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SFC 伝説のオウガバトル

SFCのレトロゲームをやってみた感想文です。

これはSFCのゲームの中でダントツに一番面白かったというか、ハマりました。

このゲームはSFC用ソフトの中でも特に複雑で難解なゲームと言われますが、基本的な話の流れはとても単純明快で、システムも『いくつかのゲームを一度に同時進行でやっているようなもの』と思えるようになれば、急に分かりやすくて面白いと感じるようになるはずです。

ストーリーは全てを削ぎ落として芯だけにすれば、

とある大きな大陸が一つの強大な軍事国家の侵攻によって大きな一つの国として統一されて何年か経った頃の話。武力による圧政によって統制のとれた巨大国になっていたものの、昔のような自由でのんびりと生活を取り戻したいと願う少数派が『反政府組織』を結成して現政府を打ち倒すというのが、このゲームのストーリーとなります。

イメージとしては全国統一が終わっている状態の『信長の野望』を農民が結託して謀反を繰り返しながら領地や領土を広げていって各地の武将を仲間に寝返らせながら仲間に加えて全国統一し直して最後に信長を伐つみたいな感じです。

まず面白いのが、このゲームの主人公は通りすがりの一般人だということ。ただ散歩でブラブラしていた主人公が、タロット占い師の爺さんに呼び止められて、ゲームの冒頭で占って『素質がある』みたいに言われて旅立たされて、各都市にいる反政府派の連中を集めて、結局自分は指揮官としての役割が強くて、メインで戦うのは各地でスカウトした屈強な連中。冒頭のタロット占いで主人公のジョブが決定してしまい、さすがに「素質がない」とは言われませんが、魔法使いや聖職者になる確率も高いため必ずしも主人公が一番強いとはならないシミュレーションゲームです。元がただの通りすがりの一般人なので軍事国家の超大国をクーデターでひっくり返すほどの逸材にはなれないようです。

ただ、このゲームは普通のRPGとは違い、いつも一緒に移動する仲間は最大100人で、その中から5人一組のパーティ(ユニット)10組を一つのフィールドに出して各ドラクエ1くらいの広さのステージを10パーティで一気に攻略していくというシステムのため、一人の主人公というより各パーティのリーダーがそれぞれ主役みたいな感じで、当の主人公の存在感は薄いです。ラスボスも誰が倒しても良い訳で。

このゲーム、ここまでの作りでもそこそこ面白かったんじゃないかと思いますが、ここから先が所謂『沼』なんです。

まず、このゲーム内のステータスには力とか防御力とかの他に個人に『ALIアライメント』、全体に『CFカオスフレーム』というレベルゲージが付くのですが、これがゲーム進行を単調にしない秘訣となっています。

まず、アライメントというのは、その人の善悪の度合いを示していて、100ならば完全な善人、0ならば完全な悪人といった具合になります。この善悪の度合いによってエンディングが13パターンに分かれるマルチエンディングとなっていて、完全な悪人でも普通にクリア出来ますが、全国統一後に主人公が独裁支配を始めるとか、後に仲間だった誰かに暗殺されて終わりとか、せっかく最後まで時間をかけて頑張ってきたのにバッドエンディングを見て終わりになっています。これ、ホントに最悪です。ガッカリとかいうレベルじゃなく軽く心に傷が残るレベルなので、見ない方が良いです。

結局最後の精算は主人公の数値なので、アライメントを上げる(善に振る)には、とにかく敵と戦わない(敵であろうと殺さない)事で、自分では殺さず、仲間の誰かに殲滅を常に任せていればアライメントは高い状態のままになります。逆に最悪の独裁者誕生エンディングを見たいなら常に最前線で敵を殺しまくっていれば簡単に見られます。

