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モブは普通の〈モブらしい〉生活を送れない  作者: 里道アルト
第三章 勉強会
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まずは腹ごしらえだ

 突然ですが、帰れなくなりました。


 実は、もう一八時で帰らないとなぁとか思っていた頃嵐が接近していることに気が付いたのはそのぐらいだった。


 もうその時には雨はざーざーぶりだったから、帰れそうもなかったし結局僕もこの別荘で寝泊まりすることを選んだわけだけれども、なんか全然落ち着かない。


 みんなもそれは同じようで、僕があんな発言をしたからかなんかやたらと意識されてる気がする。


 それが冷たい目線とか、そういうのならまだいいんだけど(いやそれはそれで悲しいんだけど)、なんか生やさしい目でこっちを見てくるからなんかほんと落ち着かない。


 ういだけが、この同級生だけで寝泊まりする異常事態を緩和してくると思っていたけど、なんか泊まるって話になってからやたらと僕の右腕に引っ付いてくるんだよなぁ。


 離れてって言うのもなんか変な気がするし、まぁ好きなようにしたらいいけど、右腕を上下に動かしても、ういは離れないからういの体ごと上下運動するのがなんか面白い。


 そして、これを止めるとほっぺがぷくぅーっと膨らむの可愛すぎるからやめてほしい。


 ほんと、元々うちの妹はこんな可愛いやつだったか?僕が家では気づかなかった妹の魅力に僕はなんだか照れ臭くなっていた。


「なんか和むわ〜」


「兄妹って感じがしていいですね〜」


 そうそして、ずっとそれを生やさしい目で如月さんと夜野さんに見られているから無性に落ち着かないのだ。


 今、この居間にいるのは僕と如月さんと夜野さんとういだけだ。楓はちょっと親に話があるからとか言って一時的に離れていた。


 ちなみに、僕は親への連絡はRINEで済ませたし如月さん達もおんなじ感じらしい。楓はまぁ、この別荘で寝泊まりしていいかとか色々確認しないといけないから直接連絡しないとダメなんだろうな。


「甘えんぼういちゃんいいなぁ〜」


「いいですね〜」


 なんか二人は和んでるし、僕はずっと腕を上げ下げしてちょっと腕が痛くなってきたけど、いつまで続くんだ?これとか思い始めた頃、ようやく楓は帰ってきた。


「いや、大変だった。迎えはいいって言ってるのになかなか聞いてもらえなかった」


「説得できたんですかお父さん」


「まぁなんとか」


 そう言えば楓の父親って重度の娘好きだったっけ?なるほど説得に時間がかかったんだな。迎えに来てもらおうにもこれじゃ危ないしな。僕は外の様子を見てそう思った。


 楓が来ると途端にういはくっついていた手を離し僕の腕から降りた。僕は腕が軽くなりちょっと悲しくなったがまぁこれがデフォルトかと諦めた。


「かえで、勉強は一旦中断?」


「もう七時だし、みんなもお腹空かない?」


「ちょっと」


「ポテチがまだ住んでますけど」


「空いたー」


「ということでまずは腹ごしらえしよう!」


 楓は丸テーブルの前にレトルト食品を手に持っているだけ置く。ここにきてようやくレトルトセットが来た。カレー、スープ、パスタ。米も炊く用じゃなくてレンジでチンして済ませるやつ。全くと言っていいほど調理器具が必要ないものばかりが並べられた。あと、サラダも冷蔵庫にあるんだそうだ。


 しかも一つの種類に五人分と余念がない。もし、昼を家で食べてたとしても全然間に合っていただろう。


「何選んでもいいの?」


 ういは楓に目を輝かせて聞いた。


「もちろんなのだよ」


 楓はなぜか口調が変だったが、腕を組んで縦にうなづいた。


「じゃ、私はポロネーゼとサラダとバターカレー」


 如月さんはそう言って、ポロネーゼパスタとバターカレーと白米を取って、キッチンの方に向かって行った。


「あの体の中になんでそこまで入るの...?」


 夜野さんは絶句しながらきのこパスタを取って如月さんに続いてキッチンに向かって行った。


 残るは僕とういと楓。


 僕は最初から目をつけていた野菜ゴロゴロカレーと白米だけを持って、冷蔵庫からサラダでも出すかーと思ってキッチンに向かった。


 僕がキッチンに入ると、もう二つの鍋の中のお湯が沸いていて後はどボンするだけの状態になっていた。如月さんの方の鍋は多いから空いてなさそうだったが、夜野さんの方は一つしかなかったから僕はそっちに野菜ゴロゴロカレーを入れた。


「入れさせてもらうね」


「オッケーです」


 まぁ、ここで一応了承を得とくのは僕らしい。当たり前かもしれないが。


 その後続いて楓とういはほぼ同時に入ってきた。ういはカルボナーラとミネストローネ、楓はチキンカレーと白米を持ってきた。


 全員そのパッケージを鍋の中にドボンした。白米はカレーが出来上がる順番で如月さん、僕、楓の順番で電子レンジの中に投入した。あとは、出来上がるのを待つだけだ。


「いや~林間学校に行く前に、こうしてみんなで夕食食べれてよかったな」


「まぁ、林間の方は全部料理しないといけないので大変でしょうけど」


「うーん、確かにな」


「特に、かえd」


 如月さんが何か言う前に、楓と夜野さんは如月さんの口を手で抑えた。さすがに二人いっぺんに来るとは思ってなかったらしく、抑えられた後ぜーはー言っててちょっとかわいそうだ。


「あ、みんなそろそろですよ」


「へいへーい」


「時間測ってくれてたの?ありがとう、夜野さん」


「芽衣ありがと」


「どういたしまして」


 夜野さんは小さく笑って、そう言った。うん、僕なんかがやるといつも大体なあなあでやってしまう所だが、こういう所に夜野さんの生真面目さが出ているんだろう。



 僕たちは用意した食事を持って、また居間に戻って丸テーブルの上で食べた。レトルトにしてはちゃんとジャガイモが形を保っていたしレトルト特有の水ぽっさはあんまり感じなかった。まぁ、要するにめっちゃうまかったってことだ。ういも真剣にカルボナーラを選んでおいしそうに食べていたから長く悩んだ結果良かったんだろう。


 あとこれは最近思うことなのだが、誰かと食べるっていうのは案外悪くないかもしれない。









ブクマ、評価お願いしまう!!

誰かと食べる食事はあったかいってよ。万年ボッチだが、久しぶりに親と食べようかなとか思った。

ま、思っただけで実行しやんけどなぁ

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