光っていた。部屋の奥をふと見たパル達の目の前に二つの骸が置かれていた。パル達は、目の前に置かれている骸が気になって調べてみた。二つの骸は、一つは人間の女性らしい亡骸でもう一つは人間とは違う魔族らしい亡骸だった。魔族らしき亡骸には何かが書かれた紙が傍に置かれていた。亡骸が持っていた物なのか?パル達はその紙を見ると三つの事が書かれていた。人間の女性らしい亡骸は、パレットという名前でゼルスが探していた人だという事、カオス教の教祖は時を越える術が使える事、そしてカオス教の教祖の特徴が書かれていた。その手紙を手に入れてその代わりにパルは、自分が持っていた紙に【あの時のあの笑みは、やはりあいつが教祖なのか?時間を移動できる術をなぜ知っている?それで時を越えて自分の都合よく改変させているのか? パル】と書いてこの手紙をここに残した。王に感じていた違和感の正体が分かった。パル達は、アルカット神殿を出て合流の場所王都アナタリアに向かって歩きだした。その後ろ姿を見つめている四人組の姿がそこにあった。四人組はその後神殿の中へと入って行った。