表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
14/59

それぞれの思い

 いち早く魔王城から出て来たカオス教の集団は魔王ゼルスを封印した事はある意味で成功だと思っていて二手に分かれて行動を始めた。一つはそのままアルカット神殿へと戻る集団でもう一つは王都アナタリアにいるベリオレットに今までの事を報告する集団に分かれた。報告に行く集団は何日もかけて王都アナタリアに辿り着いた。アルカット神殿へと帰った集団は神殿のカオス教の人間に魔王ゼルスを封印した事を報告した。

 一方その頃、ゼルスの封印を間近で見たパレットは最悪の状況が起こってしまった事でその場で崩れ落ちて動く事が出来なかった。次々とゼルスのいる魔王城から去って行く中、一人ゼルスの近くで立ち尽くしていたタリスタが封印された魔王ゼルスの異変を何か感じたのかさらに近寄っていった。近寄ったタリスタは封印されてしまったゼルスが何か伝えたいのか動いているように感じていた。タリスタは何とかして封印を解く方法があると信じて新たに決意をしてゼルスのいる魔王城を出て行った。パレットはその様子を見てサタスンに集落に向かうように指示をした。サタスンはパレットの指示を受けて魔王城を出て集落へと向かった。一人になったパレットを封印されたゼルスの元へと進んだ。

 集落で入ってくる情報を一つ一つ確認していた集落の長老の元にサタスンが戻って来たと報告が入ってきた。長老はパレット達に何か起こったのかと心配になり戻って来たサタスンの元に急ぐとサタスンが待ち受けていて帰って来たサタスンから今までの話を聞いた。フードを被った集団の事と魔王ゼルスの今の状態の事を・・・・・・話を聞き終わると集落の人間にフードを被った集団の事を調べさせた。それと同時に魔王ゼルスについて何かを考えながら長老は紙に文字を書き始めた。サタスンはそれを黙って見ていて長老は文字を書き終わるとその紙をサタスンに持たせて「パレットに渡せ」と言ってサタスンをパレットがいる魔王城へと向かわせた。

 カオス教の拠点にある書物を読んだ事で確信を得たベリオレットは王都アナタリアへと戻ってきた。戻ってすぐにアルカット神殿に新たな指示を出していったがその指示がアルカット神殿に届くまでにパル達を追っていた人間達が報告を持って王都アナタリアへと戻って来ていた。戻って来た人間達が持ってきた報告は魔王ゼルスを封印したという報告だった。その報告を受けたベリオレットは心の中で『しまった・・・・・・魔王ゼルスが封印されてしまってはパル達を倒す事が出来ない』と思ってしまった。ベリオレットはしばらく考えた後に王様としてパル達を英雄として迎える事にした。

 パル達が報告の為に魔王城を出て王都アナタリアに向かう帰り道の町で魔王討伐の話は広がっていき人々は喜びの声と笑顔で満ち溢れていた。空は魔王の暗黒のオーラを吹き飛ばしたような晴天になっていた。魔王討伐の報は人々によって国全体に広まっていきパル達は帰り道で人々に英雄と呼ばれて讃えられていた。歓喜の声は雨のようにパル達に降り注いだ。パル達は何日もかけてようやく勇敢な王が待つ王都アナタリアに戻ってきた。

 カオス教の拠点には魔王ゼルスが封印されたという情報はベリオレットに伝わった後に少し遅れて伝わってきていた。カオス教の拠点に伝わった情報はもちろんカオス教の拠点に残っていたメグリアット・トクリット・タタン・ジュレイドの四人にも伝わっていた。四人はベリオレットの事が心配ですぐに王都アナタリアへと向かおうとしていたがベリオレットから留まるように指示をされていた事を思い出してベリオレットから何かの指示が必ずやって来ると信じて拠点の広い部屋でその時を待ち続けた。

 王都アナタリアに戻って来たパル達は城へと向かって城の中に入ると城の中でもみんなの歓喜の声が溢れていた。城の中でしばらくゆっくりしながら謁見の間へと向かった。その少し前、ベリオレットが魔王ゼルスを封印したという報告を受けてしばらくした時にパル達が王都アナタリアに戻ってくると報告があった。王都アナタリアにパル達が戻って来る頃にはベリオレットは王様を演じる用意と覚悟がもう出来ていた。王様を演じる用意が出来たベリオレットの元にパル達が謁見の間の扉の前にやって来ていた。ベリオレットはその事を知ると兵士に扉の前にいるパル達を中に入れる指示をした。

 謁見の間に行くと兵士から王が会うから謁見の間に入ってくれと言われて謁見の間へと入った。謁見の間に入ると王が居て二度目の謁見が始まった。ベリオレットはカオス教の拠点でパルについてパレットと関連がある事を知っていたが顔には出さずに王としてパル達を英雄として労いの言葉を伝えたが内心ではパル達をどうして倒そうか考えていた。ベリオレットは王として完璧に演じていたはずだった。そう演じていたはずのベリオレットも気づかないうちに不敵な笑みを浮かべていた。パル達は謁見の間で王から労いの言葉を受けた。パル以外のツクレード、オルドラ・リメリアは喜んでいたがパルは王が時より見せた不敵な笑みが気になっていた。この不敵な笑みを見た事があった。そう一回目の謁見の時にも見せていたあの笑みだった。王との謁見が終わり玉座の間を出て行ってベリオレットとパル達の二度目の対峙は終わりを告げた。対峙を終えたベリオレットは次の行動を考える為に奥の部屋へと向かった。

 一方その頃、パレットは封印されてしまったゼルスの前で立ち止っていた。ずっと会いたくても会いに行けなかった人が封印された状態だったが再会を果たした。手が触れるほどすぐそこにいるというのに封印の術の影響なのか直接触れる事が出来なかった。只ゼルスにかかっている封印の術を解きたいとパレットは自分の知る限りの術を封印されているゼルスに放った。だがそれでも封印が解かれる事は無くパレットは自分の実力の無さを痛感すると絶対に封印を解くとそう決意してゼルスが封印されている魔王城を後にした。魔王城を出ても名残惜しくてしばらく魔王城の近くで留まっていると集落に向かったサタスンが戻ってきて長老から受け取った紙をパレットに渡した。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