5 「ボクのような奴隷の命でご主人様が助かるなら…」「簡単に命を無駄にするな!お前は奴隷じゃない」
獣耳娘「まだ次の街に着かないんですか?」
俺「この峠を越せば街だ。思ったより遅くなってしまっ…!」
獣耳娘「?いきなり立ち止まってどうしたんですか?」
俺(シッ。右の藪に犬型魔獣が2体。気づかれていない。静かに進むぞ)
獣耳娘(は、はい。あっ!)(枝バキバキ
魔獣「!!」
獣耳娘「ご、ごめんなさ」
俺「いいから下がってろ!魔獣どもこっちだ!来い!」
魔獣1・2「「ガルゥゥゥ」」
俺「うおおお」(ザシュ
魔獣1「ギャァァァァ」(バタリ
魔獣2「シャアアッ!」
俺「クソっ!このっ!」(ギンッ
獣耳娘「ご主人様!後ろっ!」
魔獣3「ガォォォォォ!!」
俺「なッ!もう一匹だと!?」
獣耳娘(ダメ、ご主人様でも避けられない、でもどうしたら)
――『あのとき』
――『ボクは助けられなかった』
獣耳娘「う、う、ああああああああ!」(ダッ
俺「!!」
獣耳娘「きゃあああ」(ザシュ
俺「しまった…!よくも!」(ザシュッザシュッ
魔獣2・3「ギャァァ」(バタリ
俺「おい!ルゥ!大丈夫か!」
獣耳娘「よかった、ご主人さま…無事みたいですね」
俺「なんで俺を庇ったりした!」
獣耳娘「ボクのような奴隷の命でご主人様が助かるなら…安いものです…」(吐血
俺「なに言ってるんだ!簡単に命を無駄にするな!お前は奴隷じゃないんだ」
獣耳奴隷娘「ご主人様……ボクを人として扱ってくれてありが…とう」(ガクリ
主人公「ルゥ!死ぬな!」
獣耳娘「」
俺(待ってろ……街まで連れて行ってやる。絶対に死なせないからな)
・・・
・・
・
医者「普通の人間なら死んでいたかもしれません。ただ獣人は体が丈夫ですから、なんとかなりそうです」
医者「しかし奴隷にわざわざこんな治療を受けさせるなんて良い主人ですね」
俺「こいつは奴隷じゃない」
医者「!それは失礼。首輪をしてるので奴隷かと…いずれにしろ数日の安静が必要です」
俺(ルゥ……なんでこんな無茶なことを)