もう一つのカオスフレームというのは、要は国民からの支持率(見られ方、好感度)です。

単純なところでは自分よりLVの高い敵と必死に戦って勝てばCFカオスフレームのゲージが上がり、自分よりLVの低い敵をイジメるように余裕で叩き斬ってしまうと下がってしまいます。また、敵から逃げても下がってしまうので、常に敵よりもLVを低くしておかないとCFは敵と遭遇すればするほど下がってしまいます。さらに必要以上に一つの地域で戦闘が長引いたり、リーダーのアライメントが悪に寄っている部隊が都市を奪還したりしても(侵略とみなされて)CFは下がります。このCFの数値はストーリー上の様々なイベントに作用していて、CF値が一定以上でないと仲間にならないキャラもいれば、重要なアイテムが貰えなかったりもします。怖いのは、そういった超重要なキャラやアイテムが無くてもこのゲームはイベントを飛ばしてクリア出来てしまうという点で、エンディングがバッドエンディングになるだけという点にあります。それまで苦労が最後の最後に水の泡。

このゲームは、時間さえかければ誰でもエンディングまでたどり着けるゲームだとは思いますが、真の正解エンディングを見るにはシステムの理解と完全攻略サイトが必須なんじゃないでしょうか。一個人で何周かクリアした程度では真エンディングを見る事は不可能だと思います。

さらにさらに、この一見単純明快なゲームを超複雑にしているのがオウガシリーズの代名詞とも云える『人間関係と心理』です。

大雑把なところで言えば最初の時点で、この大国に暮らす人々の心情は『また戦争が始まるくらいなら今のままのがまだマシ』と思っている人が半分くらい。主人公たち反乱軍はあまり期待されていないし、むしろ、無駄な抵抗をしてこの地がまた荒れてしまう前に早く出て行けといった罵声の方が多いくらいです。まあ、クーデターを企てている反政府組織ですからね、そう言われるもの当たり前と言えば当たり前。

それぞれの地域の領主も本心は様々で、元々現国王に遣えていた領主などは当然、現国王に忠実で無条件で主人公たち反乱軍を潰しに来ますが、現国王の圧政に不信を感じながらも職務に忠実であろうとする昔からの地元の領主、姉妹や元親友が反乱軍に加入していて殺し合わなければならない領主、反乱軍に入った娘と戦わなければならない将軍など、全29のフィールド(ワールドマップ)で、それぞれ濃密な人間ドラマが繰り広げられるので、これもうホントお腹一杯になりますよ。

短いRPG 29個分、これを一本のソフト埋め込んじゃ、もったいない。

おそらく、このゲーム、アライメントやカオスフレームが無かったら序盤でLVをMAXまで上げて、以降の敵を箒で掃くように殲滅しながらあっさりエンディングまで辿り着くような廃人プレイヤーが続出したと思います。それを対チートプログラムではなく、ゲーム内のシステムで見事に出来なくしているのが本当に凄いと思いました。

一方、やはりこのカオスフレームというシステムには不満な点というか、チーターではない一般プレイヤーにとって、このゲームを存分に楽しむには厳しい装置となってしまっていて、後半のフィールドなど最早ドラクエ3より広大なワールドマップとなるのに滞在の制限が4日、なんの目印も無い場所に隠されている町や財宝が10箇所以上なんて仕様になってきます。一つの部隊が本陣を守り、一つの部隊が群で迫り来る雑魚を蹴散らしながら敵の本陣まで辿り着き、その間に残りの飛行8部隊が世界中をローラー作戦で飛び回って宝や町を捜し回って、全部の宝や町を奪取出来たらボスの領主を倒す。これが4日を過ぎたらCFがガンガン下がって行くしアライメントの低い部隊が町を見つけてもCF下がる。素人には厳し過ぎます。逆に、こんな掃討作戦を4日以内に敢行出来るような軍隊の方が怖しいし、悪魔の力を手にした者の所業としか思えないのですが、このゲームでは、それが出来る軍こそが民衆に最も支持され、正義だと評価されるという矛盾が生じてしまっています。そんなシステムによって生じてしまう矛盾に対する言い訳なのか、ゲーム中に『勝った方が正義だ。強い者が言う事が正しい事になる。』というセリフが出てきたりもします。元々、オウガシリーズってどれも『どっちが正義か』とか『なんのために戦っているのか』とか、そういうのが多いですよね。

