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Dust travel-1 生還  作者: 城 直史
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Field-1 いつもと変わらぬ日々(日常生活)

日も押し迫る夕方に、「お疲れ様でした!」と、足早に車へとかけて行く男。 城山 岳。

自宅から15㎞ほど離れた所にある会社で働いている。 この男、昔からさほど変わりのない田舎町に住んでいる。

国道が通ってないからか信号機が少なく、田畑が広がる自然たっぷりで空気の綺麗な田舎町である。

都会では少ない隣近所での助け合う心があり、畑で売れ残った野菜や果物などを貰ってはお返しをしている。

田舎町とは言っても、市町村合併により戸籍上は市民である。

岳は、寄り道することなく朝来た道を再び帰って行く。 いわゆる、家と会社の往復の日々である。


岳の勤めている職場はゴルフ場で、世界の1000に選ばれたトーナメントコースである。

そんなゴルフ場でも、不景気で会社の経営が思わしくないようで我慢の年が続いている中、常に将来の事を考えて不安と隣り合わせの日々をひたすら頑張っている。いつか良い事があると願いながら…。

ゴルフ場では、コースメンテナンスの仕事をしており、芝刈りはもちろん、木の剪定、漏水箇所が見つかればパイプの修理など、様々な事をしている。


家と会社の行ききの毎日ではあるが、岳の趣味と言えば山登りである。山が大好きで時間がある時は、里山である「足手荒神」と言われる、足手荒神様が奉ってある山まで、散歩方々登って行く。

この里山は、数年前の大型台風で木々は倒れてしまい、高齢化の進む中、山々を管理する人のいない状態となっている。

若者は都会へと離れ、草木は生い茂り、年々山は荒れるばかりで足の踏み場もままならず、入るのがやっとの状態へとなりつつある。


山の頂上には、石で足と手を彫刻した置物が多数並べてあるお社があり、そのお社の中には、いかにも昔から奉られていたであろう、少し角のかけた荒神様がおられる。

少し離れた所には、馬頭観音様が奉られており、山の神様を含め計3体の神様が奉られてある。


その頂上の脇には、地元の人が立てたと思われる。日本国旗が風でなびいており、パタパタと旗のなびく音がなんとも心地よく癒してくれる。 山のちょうど半分あたりから隣町と分ける境界線があり、あたり一面を見渡せる景色の良い里山である。正月には隣町の人達が、お参りに来られた人達にお酒がふるまわれ、初日の出を見る事が出来る。

悲しい事に、こちら側から登るルートでは険しい山道を登ることになるが、隣町の方から登る山道は綺麗に整備され、安全に登る事が出来る。同じ山なのに申し訳ない気持ちになる。


岳のこだわりとして、必ず持っていく物の一つとして「剣鉈(和式ナイフ)」がある。険しい山を登るのに必要不可欠の大事な道具である。 そのナイフで邪魔になるカズラや枝葉を切り、道なき道を進む。 杉林やひのき林に入れば、高く伸びた草は少なくなり歩きやすくなってくる。 そのまま登って行くと、地面のえぐられた道が出てくる。雨水で削られた道なのか、それとも獣によって出来た(獣道)なのか分からないが、窪んだ道に倒れた木々が覆い被さり、その隙間を潜り抜けながら通っていく。

八合目あたりまで登ると、大きな岩が埋まっている。その岩を確認すると安心する。道を間違えてない証拠だ。間違ったルートで登ると遭難する恐れがあるからだ。しばらく登ると、太陽の光がさして来て頂上が見えてくる。あと少しで頂上だと油断した所に、必ずイバラ(トゲのある植物)の生えた道にでる。そこを通り抜ければ頂上だ!

家族からは、自宅から歩いて登るこのルートを心配しており、歩いて行くよりも車で隣町から登って行く安全なルートをすすめられている。

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