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いつもの朝

私が思い出せる最も古い記憶は、両親が私の目の前で喧嘩をしているところだ。

もう何回目だろう、思い出したくない。でも何度でも蘇ってくる。

母親は今も家にある白いソファーに座って泣いている。父親は、今はもうばあちゃんに譲った白と黒のおしゃれな長椅子に座って母親に怒鳴っている。私は何も出来ずに、ただおもちゃの椅子に座ってその二人を見ている。これで思い出すのは何回目だろうか。やっぱり慣れない。もう早く寝てしまおう。そのまま耳にイヤホンをして目を閉じた。


朝の6時を告げるうるさいアラームが耳元で鳴り響いた。

(まだ眠い…後5分だけ…。)

朝の6時5分、やっと目が覚めた。5時45分から5分刻みでアラームを鳴らしてみたけど、やっぱり朝には勝てない。眠い目を擦りながら洗面台で顔を洗う。あぁ、やっぱりブスだな。浮腫みまくってるし。でもそんなことも考えてる暇も無いくらい女の子の朝は忙しい。洗顔、スキンケアをした後に髪もセットしないと。それに今日は中学3年生1学期の始業式だし。身なりは綺麗にしておかなくちゃ。

「今日の朝ご飯、パンかご飯どっちにする?」

いきなり母親に話しかけられて思わず歯磨き粉をふいてしまった。

「びっくりした…あ、朝ご飯の話ね。パンにする。」

すぐに口をゆすいで飛び散った歯磨き粉を拭いた。

「もう6時10分。スキンケアとかしてたら時間なくなるよ。」

まじか、さっさと顔洗って髪の毛もしちゃお。

こういうときに限って髪が上手くまとまらないんだよな。え、いまヘアアイロンからじゅって音聞こえた。聞かなかったことしよ。

なんとか朝ご飯食べる時間はありそう。良かった。

「ママ、朝ご飯できてる?」

「もう机の上に置いてる。早く食べなさい」

お、スクランブルエッグじゃん。おいしそ。

「ねぇ、最近いじめで自殺した女の子の事件知ってる?」

「あぁ、まぁ、なんとなく。」

ネットでもよく話題になっている事件だ。たしか暴力を振るわれたり、わいせつな動画を撮られたりしたんだっけ。あんまり詳しくは知らないけど。

「ほんと物騒よね…。あんたの学校はそういういじめとかはないの?」

「多分無いんじゃない?私の知ってる限りではそういうのはないよ。」

「巻き込まれたらすぐに言うのよ?パパが絶対赦さないと思うから。」

「解ってるって。私はどちらかというといじめる側に回りそうだけど。」

「いやそれはやめて」

私の親は過保護だ。鬱陶しいくらい。小学6年生までは自転車で子供達だけでの外出は禁止されていた。回りの子達はみんな自転車に乗って友達の家に行っているのに、私だけ一番後ろを歩いていた。今から考えると怪我や事故をするかもしれないっていう親の気持ちも分かるけど、いくら何でもやり過ぎなんじゃないかって気持ちの方がやっぱり勝ってしまう。私の考え間違ってるのかな。

そんなことを考えていたらもうすぐで家を出る時間になってしまった。早く制服を着ないと。

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