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もしぼくが

作者: 骨董品

ぼくはせんせいにしわあせだといいました

もしぼくがねこになったら。きっと高いところはにがてだろう。やさしい、でもちょっとさみしそうなおばあちゃんの家にころがりこんでおいしいものをたべるんだ。


まいにち家のまわりをあるきまわってなわばりがぶじかたしかめるんだ。3日に1回はちょっととおででもしておもしろいものをみつけるんだ。


でも、おせわしてもらってるんだからおかえしはしないとね。夕日がおちるころには家にもどってちょうどいいはこでくつろぐんだ。おばあちゃんがすわったらひざの上にでものってなでさせてあげるんだ。


もし、もしもうちょっとでしんじゃうなとおもったらぼくはやっぱりおばあちゃんからにげるとおもう。しんぱいかけちゃうかもしれないけど、きっとめのまえでたおれちゃったらすごくすごくかなしむとおもうから。



もしぼくがとりになったら。みずはどうにもにがてだろう。いっしょにとべる気のいいなかまをみつけてはやさをきそいあうんだ。


空たかくまいあがっていまぼくがいるところを見おろすんだ。なかまといっしょにあんなに小さく見えるのにちかくにいくとおっきいよねってはなすんだ。


ごはんはむしよりさかながいいな。さかなのほうがおいしそうなんだもん。でもそのためにはおよげるようにならないとだよね。ぼくおよげるかなあ。みずはにがてなのにわざわざはいらないといけないなんて、たいへんだ。


でももしこどもができたらたまごなのかな。なんだかいわかんがあるね。ぼくのこどもがたまごなんて。


もしぼくがきになったら。かんそうするのはにがてだろう。おもいっきりえだをのばしていっぱいおひさまのひかりをあびるんだ。


せいいっぱいきのみをつけていろんなこにきてもらうんだ。とりにねこにひとに。たくさんのこにきてもらってまたきてねって見おくるんだ。


いきをすっていきをはいてじめんからめいっぱいえいようをもらって。雨をあびてまたうんと大きくせいちょうするんだ。


きせつにあわせてはっぱの色をかえてきれい!かっこいい!っていってもらうんだ。ふゆにはいっせいにはっぱをおとしてみんながそれをたべるんだ。


あついときには下にきてすずんでいいんだよ。遊びたいときは枝にのぼっていいんだよ。かなしいときはそうだんしていいんだよ。きっとどれもとどかないとおもうけど、わすれないでほしいんだ。


もしぼくがにんげんだったら。にんじんとトマトがにがてだろう。でも、ちゃんとたべないとおこられちゃうからがまんしてたべるんだ。


まいにちあったかいおふとんにつつまれてふかふかでやわらかいしあわせなここちになるんだ。ちょっとねぼうしちゃうくらいにきもちいいおふとんでねむるんだ。


しあわせなふとんからでたらいろんなともだちにかこまれてお話しするんだ。きょうはなにしてあそぼうかってワクワクするんだ。


それで…えっと、なんだろう。あんまりおもいつかないや。だってぜんぶもうかなっちゃってるから。白くてきれいなへやでみんなとすごしてるんだ。


ふふふ。ぼくはもうしあわせだ。やっぱりさっきのはやめにしよう。


もしぼくがにんげんだったら。ぼくはぼくになりたい。

お医者さんはちょっとだまってそうですかと笑った。

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― 新着の感想 ―
[一言] 夢や希望がいっぱいですね。楽しく読ませていただきましたー。
[一言] 物語の最初と最後で、作品のイメージががらりと変わって驚きました。 最初は、子どもの作文かなと思ったんです。前書きに「せんせい」とありましたから、小学校の先生かなと。考察する対象が猫になり、…
[一言] にんげんになったぼくはピーマンがたべられるんですね! えらいのではくしゅしようとおもいます。 そんな細かいことはおいといて、他の何かに生まれ変われるとしても、自分は自分でありたいと思える気…
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