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モブは普通の〈モブらしい〉生活を送れない  作者: 里道アルト
第三章 勉強会
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到着

 電車の中は空いていてみんな知っての通り四人席と一人席しかない。まぁ、もちろん僕ははみご。


 ういが兄貴と一緒がいいとか言ってたけど、そうなると四人のうち誰かははみごになるわけで。僕がそれを許さなかった。


 あと、やっぱり一人の方が気楽でいいと思ったのは内緒だ。


 そこまで遠くない旅?のような気分だ。僕は流れる景色を見ながら一人席で眠りふけることにした。



「おーい、起きてよ〜。着いたよ〜」


 体を大きく揺らされる、僕は目をバッチリ開けてまばたきを何回かして体を揺らしてきた楓を見る。


「う?ぅ?着いたのか...」


「早く降りないと出発するから」


「あ、了解」


 僕は半分眠ったまま、体を動かした。電車から出た直後、扉が閉まった。あとちょっと遅かったら終わってた。


「ありがとう伊波さん」


「ほんと行ってしまわなくて良かったよ」


「みんなもごめん」


「危なかったな」


「ギリギリで起きれて良かったです」


「兄貴、寝すぎ」


「ごめんよ」


 海亀駅に着いた僕達全員ホームに降りていた。誰一人欠けてはない。


 周りを見渡すと、僕達以外の人はいないようで、ホームはシーンと静まりかえっている。僕が大声で叫んでも問題がないくらいだ。(もちろん僕はそんなことしないが)


「こんな所に伊波さんの別荘あるの?」


「うん。駅から徒歩三〇分圏内にはあるね」


「結構立派な家だったよね?」


「誰もいないから、掃除とかはたまにしに行かなくちゃならないのが欠点だけどな」


「あれ?あそこってヘルパーさんいなかった?」


「それは、たまたま呼んでただけ」


 楓らの会話から分かるように、やっぱり楓は相当なお金持ちらしい。なんで、あの住宅地に住んでるんだろ。と疑問に思ったが思い出せば結構いい家に住んでいた。


「ちなみに食料は調達済みだから、夕飯を食べて帰ってもらって大丈夫だから」


「おう、じゃあ料理は芽衣に任せた」


「私?...あぁ、なるほど」


「大丈夫だぞ、レトルト食品にしといたから」


 楓は感情が無の感じで、如月さん達にそう言った。レトルトか。なら食べやすいな。


 言葉にできないような目でじっと如月さん達を見つめる楓は、少しの間気まずい沈黙をもたらしていたが、如月さんは気にしないように、


「じゃあ、行きますよー」


「何か言いたいことがあるんじゃ...」


「はーい。行きますよー」


 釣られて夜野さんも楓の右手を掴んで、改札に向かわせる。


 僕とういはお互いに顔を見合わせるが、ういも分からないという顔をしている。


 まぁ、解決したんならいいかと僕は頭の中で結論づけ、同じように改札に向かった。



 改札を出て、駅の外を眺めるとこじんまりした店が数店立っているだけで、賑やかさは感じられない。


 ただ、都会からちょっと離れるだけでここまで空気がおいしくなるものなのかと思うほど空気が澄んでいた。


「久しぶりに来たー。空気うまうまだー」


「ほんと、息しやすいですよねー」


「いつ来てもいい場所だ」


 と、すでに何回かここに来ているだろう楓達はそんなリアクションを取った。


 ういも僕と同じようなことを感じていて、


「空気おいし」


 と小さく呟いていた。



 僕達は駅から、あんまり人が通らないことをいいことに広がって歩道を歩いた。


 僕は道を知らないので微妙に後ろの方に寄って歩く。


 坂は少なく、走っても大丈夫なくらい平坦な道だった。ここで自転車を漕いだら気持ちいいだろうなとかよく分からないことを考えている間に僕達は楓の別荘に着く。


「はい。ここが私の別荘だ」


 楓が指差す方向には、そこまで小さくない赤い屋根の家が立っていた。


 少し遠くの方に目を向けると海が見えるロケーションが最高の家。別荘という名に相応しい立派な家だ。


 こんないい所で、勉強会。僕はなんだかワクワクした気持ちになった。





ほんとにこんな駅があるのか?は正直分かりません。まぁ、歩いて30分したら海が見えてくる駅はありそうな気がします。

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