1 「お前逃げないのか?」「逃げてもどうせ変わらないです。どうせ捕まってまた奴隷です」
俺「お前、逃げないのか」
獣耳娘「……」
俺「お前奴隷だろ。お前の主人の奴隷商人なら、そこで野盗に襲われて死んでたぞ」
獣耳娘「……」
俺「お前今、鎖に繋がれてないだろ。この貨車の外は誰もいない。逃げるなら今だ。逃げないとまた誰かに捕まって奴隷にされるぞ」
獣耳娘「……意味ないです」
俺「?」
獣耳娘「逃げてもどうせ変わらないです。どうせ捕まってまた奴隷です」
俺「んなことわからねえだろ」
獣耳娘「分かります。ボクは下賎な奴隷娘ですから」
俺「こんな山道、俺がたまたま来たけど誰もこないかもしれないぞ。このままそこにいたら餓死するぞ」
獣耳娘「……構わないです。それにお腹すいてないですし」
(腹ぐぅぅぅぅ
俺「やっぱ腹減ってるんだろ。ほらこれでも食えよ」
獣耳娘「…」(パンもしゃもしゃ
俺「まあ、お前あれだよ、生きてりゃいいこともあるだろ」
獣耳娘「…無能なボクにいいことなんてありません」
俺「勝手に決めつけるんじゃない」
獣耳娘「決めつけてないです!わかってるんです」
俺「お前に人生の何が分かってるんていうんだよ」
獣耳娘「じゃあ、こんなボクに何かいいことがあるっていうんですか!」
俺「え、ええとだな…ほらええと、お前結構、可愛い…じゃないか?」
俺(目が死んでるし、泥だらけだし…あまり可愛いとは思えないが、思わず言ってしまった)
獣耳娘「!」
俺「すまん、気に触ったら…」
獣耳娘「~~~ッ!!///」
俺「?」
獣耳娘「あの、えっと、そんなこと言われたことなくて…ありがとう…ございます///」(ニコ
俺「は!?…そ、それはよかったな。少しは元気出たか?」
獣耳娘「はい」(ニコニコ
俺「お、おう。じゃあお前もどこか行けよ」(何だよその笑顔は)
獣耳娘「どこかって…どうすれば?」
俺「いや、だから、好きにしたらいい」
獣耳娘「ボクは奴隷なので…好きにしろって言われてもどうすればいいか…」
俺(参ったなこりゃ)