表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

2/9

第二話 ロバート様とのご対面

 第二話がこんなにも遅くなってしまいすみません……。

 少しばかりこの乙女ゲームについて整理しておこう。


 『八騎士』の世界観は、いわゆる中世ヨーロッパ風。

 王族貴族が当たり前のようにいて、魔法騎士団に入団する者の出身のほとんどが貴族。だからこそ平民の女騎士であるシーダは特別視されるわけだ。

 そしてこれもお決まりだが、魔物たちがうじゃうじゃ存在し、ラスボスの魔王の存在もある。『八騎士』はかなりRPG要素が大きい乙女ゲームだった。


 私の前世の世界とは全然違う。

 三次元ロバート様を見られるのは夢みたいな話だが、だからと言って私にバトルができるのかと言えば怪しいものである。でも魔王を倒さないとロバート様とくっつけないわけだし……。


「とりあえずやれることをやるしかない!」


 その一言に尽きた。



◆◇◆◇◆◇◆◇◆



 そしてそれから数日後、ゲームのシナリオ通りに王国から兵士がわらわらとやって来て、王都へやって来るよう命令が下された。

 平民のシーダ()にそれに逆らうのはまず不可能。まあもちろん、逆らうつもりなんて毛頭ないが。


 ドキドキワクワクしながら兵士たちに連れられて王都まで行くと、早速魔法騎士団の本部へ向かった。

 とりあえず騎士団団長との顔合わせからになる。つまりロバート様とご対面するのだ!!


「まずは第一印象が肝心! ロバート様との初イベント絶対成功させなくちゃ!!!」


 私は淑女にあるまじき叫び声を上げながら、兵士に変な顔をされるのもお構いなしでロバート様の元まで走っていった。



 騎士団長ロバート・クラム・ウェルスト第二王子は、想像以上に破壊力のある美貌の持ち主だった。

 太陽のような眩い金髪が煌めき、海の如き深い青の瞳が真っ直ぐ私を見つめている。ああ、本当の本当にロバート様なのだ。私の目の前にいるこの人は、あのゲームと同じでとてもカッコ良かった。

 し、死ぬ……! このままでは私は幸せ過ぎて死んでしまうッ!


 少し歓喜し過ぎてしたため一瞬意識が遠のきかけたが、私はなんとかそれを耐えて現実に引き留まる。荒ぶる息を整え、全身が痙攣してしまっていることを悟られないように必死で冷静なふりをしながら言った。


「シーダ・リコリットです。ロバート様、初めまして。お会いできて光栄でございます……!」


「ああ。君が話に聞いていた魔法騎士候補生だね。わたしはロバートだ。リコリット嬢、よろしく」


 ロバート様の柔らかな唇から紡がれた優しく男らしい声だった。

 ゲームと全く同じセリフと声なのに三次元の迫力は凄まじい。白目を剥いて泡を吹きながら倒れなかった私を褒めてほしいくらいにはやばかった。


 それから私は淡々と魔法騎士団についての説明を受ける。

 その内容は前世で何度もプレイしたので知っていたのでどうでも良かったが、ロバート様のお声を少しでも長く耳にしていたくて前のめりになって聞いた。ロバート様の王子様ボイス素敵過ぎる。


「……ということだ。どうだい、わたしたちと一緒に魔法騎士になってくれる気はあるか?」


 などと思っているうちに最初の選択肢がやって来た。

 ここで選ぶセリフは三つ。


①「はい、もちろんです!」

②「私にそんなことができるでしょうか……」

③「嫌です」


 ③のルートだと、『おもしれー女』認定されて、おもしれー女好きの攻略対象とくっつくことになる。

 ②はちょっと気弱な女の子っぽいセリフ。ということで、それを導いてくれるような強いガチムチ脳筋ルートになりやすい。

 ①のルートは明るく真っ直ぐな子と判断され、ロバート様が笑顔になってくれる。ロバート様ルートに進みたい場合はこれに限る。


「はい、もちろんです!」


「そうか。ありがとう」


 ロバート様は笑顔になった。

 それがあまりに素晴らしく、私はとうとう失神してしまったのだった。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] 推しが目の前にいたら、そりゃこうなりますよねw
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