第六話 地獄の鍛錬、からの……
約二ヶ月ぶりの更新となってしまいました。
ほんっとうにすみません! これから少しずつ進めていきます。
それからの鍛錬は地獄と言っても過言ではなかった。
もちろんロバート様が傍で見てくれているのは嬉しい。嬉しいのだけれどさすがに限度というものがあると思う。
最初に「厳し目大歓迎」だなんて言ってしまった自分の愚かさを悔やみながら、私は日々鍛錬に励んでいた。
苦しい。辛い。しんどい。そんな言葉しか頭に浮かんで来なくなる日もしばしば。ロバート様は本当に厳しい。厳し過ぎるのである。鬼か?と言いたくなるくらい。小柄なシーダの体はすぐに悲鳴を上げ、すぐにろくに言うことを聞いてくれなくなってしまう。
だがそんな日々に私は耐えるしかないのだ。
ひたすらロバート様の指導を受け、打ち負かされ打ち負かされ打ち負かされ打ち負かされ打ち負かされ続けて少しずつ体力と気力を鍛えていった。
次に起こるイベントを一心に心待ちにしながら――。
◆◇◆◇◆◇◆◇◆
そしてその待ちに待った日はやって来た。
「リコリット嬢もそろそろ強くなったと思う。どうだろう、皆と野外で魔物狩りをしてみないか」
「野外で魔物狩りですか!?」
思わず前のめりになる私。私の態度の急変に驚きつつ、しかしたいして表情を変えることなくロバート様は続けた。
「そうだ。その方がきっとリコリット嬢の成長に繋がると思う」
「もちろん行きます、ぜひとも行かせていただきます! やったー、いよいよイベントキタ――!!!」
魔物狩りイベント。
これは女騎士としての腕を上げるのに効率的な上、狩れた魔物の数次第では攻略対象の好感度も上がるというとんでもないイベントなのである。
しかも一定の間隔で共闘イベントが発生する。つまりロバート様と一緒に戦うことができるのだ。
想像するだけでニヤニヤが止まらなかった。
……だが残念ながらロバート様と二人きりのお出かけというわけにはいかず、他の男どももゾロゾロとついてくる。
でもそんなの気にならない。だって私の剣の腕を見てくれるのはロバート様なのだからそれ以外の者たちなど無視していてもいいわけだ。
「普通は緊張するかするもんなのに、なんでそんな上機嫌なんだよ。気持ち悪い」
「こらマックス」
「だって変だとは思わないのかよ。その女、何か考え違いしてるんじゃねえのか? これはなぁ、お遊びとは違うんだぞ」
マックスがそんなことを言っているが、私にとってこれはデートに他ならない。
私とロバート様の初デート、それから初めての共同作業……! 胸がときめき、鼓動が高鳴る。私は今、最高に浮かれていた。
この時の私はまだ知らなかった。
マックスの言葉が正しく、とてもデート気分でいられるような状況ではなくなるという現実を。
そして、今まで努力を積み上げてきた故の自信が粉々に打ち砕かれる未来を。