妹は甘えたい
「兄貴〜」
楓達とのRINE通話が終わると、ういが僕の部屋の扉を開いて中に入って来る。
驚いて僕はベッドから飛び上がるが別にやましいことをしていたわけではない。ただただ、僕の部屋に誰かが入ってくれるのが珍しいから驚いただけである。
「なんだよ、うい」
「兄貴、なんかこの部屋寒くない?え、なんでエアコン付いてるの?」
ういは体をブルブルと震わせていたが、すぐにエアコンが付いていることに気付いて、指摘してきた。
うーん、説明するのは面倒くさい。何も言わないでおこう。そう思ったが、
「おかあさー!」
と母さんを呼ぼうとしたため僕は慌てて止めた。どうせ電気代が高くなってるから気付かれはするが今じゃなくていい!!
僕はういの口を手で抑えて、むーむーむーとういは鳴くが黙るまで無視してそれを解放してあげなかった。
ういがようやくふがふが言うのをやめたので僕はういを解放すると開口一番、
「...兄貴、死ぬ」
と、僕をジト目で見てきた。
う、これは確かに僕が悪い。エアコンの電源はもう切っているがういは口を閉められたことをずっと怒っていた。
「口を閉じれれば何でもいいの?あんなに思いっきり妹の口を手で覆ってきて!第一エアコン付けてたの兄貴じゃん。兄貴は悪いことをしたら黙ってるの。責任は兄貴にしかないんだよ。悪いの兄貴一〇〇私〇なのになんで私があんな目に合わないとダメなんですか?私はマジギレです」
「ごめんなさい...」
ちなみにういはベッドの上で僕は地面に座らされ説教受けてるという状態だ。
「ほんと、反省して。あと、悪い事をしたんだから、私のお願い何でも聞いてくれるよね」
ういは怖い目をしてういは僕の方にジリジリと近づいて来る。ぼ、僕に一体何をさせようと言うんだ!?
などと意気込んでいたが、実際はういに肩揉んでと頼まれたら、肩を揉んであげ、おやつ欲しいと頼まれたら言われたお菓子をういの部屋に持っていってあげ、勉強教えてと頼まれたら勉強を教えてあげるという。
まぁ、言ってみれパシリの仕事を任されているだけだった。それも、あんまり無茶のないお願い。
ういは優しいからそこまでキツイお願いはしてこない。これが母さんだったら、一日中掃除しろ、皿洗いしろ、洗濯物しろ、ご飯作れと多分安寧の時間はやって来なかっただろう。
本当に母さんじゃなくて良かった。
と思っていた時もありました。
「今なんて言った?」
僕はあんまりにも信じられないことをういが言うのでもう一度聞き直してしまった。
「だから、今日は一緒にお風呂入ろ、久しぶりに」
若干恥ずかしがりながらういは僕に一緒にお風呂に入ってとせがんでくる。そんなに頬が赤くなるんなら言わなければいいのに。
何がどうなってこんな話になったのか話の流れは忘れられてしまったがとりあえず危機的状況である。
妹とはいえ、女子の肌が完全に見えてしまうのは問題しかない。親ならギリ大丈夫だが、二歳しか歳の差ないのに楓の時のように失神しかねない。
「いややめとこう、それは。ういだってもういい年なんだから、自分の肌を他人にあんまり見せていいものじゃないよ」
「でも、私達兄妹だし...。それに久しぶりに甘えてもいいでしょ?」
可愛らしくういはおねだりしてくるが、このお願いを聞いてあげることはできない。
だが、今日の僕はういのお願いを何でも聞いてあげないといけないという約束をしているのも事実。だから、僕は助っ人を呼んで、さすがにお風呂まで一緒に行けないと伝えることにした。
「え、別にいいんじゃない?お互い納得してるなら私は何も言わないよ」
ヘルパーワン母さんは僕のことを助けてくれるつもりはないらしい。むしろ、何がダメなの?という感じだ。
年頃の娘と息子を持ってるんだから、分かるだろう。
「何が悪いんだ?兄妹同士仲良く俺はむしろ喜ばしいぐらいだよ」
ヘルパーツー親父も兄妹一緒に風呂に入ることはむしろいいことだと言いやがる。うちの家族はちょっとどこかおかしいと思う。
そう思うが、ういは私と一緒嫌なの?みたいな曇った顔で僕のことを見てくるし、助け舟も出されないから僕はういと一緒にお風呂に入ることを決断するしかなかった。
家に帰って来るとういの出番が増えるのでいいなぁ。いや、もういい加減ブラコンって気づいて!
ブクマ評価感想お願いします!!