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6.5.2「心まで奴隷になるなら何のために生きてるんだ!あなた達は!」

獣耳少年「こっちです!このホールを抜ければ出口です!」


覆面の男A「ここは通さん。おとなしくその女を渡せ」


覆面の男B「さもなければ死だ」


俺「お前らこの前の…」


チンピラ達「へへへ」「覚悟しやがれ」(ゾロゾロ


依頼者「叔父に頼まれたのね!」


獣耳娘「この前の奴の他に7人…8人…数が多いです…!」


俺(この数の全員を倒すのは無理だ…が)


俺「そうだな…やむをえない」(剣を収める


獣耳娘「ご主人様!?」


覆面の男A「そうだ、女を渡せば他の奴は見逃してやろう」


俺「…できればこの技は使いたくなかったがな…食らえ!」(掌底ドンッ


覆面の男B「なんだ突然拳法の練習か?w全然届いてないぞ」


覆面の男A「グボッ」(バタリ


チンピラ達「え?触ってないのに…?」「死んだ…?」「な、なんだよ今の技…気功使いか?」


俺「女一人捕まえる楽な仕事と思っただろうが、そうはいかない。やるならかかってこいチンピラ共。剣など使わなくても俺が全員殺してやる」


チンピラ達「ひえっ」「やばい逃げろ」(シュバババ


覆面の男B「!!ま、待て!これはトリックだ!…くそっ」


俺「どうやら形勢逆転だな」


覆面の男B「拳法の格好に合わせて『痺れ薬』を仕込んだ針を飛ばすとは…姑息なやつめ」


俺「さあ、どうする?」


覆面の男B「チッ…覚えてやがれ!」(シュバババ


獣耳娘「よし、今だ突破しますよ!」


依頼者「わ、わかりました」




獣耳少年「外に出られました!これでもう…え!?」


??「逃がさんぞ、そいつを捕らえろ!」


依頼者「その顔は確か…支店長をやっていた…お前も叔父の一味なの!?」


使用人達「ここを通すわけには参りません」


奴隷たち「…上の命令なんでな」(ゾロゾロ


支店長「観念するんだな」


依頼者「くっ…」


獣耳娘(今度は本当に数が多いし、敵もさっきのチンピラよりずっと強そうですよ!)


俺(どうする…何か手が…!)



獣耳少年「あなた達は!恥ずかしくないんですか!」(大声)


奴隷たち「!?」


獣耳少年「僕らは奴隷だ。でも奴隷にも誇りはある!」


獣耳少年「この家で働いてきて、ずっと世話になったお館様。そのお館様が殺されたのに、殺した奴らに従ってるだけじゃなくて」


獣耳少年「その上お嬢様まで殺そうなんて、絶対におかしい!」(ツカツカ


奴隷男「!」


俺「おいお前、待て、危ないぞ!?」


獣耳少年「僕も迷ったけど、自分で考えて、自分の信念でお嬢様を守ろうって決めたんだ」


依頼者「あなた…」


獣耳少年「種族や立場も関係ない!もし、『自分で考えて自分の信念に従う』ことができないなら…!」


獣耳娘(!)


獣耳少年「心まで奴隷になるなら何のために生きてるんだ!あなた達は!」(胸倉掴み


奴隷男「…」(掴み返し


獣耳少年「ぐっ…」


支店長「よし、そいつも殺していいぞ!」


奴隷男「…言ってくれるじゃねえか小僧」(手離し


獣耳少年「!」


支店長「何をしている!早く殺せ!」


奴隷男「…正直、俺達もうんざりしてた」


奴隷男「お館様には世話になった。だが、突然番頭様に殺されて…文句を言った者もいたが…殺された」


奴隷男「それでも我慢してきた。俺達奴隷にはここしか生きるあてもないから…だが」


奴隷男「こんなチビに言われたんじゃ、覚悟決めるしかねえな。おい、そうだろ?」


奴隷たち「違いないな」「おう」「決まりだな」


支店長「き、貴様ら…従わないなら処刑だぞ!」


奴隷男「武器を渡した上に鎖を外したのは間違いだったな。できるならやってみろよ」(チャキ


支店長「く、くそっ」


獣耳娘「さあ、どうするんですか!」


支店長「くそっ、おい使用人ども、こいつらを捕らえないと首にするぞ!」


使用人達「うう…無理です…」


支店長「ちくしょうめえ~~」


奴隷たち「じゃあ俺達は行かせてもらうぜ」「せいせいしたぜ」「お前らも頑張れよ」(立ち去り


俺「よし、今のうちに逃げるぞ!」


・・・

・・


俺「ここまで逃げれば大丈夫だろう」


俺(危機一髪の脱出だった…しかし結局は…)


依頼者「お父様…本当に殺されたのよね……あいつら、許さない!」


獣耳娘「気持ちは分かります。でも…」


依頼者「分かってるわ。今はどうにもできない。…しかしあっけないものね。裏切りで父を、店を…こんなに簡単に全てを失うなんて」


俺「全てではないと思うぞ」


獣耳少年「僕は、これからもお嬢様の味方ですよ!」


依頼者「危機を知らせてくれただけじゃなく、他の奴隷達を一人で説得してくれて。貴方には感謝してもしきれないわ」


依頼者「でも…今の私なんかの味方をしても無駄よ。なにもしてあげられない」


獣耳少年「諦めちゃダメです!お嬢様には商才があるじゃないですか!それを見込んでお館様はお嬢様を留学に行かせたんですから」


依頼者「仮に商才があっても元手がなくては商売はできない。昔私が教えたでしょう。今の私には何も元手がないの」


獣耳少年「昔、お嬢様が僕に昔こっそり商売のことを教えてくれましたよね。あれから僕も一人で勉強したんです」


獣耳少年「そして、お館様が殺された後、私はこっそりこれを隠し持ってたんです」


依頼者「これは…まさか約束手形!?それに店の経理書類の写しも」


獣耳娘「ご主人様、『約束手形』ってなんですか?」


俺「そこに書かれた額面を、署名した人が支払うという約束を記した紙だ。しかるべきところに持ち込めば現金同様の価値がある…理屈上は。しかしそう簡単には…」


獣耳少年「僕は商売は何もわからないふりをしてますから、彼ら油断していたんです」


依頼者「なるほど、…これがあれば、そうね。なんとでもなりそうだわ」(ニヤリ


獣耳少年「その悪だくみをするときの顔、昔にそっくりですね」


依頼者「私はなんとか立ち回って奴らを破滅させる。そして『私の店』を取り戻してみせる」


獣耳少年「その時は僕を番頭にしてくれますよね!」


依頼者「あら、それが狙いだったの?」


獣耳少年「当たり前じゃないですか。『商人は常に利につけ』って言ったのはお嬢様ですよ?」


依頼者「違いないわね!」


獣耳娘(二人はいいコンビになりそうですね)


俺 (そうだな)

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