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モブは普通の〈モブらしい〉生活を送れない  作者: 里道アルト
第四章 警告
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プリント配り

「はーい、皆さん席についてくださいなのですよー」


 子供先生はそう言って教室の中に入ってきた。さっきのカマ先生とは違って、心が荒むどころかむしろさっきの気持ち悪さを晴らしてくれる優しい先生であった。もう女子全員、目の保養になってきたなと心の中で呟いた。少しからかった楓から強烈パンチを喰らいそうだから、絶対口には出さない。


 ただ、先生があまりにもいつも通りだから、次は楽なHRじゃないのかもしれないと思って楓に聞いてみる。


「楓、次ってHRで合ってるよな?何かの間違いで国語とかじゃないよな」


「う、うん。さすがに、変わってなないと思うよ。HRで合ってると思う」


 と返されたので次がHRなのは、間違いないのかもしれない。まぁ、だとしても先生が真剣この上ないから楽しいものにはならないのか...。ちょっとがっかりだ。


 いつも、ニコニコ笑顔の先生が今日全く笑ってなくて、僕は朝の例の件を思い出した。なんか厄介事を押し付けられてって話だったけど結局なんだったんだろう。多分、それが原因だと思うんだけど、分からないから仕方ない。


 プリントを配り始めた先生はどこかぐったりとしていて、次か次へとカバンからファイルから、ついには台車まで持ってきて、プリントを配る。なんとその枚数一人五〇枚!!そりゃ、先生もげっそりした顔になるってものだ。単純に三〇人いるから合計一五〇〇枚持ってこないといけないわけで、誰かに頼めばいいと思うけど、子供先生は頑張る人で頼ってくれないから一人でこれを運ばないといけないわけで...可哀想だった。


「先生、一枚足りません」なんて聞こえた日には、もう見てられないので、みんなで隠れて助けることにした。多くても少なくても、足りないという事態に陥らない限りは後ろや、前で調整、みんな暗黙の了解的にやっていった。


「伊波さん、これとこれ僕の分足りないので...」


「分かった分かった、うちは多く配られてるみたいだから、。はい、どうぞ」


「ありがとう」


 と僕たちも声を掛け合いながら、だいたい全員に渡った。その枚数が五〇枚だったわけで、こんなにも、何のプリントだよと思ってよくよく見たら、数学とか教科のプリントが大体二〇枚、学食の献立とか一年間の予定表とか学校関係のプリントが大体三〇枚あった。ついでに、夏休み早くなりますというプリントを僕は見逃さなかった。休みが早く来るのは嬉しいな、という割としょーもない感想が頭の中に浮かんだ。


「夏休み、早く来るの嬉しいね」


 と楓はさっきぶりの笑顔を見せる。夏休みか......。中学の時はほとんど、寝て、ゲームして、それからお菓子食べて一ヶ月だらだら過ごしていたよな、と頭を張り巡らせ、


「う、うーん。そういうもんかな」


 僕は言葉を濁らせた。正直、学校に行っても、行かなくてもだらだらする時間が長いか短いかだし、宿題というこれまた面倒なやつができるだけだからなーとうーんうーんと唸っていると横からチョップ三回くらい喰らった。痛くないけど、こんな歳で毛根の心配はしたくない。


「ちょ、つむじアタックはやめてくれ〜」


「む、避けたね。夏休み楽しみ〜と思っているのが私だけなんて悲しいから悠斗が言ってくれるまでやめてあげない」


 いや、ちょいちょいちょいつむじを擦るのはやめろ、ほんとハゲる、このままだとマジ冗談とかじゃなく毛根がどこかに消え去ってしまう。


「うん、そうだな!夏休み実は楽しみかもしれない、うん、楽しみ楽しみ。だから、やめて、これ以上は、本気で、ハゲる」


「うーむ、わかればよろしい」


 エッヘンと胸を張って楓は僕の髪から手を離して腕を組見直す。まぁ、家に引きこもらずみんなで過ごしてみるというのは、初体験に近くて、ちょっとワクワクするかもしれないなと少し気は早いが夏休みの情景を少しだけ思い浮かべた。

お久しぶりです、里道アルトです。えーっと、全く進まない工事はちょっとお休み。次の話をバンバン書いていきたい(無理)と思っているのでまた次回もお楽しみに!!それでは、今日はここらでお開きです。一日お疲れ~

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