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靴屋の娘と三人のお兄様  作者: こじまき
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お兄様たちのお仕事

仕立て屋さんの次は宝石商でネックレスやイヤリングを買う。「これもデイジーに似合いそうだから買っちゃおうか、あこれも可愛いー!」「このデザインで石を替えられる?あ、できる?じゃあこの石でお願い」と次々注文し、宝石商での買い物を終えると、お昼の時間を少し過ぎたくらいだった。


「買い物に夢中になってて、時間気づかなかったよー!デイジーごめんね、お腹すいた?この近くに僕がよく行くお店があるから、ランチにしよっか」


豪快な買い物っぷりから、どんな高級店に連れて行かれるかとビクビクしていたら、着いたのはこぢんまりと落ち着いた、私でも居心地の良いカフェだった。意外そうな顔をしていたのか「気を遣わなくていい店のほうが好きなんだよ」と笑われた。やや遅い時間だからか、お客さんは少ない。天気がいいのでテラス席に案内してもらい、お兄様は本日のランチ、私はパンケーキとサラダを注文する。


と、「あれ、兄上だ」とカラバスお兄様。お兄様の視線を追って振り返ると、王都治安部隊の深いグリーンの制服を着たアレン様が、立派なお屋敷の前でしゃがみ込んだり上を見上げたり、何やら指示を出したりして動き回っている。同じ制服を着た隊員たちが数人いて、みな忙しそうだ。


「きっと怪盗ルナ事件の捜査だね」

「アレン様、ご立派ですね…朝早くから王都のみんなのためにお仕事されて」

「そうだね。兄上は仕事熱心だよ。今は副隊長兼昼番の主任なんだけど、同期の中では出世も早いんだって」


思いがけず、カラバスお兄様の仕事ぶりも、アレン様の仕事ぶりも窺い知ることができた。じゃあイーライ様は…?


「お兄様、イーライ様は魔術課でどんなお仕事をされているのですか?」と聞くと、カラバスお兄様は「んー」と困る。


魔法に関する仕事の多くは機密なため、イーライ様の仕事は家族にすら言えないことばかりらしい。「何日も家に帰らなかったり、逆に何日も仕事に行かなかったり、不規則な仕事なのは確かだよ」というが、それ以上は詳しくわからないそうだ。


「聞いたところで魔法関係のことは僕にはよくわからないし、そもそもイーライ兄上は全然喋らないしね」とテーブルに肘をつきながらカラバスお兄様は笑っていたが、家族にも打ち明けられないなんて、何だか孤独だ。母ひとり子ひとりの靴屋で、なんでも相談しながらお店を切り盛りしていた私からすれば、寂しいことのように思える。イーライ様は寂しくないのだろうか。


そこへ注文の品が運ばれてきて、私の考えは中断された。「あ、パンケーキふわふわで美味しそ!ちょっとちょうだい」とお兄様。この人ほんとにフレンドリーだなぁ。

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