ストーリーはネタバレしようにも、一言で言えば『とある国のクーデターの一部始終』で終わってしまいますので、前日譚となる『伝説のオウガバトル』から書いてみます。

かつてこのゼテギネア大陸という地域では、その覇権を争う人間とオウガ(悪鬼)との壮絶な争いが繰り広げられていました。そんな果てなき争いを続ける人間とオウガに呆れた天界の神が人間に加担して一気に決着をつけようとします。しかし、オウガ勢だった悪魔がそれを許さず、直接自分たちが出陣した事で、神VS悪魔という大戦に発展してしまいます。これが伝説のオウガバトルです。

この争いは結果的に神側の人間達が勝利し、悪魔がこの世に出入りしていたカオスゲートという扉を封印した事でゼテギネア大陸は人間が統治する地域となりました。さらに、悪魔軍の総司令をしていたガルフ総統も能力を封印されて魔界ではなくゼテギネア大陸に幽閉されたため、悪魔軍の戦力は完全に抑えられました。(ゲーム中にガルフに会います。その際にガルフを仲間にしてしまうと主人公は悪に染まってバッドエンディングしかないので注意が必要です。)

しかし、オウガバトルを制した人間達は、その後も人間同士の争いが絶えず、神は後悔して人間との関わりを絶つ決断をします。もう神は人間に力を貸す事は無いので、後は勝手にやってくれといった感じです。そんな神の後悔も知らず、人間達は覇権争いの戦いに明け暮れる中、オウガバトルで生き残っていた悪魔や魔獣を使ってまで互いに戦争を繰り返し、結果的にゼテギネア大陸は5つの国家に分断され、とりあえず落ち着きました。しかし、ある時、そんな5国のうちの1国、ラシュディという国王が治めるハイランドという国が隣国ゼノビア王国に攻め入って、ゼノビア王国を治めるグラン王を殺害するという事件が起きました。この事件をきっかけにゼノビアを含めた4国は連合国となり、ハイランドとの全面戦争が始まります。結果、軍事超大国となっていたハイランドが連合国軍を一年で征圧し、ゼテギネア大陸は君主ラシュディが支配するゼテギネア帝国として統一されてしまいます。

それから24年が経過した時点がゲームスタート地点です。

ゼテギネア帝国建国から24年も経って、ラシュディは野心旺盛のままとはいえ既に引退して黒幕となっており、帝国はエンドラという女帝が君主の座に就いています。帝国の住民も独裁国家とはいえ、ある程度生活は安定しているため、反乱を決起してまでかつての生活を取り戻そうとまでは思っていない状態。

ただ、中には意地でも帝国の支配から解放されてかつての生活を取り戻したいと思う極右思想の人たちもいる訳で、そんな現政府に対する反乱組織を結成してクーデターを起こそうというのがこのゲームの流れです。

ここで、ラシュディも女帝エンドラも元は人間。悪魔の力を欲したり悪魔の意思に近付き過ぎたりしたために最早完全悪となってしまっていますが、元は極めて優秀な人材だったため、彼らに遣えていた各国の領主達は『元は忠誠を誓えるほど優秀だった』と知っているだけに反乱軍に寝返る事も出来ず、女帝エンドラへのかつての忠義心は決して間違ってはいなかったと信じたい意地のためだけに反乱軍に反撃して散ってい領主も多くいます。この人たちの言動が正義かどうかを判断するのはプレイヤーの感覚次第だと思います。

ただ、ラシュディだけは最後まで個の欲望を貫いたのかと思います。自らの権力を維持するためだけにガルフの復活を求め、それが叶わなかった事で反乱軍一掃のためにオウガバトル時代の悪魔軍の最強戦車『ディアブロ(ラスボス)』を魔界から召集してしまいます。

