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靴屋の娘と三人のお兄様  作者: こじまき


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世界一のプロポーズ

私が痛がるため馬を駆けさせることができず、ゆっくりゆっくり進み、明け方になってようやくホークボロー邸に帰り着くと、イーライお兄様、カラバスお兄様、レオニ以下の使用人たち、師匠と弟子がこぼれるように玄関に出てきた。きっと、夜通し寝ずに待っていてくれたのだろう。カラバスお兄様はイーライお兄様に治療してもらったのだろう、大事なさそうで心底ほっとする。


馬から降ろしてもらい、「アレン様、ありがとうございます」とお礼を言うと、場の雰囲気が変わった。使用人たちがどうしたことかと顔を見合わせている。


「あなたが聞いて」と周りの使用人に促され、ジヴァが「お嬢様、今…"アレン様"とお呼びになりましたか?お兄様ではなく」と確認する。そう、帰り道で「これからはお兄様ではなくアレンと呼んでくれ」と言われたのだ。さすがに呼び捨てはできなくて、アレン様と呼ぶことにした。「ええ」と答えると、使用人たちが今度はビックリしたり、ニヤニヤしたりしながら顔を見合わせる。


「それでは、アレン様はデイジーお嬢様にプロポーズをされたのですね?」と嬉しそうにレオニ。


「いや、正式なプロポーズはまだだが…」

「じゃあ今ここでやってよ。それなら僕もすっぱり諦めるよ」


そう提案したのはカラバスお兄様。イーライお兄様も「それでいい」というように私たちを優しく見つめている。


「いや、それよりもデイジーの手当てが先だろう」というアレンを遮り、「私も、今、みんなの前でしてほしいです」とねだってみる。観念したように、アレン様は跪いて、私の手をとった。


「デイジー、私と結婚してくれ」

「はい、よろこんで」


使用人たちはわぁっと歓声をあげ、師匠と弟子は両手を繋いで「アイリスが聞いたら卒倒するだろうね」「目に浮かびますね」と言いながら飛び跳ねている。可愛い。カラバスお兄様は「悔しいけどおめでとう。ウエディングドレスは僕がデザインするね」とお兄様らしいお祝いをくれる。イーライお兄様が指をすっと動かすと、無数のエメラルドグリーンの光の塊が私とアレン様を包んだ。


「きれい…」


「ありがとうございます」と口の形でイーライお兄様に伝えると、お兄様は頷いて屋敷に入っていった。


私は大好きなみんなに祝福されていることが嬉しくてたまらない。髪も顔もドレスもボロボロで身体中まだ痛いけど、こんなに素敵なプロポーズは世界中どこにもないだろうと思った。

本日は19:00に最終話更新予定です^^

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