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モブは普通の〈モブらしい〉生活を送れない  作者: 里道アルト
第三章 勉強会
49/81

長かった一日

勉強会完結 

「うわぁぁぁん」


 悠斗がわざとらしく声を上げて楓に使っていいと言われた自分の部屋に駆け込んだのを、みんな確認した。


「あ、待って!」


 という静止の声も聞かず、部屋に入っていった。


 居間に残るのは、楓、如月さん、夜野さん、ういの悠斗以外の四人だけだった。


 夜野さんはまだ、しっかり楓にしがみついて周りの様子を確認しているし、如月さんは楓の後ろからようやく出てきた。


「行ってしまった」


 楓は伸ばした手が宙ぶらりんになっていて、それをその手を下ろした。


「...嫌われちゃいましたかね?」


 悲壮感のある声で夜野さんは言うが


「多分それはないだろ。叫び声がわざとらしすぎるって」


 と、如月さんは弁解した。まぁ、多少は傷ついているが悠斗に嫌われた訳ではないだろうと確信しているようだった。


「あれぇ?兄貴ー」


 一方、ういは、去っていく悠斗の後を追って、悠斗の部屋の中に入っていった。



「にしても、変わりすぎだよ。怖い。楓、入浴剤何入れたんだよ〜」


「うーん、なんか疲れ取れるやつとかだったと思うんだよ」


「いつもの悠斗くんの細い目がキラキラでした、あと溢れるイケメンオーラ。お風呂に入って別人と入れ替わったんじゃないですか!」


「芽衣、お風呂は玉手箱じゃないんだよ」


 夜野さんは悠斗に対してひどい言いようだったが、ようやく落ち着いたみたいだ。


 楓の体から手を離し居間でテーブルを囲むように三人は座っている。ういはいないが女子会が始まるのだ。議題は先程の悠斗イケメン事件である。

 バンバン、テーブルを叩き、裁判が始まった。


「『悠斗がイケメンだった件』議題はこれの一番の加害者を決めることである。意義はあるか?」


 如月さんが司会進行を始めた。


「「意義なし(です)」」


 如月さんはコクリと頷き、すぐに手を挙げた。


「では、私から。芽衣、あなた、灰羽がお風呂場から出てきた時、衝撃が大きすぎて露骨に固まっていましたよね」


「いや、先楓ちゃんでしたからね」


「急に、自分の家のお風呂から知らない人が出てきたらさすがにびっくりするでしょ。それと一緒です」


 もうこの時点で酷い会話になるのは会議に参加する全員大方予想できたが、話を続ける。


「でも、瞬時に悠斗だって分かったから楓はえらい。芽衣は素で『どちら様ですか?』と聞いたから芽衣はギルティー」


「だって、...だって」


「気持ちはわかるよ、芽衣」


 同情するように楓は芽衣の肩に手を置いた。


「でも、芽衣はギルティー。情状酌量の余地なし」


 司会進行を務める如月裁判長は、芽衣に有罪判決を下した!


 楓に撫でられながら、猫のように夜野さんは縮こまった。


 これで、残るは二人。口で勝った方がこの裁判(しょうぶ)、責任をこじつけられるのである!


「そう言えば、ぬめ。お風呂場から出てきた悠斗と全く目視できてなかったね」


「...いや、見てたよ」


 楓が攻める。如月さんは苦し紛れの嘘をつくがもちろん楓が攻めの手を緩めるはずはない。


「嘘は良くないな、ぬめ。ここにおんなじようにしていた芽衣に話を聞いてみようかなぁ?」


「芽衣は有罪判決を受けた者だぞ、そんな者の言葉誰が信じるか」


「いや、この裁判三人しかいないのだから多数派が勝つと決まっている。芽衣よ、ぬめは悠斗を目視できていたか!?」


「いいえ、できてません。そして、楓ちゃんはわずかですが灰羽くんを目視していました」


「勝負ありだな、ぬめ」


 楓は堂々と勝利宣言をする、が、しかし、


「とそう思うのか?だが甘いよ楓」


「な、この証言があって言い逃がれできると言うのか?」

 

「あぁ、その通りだ。芽衣は楓は灰羽を目視していたと言っていたがあれは嘘だ、なぜなら、楓。お前は悠斗に一度裸を見られているからだ」


 如月さんは楓に指を差し、そう言った。楓は思い出したかのように頬が赤く熟してくる。


「な、ななななな。だから、それがどう関係するって言うんだよ!」


「そう、今の反応。まずそんな事件が起こっていたのだから、灰羽とは普通でさえ目を合わしずらいはずなんだ。さらにその灰羽がイケメンになって出てきたんだぞ。当然、目を合わせられるはずもない。QED証明完了」


 見事なカウンター、しかし事実、楓はイケ灰羽を目視できていた。

 これは一体...


「そう言えばそうでしたよね?でも、楓ちゃんはちゃんと目視してましたよ。なんで目視できたんですか?楓ちゃん」


 という夜野さんの疑問に対して、楓は


「いや、悠斗とは別人だと思って接していたから大丈夫だったみたい」


 と、悠斗が可哀想になるがそんなふうに答えた。


「な、何。私のQEDが、や、破、られた、だと!?」


「ふっふっふっ。私はちゃんと悠斗を目視してたよ。そして、ぬめ。君は目視出来なかった」


 楓は如月さんに指を差しそう告げる。


「そ、そんな!こんな所で」


「判決を言い渡す、ぬめ、ギルティー」


「くそ...。ま、まけた」


 そんな感じで女子会が大いに盛り上がっている中、ういに慰められ部屋を出て上から少しだけその様子を眺めていた悠斗は小さな声で全員ギルティーと呟いていた。


 それは本当に小さな声だったが、どういうわけか、楓達の耳に届き、灰羽は本気で謝られることになった。



こんばんは、投稿遅れた里道アルトです。申し訳ありません!!今回で長かった勉強会も終わり、次は嵐明けの日から始まります。常に描写するの忘れてますが、今も別荘の外では嵐が吹き荒れ危険な状態です。そんな描写を入れるとほんわかしないのでこのまま...。あ、言い忘れてましたが、今回はネタ枠です!!(多分)昨日は休んだし頑張って明日から毎日投稿だっ

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