ラシュディは自身が死んだ後にディアブロを呼び寄せているので、その目的が自身による独裁の達成だったのか、単に悪魔によって支配される暗黒の世界を造りたかっただけなのか、その真意は不明のまま終わる事になります。

また、ラシュディが暗黒面に堕ちた話として、かつてのオウガバトルの際に悪魔に対抗する戦力として神が派遣した12使徒の中で、悪魔の力を欲して暗黒面に堕ちた堕天使デュルーダというのがいて、12使徒はオウガバトル終結と同時に使命を果たして神によって宝石に変えられて世界に点在したのですが、この際にデュルーダが変化したキャターズアイという宝石に関する情報を耳にしたラシュディは、悪魔の力というものに興味を惹かれ、天界でキャターズアイを保管していたミザールという美人天使を口説いて偽装結婚までしてキャターズアイを手に入れ、その悪魔の力を試してみた結果、ラシュディの心は悪の思想に染まってしまい暗黒面に堕ちてしまったというサブエピソードもゲーム中に語られます。結局、天使ミザールは騙されていると気が付いていながらもラシュディにキャターズアイを手渡してしまった後悔の念と、ラシュディ抱いた本気の恋心は消せないままの状態で、説得に来た美人妹のユーシスと悲しい決闘の末に妹に殺される事によって心が解放されるというサブストーリーが挟まれます。そんな複雑で濃厚な人間関係のエピソードが各ステージ毎に繰り広げられる訳ですが、基本的に各ユニットリーダークラスの人たちのストーリーというか『戦う目的』というのが、このゲームの本筋となる『悪を倒して自分たちの生活を取り戻そう』という思いではなく、家族や姉妹や親友といった人たちに正義の在り方を説得し、結局理解してもらえずに戦い、殺し合いになり、家族や親友を自らの手で殺めて、それでも正義を貫く事が果たして本当に正しい行いなのかとプレイヤーに問うような、そんなゲームです。

重いですよ。これでバッドエンディングなんてくらった日には軽い鬱になります。

そんなゲームでも、発売から30年近く経った今ではチートの方法もだいぶ改良が進んでいて、最善ルートを進めるチートなんてのもあります。その一つ、『資金無限』と『アイテム固定&減らない』を併用してフィールド上に旅商人を無限に呼び出せるようにして、無限にステータスアップのアイテムを購入して低レベルのまま各キャラの各ステータスを全てMAXまで上げてしまえば、どのキャラでも一気に最後まで敵を一掃出来るし、LVは低いのでカオスフレームはガンガン上がるし、ザコをかわしてボスの首だけ狙うような進軍をすればアライメントも下がらない。この方法であれば2時間以内にベストエンディングを見る事も可能です。12使徒の証(宝石)を集めるのに1時間以上の時間が必要で、本編ストーリーは実質一時間以内です。なんの躊躇も無く姉や父親をバッサバッサと一撃で斬り捨てて最速でベストエンディングを見るというのも如何にもチーターらしい冷酷無比なプレイになってしまいますが。

全てにおいて始祖であり傑作ゲームだと思いました。

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― 新着の感想 ―
[一言] お邪魔致します。 まったくの余談なのだけど。 前衛に持ってきたドラゴンとか、バハムートあたりの攻撃が、 どうしても、 「ゲロぶちかます」 に見えてしようがなかったり。
2022/09/01 22:24 退会済み
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[良い点] 懐かしい。 やりこみましたよ。隠し都市を探して、イベントフラグが立つ条件を満たすために主要なキャラはだいたいの動かして、キャラ相関図作って関係性からイベント予測して。 楽しかったですが、わ…
[一言] すんません! 「伝説のオウガバトル」、PSには来てました。 PS2にアップグレードされることを期待してたんです。 申し訳ない!
2022/08/20 22:59 退会済み
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