3 「わわわ、危なかったです!……どうしたんですか?ご主人様」(こいつ……今あの距離からの投石を避けたのか?)
俺「何とかこの娘を使ってくれないか」
鍛冶屋「うちは人手は足りてる、すまん」
俺「そうか…」
獣耳娘「…」
俺「…」
獣耳娘「あの、ご主人様、服を買ってくれてありがとうございます」
俺「ボロボロの服でついてこられても困るからな。で、お前本当にお前何もできないのか?何か特技とかあるだろう」
獣耳娘「ないです……え、ええと昨晩みたいな夜の…も…本当は一度もしたことなくて」
俺「そんなに無能なのによく奴隷として生き残れたな」
獣耳娘「……食事もあんまり食べませんし、反抗はしませんでしたから」
??「これでもくーらえ!」(シュッ
獣耳娘「わわっ!」(しゃがみ
少年ら「くっそー外したか!やーい!獣耳!お前らくせえんだよ〜w」
俺「おいこのガキ供!お前らなにやってるんだ!……クソっ逃げたか」
獣耳娘「わわわ、今の石危なかったです!……どうしたんですか?ご主人様」
俺(こいつ……今あの距離からの投石を避けたのか?)
俺「ちょっとこれを見ろ。」
獣耳娘「はい?」
俺「今左手にコインが入ってる。これをこうして(シュッ)……今コインはどっちの手に入ってる?」
獣耳娘「どっちというか……今右手に入れてから右手の袖に滑り込ませたじゃないですか」
俺「!!……ちょっとお前一緒に来い」
獣耳娘「え?ご主人様?なんです一体?」
・・・
・・
・
獣耳娘「怖そうな人がいっぱい…ここ何をするところですか?」
俺「冒険者ギルドだ。今からお前を冒険者として登録をしてやる。望めばだが」
獣耳娘「え?え?なんでボクが?」
俺「お前は無能かもしれないが、天性の運動神経はあるようだ。生きていくなら冒険者がいいだろう」
獣耳娘「そんな…でも…ボク一人ではとても」
俺「当たり前だ。最初は俺が一緒についていくし訓練もしてやる」
獣耳娘「!ご主人様と一緒なんですか!なら…」
俺「ちょっと待て。簡単に言ったが、冒険者はいつ命を落とすかもしれない仕事だ。よく考えて自分で決めろ」
獣耳娘「…ボクは」
獣耳娘「ボクは、無能だって言われ続けてきたけど、ボクでも人の役に立てるなら、やってみたいです!」
俺「そうか。なら、受付に行こう」
受付嬢「こんにちは!新規登録の方ですか?紹介者は…」
俺「俺だ」
受付嬢「ではお嬢さん、お名前をどうぞ?」
俺「ほら、名前を伝えろよ」
獣耳娘「名前……ボクは奴隷だから名前ないのです」
俺「そんなことってあるのか?」
獣耳娘「ご主人様、どうしたらいいんですか」
俺「……仕方ないな。俺がつけてやる」
獣身娘「え?」
俺「そうだな、……お前は今日から『ルゥ』だ。お前の髪の色と同じ毛並みの伝説の狼の名前だ」
獣耳娘「ルゥ」
俺「そうだ」
獣耳娘「『ルゥ』…素敵な名前ありがとうございます♪」
受付嬢「ルゥさんですね。登録させていだだきました」
獣耳娘「えへへ、やった!皆さん、ボク、ルゥっていうんですよ〜いい名前でしょう♪よろしく!」
俺(ギルド内で自己紹介始めやがった…やれやれ)
受付嬢「貴方が紹介者なのだから、しばらく彼女と一緒に依頼を受けてもらうわよ?」
俺「もちろんそのつもりだが」
受付嬢「しかしどういう風の吹き回しかしら?いつも一人でしか仕事をしない貴方が」
俺「いや、ただ、放っておけないと思ったんだ」
受付嬢「……ふーん」
俺(なんだその『ふーん』は!)