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靴屋の娘と三人のお兄様  作者: こじまき
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デートとは

ランチのあとは化粧品店で化粧品を買い込み、「まだ時間あるから」とこれまた王都一だという美容室にまで連れて行かれ、髪を切りトリートメントをして、まさにフルコースで「靴屋の娘が伯爵令嬢に変身大作戦」の買い物が終わった。


帰りの馬車でさすがにぐったりしていると、お兄様が軽い調子で「買い物デート楽しかったね」と笑いかけてくる。


デデデデ、デート!?


デートというのは好きあっている男女が手を繋いでお出かけすることでは!?いやエスコートしてもらって手を繋いでフルコースでお出かけはしましたが、好きあっているかと言われると…血は繋がってないけど兄妹だし…昨日の今日だし。


フリーズしている私を見て、お兄様は残念そうに「あれ、楽しかったの僕だけ?」と聞く。「いえ、私も楽しかったです…」と消え入りそうな声で答えると、「よかった!また行こうね、兄妹デート!」とキラキラ笑顔が返ってきた。


"兄妹"という言葉に、カラバスお兄様は軽い気持ちで「デート」という言葉を使ったのだと気づく。あああああ勘違いして赤くなってフリーズしちゃって恥ずかしい。顔挟みといい、都会の男性はウブな小娘の気持ちを無意識に弄ぶらしい。気を引き締めないと、簡単に騙されてしまう。心に刻んでおかねば。


ホークボロー邸に帰り着き、自室に戻って一息ついてから、夕食のためにまた一階に戻る。師匠と弟子も一緒だ。「今日は何が出るかな」と楽しげにしている。朝食昼食の時間帯は彼らは寝ているので、食事は一日一回。この間のイーライ様との会話によると、別に人間の食事を食べなくても生きていけるらしいから、それで十分なのだろう。


アレン様とイーライ様ももう帰宅していて、みんな揃って夕食の席に着くと、カラバスお兄様が嬉々として今日の報告を始める。「僕がデザインしたドレスだから、絶対デイジーに似合うと思うな!早く仕立てあがらないかなぁ。髪も艶が出て綺麗になったから、ドレスに映えそう!美容室行けて良かったぁ」と私より楽しそうだ。


「あ、そういえばカフェでランチしてたときに、仕事してるアレン兄上を見たよ。あれが怪盗ルナの現場?」

「そうだ。犯行がおさまる気配がない」


頭を振り疲れた様子のアレン様に、私も「アレン様、朝早くからお疲れさまでした。王都の治安を守る立派なお仕事ですね」と声をかける。


「あ、ああ、ありがとうデイジーさん」


そのやりとりを見ていたカラバスお兄様が「ねえ、デイジーも兄上ももっとフランクにいこうよ。デイジーはお兄様呼びで、兄上たちもさん付けとか妹殿とかやめてさぁ」と割り込む。「いいんですか?」とアレン様とイーライ様を見やると、嫌がってはないようだ。


ドキドキしながら「アレンお兄様、イーライお兄様」と呼びかけると、アレンお兄様は苦虫を噛み潰したような顔になり、イーライお兄様は無表情のまま私を凝視。


怒ってる怒ってる怒ってるっ!


どうしてくれるんですかカラバスお兄様っ!

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