国語のミニ先生
「はーい。皆さん席に着いて下さいなのですよー」
小学三年生ほどの見た目をしている少女が教室の中に入ってくる。明らかに身長一五〇センチ弱でこれ本当に先生か?と疑問に思うレベルでお肌はピチピチどっかの小説に出てきそうな見た目をしていた。
「あれ、先生なのか?」
「子供先生だ」
「可愛い」
「ちっちゃーい」
各々、自席に着いて騒ぐ中、子供先生は自己紹介を始めた。
「はーい。子供先生こと木崎なるです。皆さんよろしくお願いしますねー。ちなみに私はここの副担任なのですよー。困ったことがあればいつでも相談してくださーい」
つくよ...いや木崎先生は、見た目こそアレだが、まともな人のようだ。教卓に隠れて全く見えないが、といか、本屋さんとかでよく見る台があるように見えるんだが気のせいだろうか?
「あと、皆さんの実力を測るため、今から漢字テストを行いますよ〜。小学校の単語なので最低限あってないと補習しちゃいます、(/∀≦\)てへっ♪♪」
クラスは騒然とした。この人某先生がやらないって言ってたことを平気でやってのけるタイプの人だ。
「では、今からお配りしますよー。大丈夫、簡単なのですよー」
教師の大丈夫とか、簡単という言葉ほどあてにならないものはない。しかも、めっちゃ笑顔。笑顔で顔面をパンチされてる気分になる。
ちなみに隣の楓は、肩をめっちゃ震えさせていた。そう、慌てふためく僕の様子を見て、爆笑していた。
くそ、なぜそんな余裕ぶれるんだ?
そんな目で僕を見るんじゃねぇ。
二〇問程度の漢字テストが僕の手元に届く。文を読むのは好きな方だが、昔っから漢字だけはからっきしなんだ。
始め〜の合図とともにプリントを表に向ける。チラッと見た通り二〇問。正解が一六問未満の人は居残りですと書かれているのがやけに目に映った。
大体一五分くらいでテストは終わり隣の人と答え合わせをする流れになった。
丸、丸、丸、、、、、、まさかの全問正解、楓は親指と人差し指で丸を作った。
対して、僕の答案は一七問正解。ギリギリだった。楓は、一七点と書いた横に良かったねとコメントしていた。
え、あれ、これって回収されるんじゃね。
僕がプリントを持ったまま何もしないでいると、後ろの子がプリントを回収し、前に持っていった。
楓は、ちょっと慌てていたが、もう遅いとあきらめて、遠くの方を見ていた。
なんというか、ちょっとマヌケな姿に感謝したことは黙っていようと思う。
☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
「みなさん、いい結果でしたよ。まぁ、補講者がいないというわけではなさそうですが....先生張り切って教えちゃいますよぉ」
「おぉ、神だ、僕たちに神が舞い降りたぞ」「わざと、点数落としたまである」「まぁ、子供先生の授業ならいいか」
男子の盛り上がり方は異常で、女子達にも嫌われているということはないみたいだ。やはり、人柄こそものを言うのか(まぁ、今日会ったばかりの筈なんだけどな)。楓は回収されたことをまだ気にしているようだった。
「忘れてた...。回収されるの」
「ちょっと間抜けだったな。まぁ、先生に見られるくらいいいだろ」
「その通りなんだけど、気になっちゃうんだよ」
「ま、そんなこともあるよな」
僕たちは小声で話していた。今は、教科書の朗読中、目で文章を追っていたが、少し隣を見ると楓が全然集中してるように見えなかったから僕が話しかけたのだ。
楓もちゃんと目で文章を追っていたが、僕は少し目線を変えたせいで、今読んでいるところに追いつくために目をせわしなく動かさなければいけなかった。そんな中、
「はい、次灰羽君、読んでくださいな~」
急に当てられて、僕の頭は混乱していた。しばらく呆然としていると、隣から三十九行目と聞こえたので、僕はすぐさまそこに目線を変えて、
「わが国で誤解されがちなのは『自然』という言葉で....」
ありがとうと、僕は楓だけに聞こえる声で呟いた。どういたしまして、と楓は言ってくれた。
授業が終わると如月さんが真っ先に楓のところにやってきて、
「あぁ~、やっぱ駄目だった。。。」
「テスト?」
「採点したけど一五点でした。ぬめは頑張ったよ!!」
「うー芽衣に言われても悲しいだけだよ」
「私がほめても一緒だと思うんだけどねー。あーよしよし頑張ってるぞ。このまま頑張っていこうな」
「うーむなんか違うんだよな。でもありがとう」
楓は如月さんの頭を子供をあやすようになで、褒めてあげていた。夜野さんはそれを羨ましそうに眺めなていた。
どうやってこんなに仲良くなってるのかは分からないけど、やっぱり楓には何かを引き付ける魅力があるんだなと再確認できた。
こんばんは、里道アルトです。毎回こんなペースで申し訳ないですが、これからもまったり毎日投稿頑張ります。何とか完結作品が書ければいいなと考えています。これからもモブは普通の生活ができないの応援よろしくお願いします!!